詰棋書紹介(59) 千早城


高木秀次詰将棋秀作選 千早城 高木秀次 全日本詰将棋連盟 1993.8.1

「古典正統難解派」「古典派の暁将※」「今宗看」等々の枕詞をつけられて呼ばれる高木秀次の作品集。 ※たぶん驍将の誤植。
序文に二上九段をしてこう書かしめている。

本来は一作一作解いた上で真価を判ずべきだと思うが、私自身とても根気が続かない。解答を見ながら鑑賞するのみである。せめて盤上に並べ一手一手変化を味わいながら駒を進められるよう本書を手にされる皆様方にお奨めしたい。

本書は30手以上の難解構想作がどっさり詰め込まれている極上の宝箱である。

解説もさほど詳しくなく、作意を並べただけでは何をやっているのか解らない。
じっくり1作ずつ調べていかないと簡単には消化できないのだ。

しかしここから掘り出されてくるのは本当にとんでもない宝物。
いくつか『この詰2019』に書いた「一歩入手方法の研究」で紹介したので是非読んでいただきたい。
第31番はおそらく図巧第17番からの発想だろうか、普通に攻めると銀を手にしてしまうので飛車2枚を捨てて銀ではなく歩を入手しようという狙い。
第63番は伏線で歩を発生させてそれを狙うことで角合を引き出すという構想で、そこに桂馬を渡さないように攻める構想も絡んだ傑作だ。
第66番は「高木手筋」の命名の根拠になった作品。

タイトルになった「千早城」や看寿賞受賞作は巻末にあるので、まだまだ手が届いていない。
まだ機械検討の術がなかった時代の作品の所為か、余詰や不詰(!)もかなりあるので、それがまた面白い。

というわけで1作紹介する作品は冒頭の7手詰と恐らく唯一の桂香図式を選んだ。
(決してへそ曲がりなだけではない)

高木秀次 『千早城』第1番 詰パラ 1965.6

高木秀次 『千早城』第57番 詰パラ 1962.12

「詰棋書紹介(59) 千早城」への2件のフィードバック

  1. 馬筋を 閉ざして捨てる 銀妙味
    現場で解いた時の想いを思い出す
    すぐ取れるように先捨てする手筋
    1966年看寿賞長編賞からの派生と
    私独りだけが考えている短篇です
    高木秀次~山田修司~山本民雄が
    私の憧れた作家の変遷であります

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