詰棋書紹介(66) 詳解詰将棋解答選手権 チャンピオン戦 2004-2019


詳解詰将棋解答選手権 チャンピオン戦 2004-2019 若島正 マイナビ出版 2020.2.29

詰将棋解答選手権のチャンピオン戦第1回から第16回までの出題作品を解説した本だ。
専門誌に投稿すれば数千人に解いてもらえる。
解答選手権に出題したのでは参加者だけだ。

そう考えると、解答選手権に投稿するのはもったいないような気がする。
ところが実際には毎回有力作家がすばらしい作品を寄せているのだ。
ごく一部、宮田敦史を悩ます難問を作ろうという情熱を、おかしな方向に転換してしまった作品も見られるが、そのような作品は殆ど実行委員会ではねられるので、安心して取り組むことができる。

これらの作品をまとめてほしいという願いが叶ったのが、Paradise Books 3 『詰将棋解答選手権2004-2008』だ。

(この本、抜群のコストパフォーマンスなのだが、どうも読みにくいと前々から思っていた。今回、読み直してみてその原因が分かった。p41~45がちゃんと並んでいないのだ。乱丁ではないからこれは面付けのミスか?それにしても今頃になってやっと気付くとは……。)

2009年以降は毎年『第\(n\)回詰将棋解答選手権』が発行されており、2014年からはJCPSから角さんが引き継いでいる。
某クラスタでは通称『年鑑』と呼ばれている冊子である。

それでは『年鑑』を全部持っていれば、本書は買う必要が無いだろうか?

結論から言うと、勿論買うべきである。
なぜか。
これは若島正が「詰将棋の解き方」を書いた珍しいテキストなのだ。
全部描き下ろし、『年鑑』の解説とも異なる。

若島氏はどこかで「詰将棋の解き方なんて誰にも書けない」と書いていたような気がするが、多分気のせいだろう。

『盤上のフロンティア』で徹底的に作家目線での解説を書いたので、その反動で今度は徹底的に解答者目線での解説に挑戦してみたのではなかろうか。

「ルービックキューブ」の解説を柳田明『完全版看寿賞作品集』、若島正『年鑑』、『盤上のフロンティア』、本書と読み比べてみるのも一興だ。
本書の解説がダントツで詳しく解りやすい。

上田吉一 第2回解答選手権 2005.3

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