詰将棋入門(87) 4枚の桂馬が現れて消える

伊藤看寿 『将棋図巧』第64番 1755.3

手数は長いが考える所は序盤・中盤・終盤にそれぞれ少しだけ。
楽しい趣向が出現する。

桂馬は当分使えそうにない。
とすると持駒は金1枚と考えられる。
18金から玉を引き出して、16金を捌いていくしか攻め筋は見当たらない。

18金、同玉、17金、19玉、18金、同玉、15飛、

もし29玉なら28金でも39馬でも詰みそうだ。
17金はもちろん取ったら15飛まで。
4手かけで16金を原形消去し、15飛。
これで間駒読みだ。

17桂、同飛、同玉、

持駒が(桂しか)ないので、なにを間駒しても同飛と取る一手。
金は強すぎて簡単。
香は19香と逃走路を塞がれる。
消去法で桂馬と確定。

まだ桂馬は使えない。
29桂では同歩成でも18玉でも絶望だ。
とすると27金しか手は残っていない。

27金、18玉、28金、19玉、18金、同玉、19歩、17玉、

27には馬も効いているので同銀とはとれない。
だんだん守備駒が減ってきた。
28金を19歩に打ち換えて(もちろん同玉なら73馬)まもなく準備が完了だ。

39馬、同銀成、29桂、

まだ29桂は同とと取られて後続がない。
英断で馬を切ってしまう。
これで29桂が打てる。
同成銀ならば18歩、同銀生ならば29桂から38馬だ。

16玉、28桂、15玉、27桂、14玉、26桂、

これで気持ちよく4枚の桂馬が整列した。

23玉、34金、12玉、

折り返しは落ち着いて考えなければいけない。
23銀、11玉、12歩で簡単そうだが、19歩を忘れてはいけない。
まずは取られる前に11銀を23歩に打ち換えておく。

22銀成、同玉、23歩、11玉、

83馬は使えるだろうか。
色分けして考えてみると、43歩と34金がいるので、この右上隅では83馬の助力は期待できない。

22銀、12玉、21銀不成、11玉、

32歩成、同玉、33金の筋を狙って攻めていく。
なので、21銀も取らずにひたすら隅に逃げ込む。

22歩成、同玉、32歩成、11玉、12銀成、同玉、23金、同玉、33香成、

駒を繰り替えながら寄せていく。
33香成で、右上隅から引っ張り出すことに成功した。
ここからは桂まで作られた滑り台を降りていく。

24玉、34成香、25玉、35成香、26玉、36成香、27玉、37成香、28玉、

さて、ここからは収束、落ち着いて攻める。

39銀、19玉、28銀打、18玉、

質駒の銀を取るが、もちろん逃げるしかない。
ここら辺は絶対の応手。
王手も限られているので難しくはないが、見事に駒が捌けていく。

27銀、19玉、28銀、同玉、38成香、29玉、39成香、同玉、38馬 まで69手詰

4枚の桂馬が綺麗に並び、そして見事に消え去った。
上下で成銀を入手してその銀が消えていく捌きも対称的で美しい。

「四桂追戻詰」と呼ばれているそうだ。

序盤と終盤が同じ場所で展開されるのに、これだけ細やかな手順なのは驚きだ。

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