詰棋書紹介(71) 詰将棋探検隊


詰将棋探検隊 角建逸 週刊将棋 1995.12.20

名著である。

詰将棋の豊潤な世界を,精選された100局を題材に,探検隊の3人が会話文で紹介する。
難解な作品も短く的確に解説していて,笑いあり涙あり(?)驚きありで楽しく読み進んでいるうちに,詰将棋の広大で深甚な世界の理解が深まっているという次第だ。

もともとは『将棋』(支部機関誌)に連載された「詰将棋探検隊は行く」がベースになって作られた本だという事。しかし,ほぼ全面的に改稿し,作品も30局も入れ替えたというから,角さんの本造りに関する真摯さが伝わってくる。
第5回将棋ペンクラブ大賞の佳作にも選ばれてた。

この本が今,入手困難なのだから不思議だ。

何回も書いているけど,現代の出版業界はおかしい。
いい本を売り続けようということがなされないのだから。
(それをやっている当たり前の出版社は尊敬している)

出版業が金儲け第一主義になってしまっているのだ。
昔,勤めていた出版社の社長は「出版業はイデオロギー闘争なのだ」と言っていた(極端)。

もっともこの本の編集には文句もある。

  • 一番目立ってしかるべき作品の図面がアミがかかっていて暗くて見づらい。(途中図の方が目立つ)
  • 作品のタイトルが本文に記載されていない。(目次に出ている)

なんでこんなことになっているのかというと,編集は週刊将棋がやっているから。(理由になっているのか疑問だが)

角さんが編集も自分でやればよいのだろうが,執筆と編集を両方やったら………恐らくいつまでたっても完成しないだろうから仕方ないかもしれない。

その後,角さんは週刊将棋に「詰将棋探検隊2」を連載した。(どこだっけ?)
当然すぐに本になると思って,切り抜きもしていなかったら,これがなかなか本にならない。

それだったら『詰将棋探検隊』を復活させてよとお願いしても,いろいろ直しを入れなきゃいけないからと話は動いていかない。

あんまりしつこく言っても詮無いので,まじめな提案を一つだけ書いて終わりにします。

「詰将棋探検隊」と「詰将棋探検隊2」の原稿をまとめて誰かに渡してしまう決断を提案します。
編集を委託してしまいましょう。
締切がない、しかも自分の本の仕事は,後回し後回しにされて行ってしまいます。
完璧なものを作るより、完成させて世に出すことを優先させてください。

さらに,この文章を書いていて新企画「みんなで作ろう!詰将棋探検隊」を思いついた。
近日中に具体化します。

おぉ,1作紹介しなくては。

森長宏明 『詰将棋探検隊』第49番 詰棋めいと1987.11

「詰棋書紹介(71) 詰将棋探検隊」への3件のフィードバック

    1. 情報ありがとうございます!
      「詰将棋探検隊2」だったか「新・詰将棋探検隊」だったかとかタイトルも曖昧な記憶で、もうちょっとしっかりしろよオイラの記憶野という気持ちです。

      1. 週刊将棋を見直したらタイトルは
        「新詰将棋探検隊が行く」
        でした。こう言う時電子版は便利ですね。

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