詰将棋入門(91) 飛車遠打2連発+成捨て!

伊藤看寿 『将棋図巧』第79番 1755.3


13手の短編。
しかも妙手説の時代の作品だが、現代のルールでも割り切れている。
初見の方は是非解いてみることをお薦めする。

65とが取られそうなのが気になるが、守る手はない。
守るとしても32角の利きを届かせるために54桂を動かすぐらいしか思いつかないし、結局、初手は46金と龍を取るくらいしか見えない。
65玉と逃げられそうだが……

46金、65玉、55飛、

【変化図】

46金に65玉は55飛で捕まっているのだ。

上に逃げても下に逃げても75飛打から詰んでいる。
そこで作意は

(初手より)
46金、同桂、

ここがなにか出てくる場所という雰囲気だ。

平凡に53飛とすると……

【紛れ図】

47玉、58金、同桂成、

【紛れ図】

46金を打つには42香を処分しないとどうしようもない。

43飛打、46歩、

【紛れ図】

これで不詰。14角成としても、25歩合だ。

そういうわけでやはり、ここは主役が登場する場面だったと解る。

52飛、

42香を質駒にみた限定打だ。
紛れ図のように47玉と潜り込めば、
58金、同桂成とドアをこじ開けて42飛成で香を外すぞと脅している。
しかし、その意図はわかるが52には馬が効いている。
当然、同馬と獲られる。
(この辺で第62番を思い出した方も多かろう。)
大丈夫、次の矢があるのだ。

同馬、53飛、

32角が14角成と動き出すのを押さえているのは同じ色にいる馬だ。
だからこの飛車は取れない。
取れば55金、47玉、14角成まで。
しかし先程53飛車には47玉で失敗だった。
何が紛れ図と変わってくるのか?

47玉、58金、同桂成、43飛成、

34馬が52馬に移動しているので、43の地点が馬と香の焦点になっているのだ。
そこで、1枚の飛車の成捨てが華麗に決まる。

同香、14角成、56玉、55金 まで13手詰

同馬では46金の1手詰なので同香だが、角が動き出して詰みだ。

構図や同じ筋に飛車捨て2連発という意味で似ているのは既に指摘した第62番だが、手順構成で姉妹作として構想したのではと思われるのは第8番だ。

焦点を作るための捨駒と焦点の捨駒を両方とも大駒の遠打で実現した作品といえよう。(第8番は厳密には違うが)

さて、蛇足だが「現代ルールでも割り切れている」と書いたので、短編詰将棋で遠打を取り入れると必ずつきまとう変化がわりきれているかの問題を検証しよう。

主眼の3手目52飛に54歩合は55飛、同歩、同飛成、47玉、58金、同桂成、46金、同香、同龍で割り切れている。

9手目53飛成に45金はどうか。

なぜ金合かというと、14角成、56玉、55金を同金と取るため。(46銀合は売切れ)

これは

46金、同金、14角成、56玉、54龍まで15手詰
(14角成、56玉、54龍、55歩、46金、同金、54龍もある)

15手で駒が余らないから、変長駒余らず。
冒頭の「現代のルールでも割り切れている」はウソだった。
ごめんなさい。

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