詰将棋入門(90) 桂香と歩の不利交換

伊藤看寿 『将棋図巧』第78番 1755.3

素直に進めると打歩詰の局面になる。
これは打開できない。
そこで事前に打歩詰の局面を回避する工夫が必要になる。

まずは例によって普通に攻めてみよう。

48桂、同と、

飛車を動かすと,その飛車が守っていた方へ逃げられてやっかいなので,香を打つ。

57香、65玉、35飛、同香、66馬、同玉、67金、65玉、

【失敗図】

打歩詰で行き止まりだ。

ではこの局面を回避する妙手順を見ていこう。
3手目がそれだ。

59香、

57ではなく,2枚のと金が効いている一番下の59から打つ。

と金が効いているがよく考えてみると同ととは取れない。
48とが取れば48桂,59とが取れば68桂と打って詰む。(57香が強すぎるので打歩詰になる)

では,やはり同じように65玉と逃げれば打歩詰なのでは?
いや,57香では2枚の飛車を分断している。
59香なら飛車が自由なので…

66馬、同玉、67飛右まで

【変化図】

では香車は57にしてくれと57に間駒(歩か桂)をしたらどうなるか。

同飛右、45玉、44銀成、36玉、37飛、25玉、35飛、同香、34馬以下詰み

【変化図】

57合は右の飛車でとって詰みなのだ。

ということは59香に対しては58に間駒を打つしかない。
桂馬は打てないので,歩合に決定だ。

これは同香と取るしかない。
すると何が変わるのか。

58歩、同香、同と、48桂、同と、

2手目の局面と比較してほしい。
盤面は不変で,持駒だけ「桂香」が「歩」に変わっている。
つまりタイトルの通り,持駒をわざわざ弱くしたのだ。
香が出払っているために,香合はできなかったことを確認しておこう。

57歩、65玉、35飛、同香、66馬、同玉、67金、65玉、

57の駒が香ではなく歩なので17手目66歩を打つことができるわけだ。
以下は最後の大駒77飛も捨てて鮮やかな詰み。

66歩、55玉、75飛、同馬、56金 まで21手詰

香の効きは歩の効きを包含しているので,普通はこの手筋を「香歩不利交換」と呼ぶ。
本局の場合は,桂馬を1枚投資して香歩不利交換を実現したわけだ。

狭いところで短くうまくまとめられた作品である。

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