詰将棋入門(101) 見えない桂を剥がす

柏川悦夫 『詰将棋半世紀』第1部『駒と人生』第18番 将棋時代 1950.1改

『詰将棋半世紀』は第1部が『駒と人生』の復刻版で、第2部が『盤上流転』という2冊合本という形式である。


92銀成が目に付くが、94玉で手がない。
まずはこのままでは邪魔駒でしかない95角を活用する。

84角、94玉、86桂、同桂、93角成、同玉、
92銀成、94玉、

これで86に桂の質駒を作った上で、95角が消えているので95歩と打って手をつなげることができる。

95歩、同玉、86金上、94玉、95金、同玉、
68馬、94玉、

ここまでが序奏。

ここで平凡に攻めるなら44龍だろう。

44龍

【紛れ図】

これには74桂合とする。他の間駒だと駄目なのは手を進めると分かる。

   74桂、86桂、95玉、74桂、94玉、

【紛れ図】

このように馬の開き王手で74の間駒は入手可能なのだ。
桂馬以外の間駒だったら、この局面でその駒を打って詰みになる。

ここから手を続けるとしたら62桂成か93成銀しかない。

まずは62桂成を試すと……。

62桂成、74桂、86桂、95玉、74桂、94玉、

【失敗図1】

先程の局面と比べて62成桂が出現しただけ。
残りは93成銀しかないが、それだったら龍を活用しやすいように62成桂が存在しない先程の局面からの方が有利だろう。

93成銀、同玉、92金、同玉、42龍、83玉、

【失敗図2】

これは以下82桂成でも、75桂でもとても詰みそうにない。失敗である。

正解は16手目の局面から妙手を繰り出す。

54龍、

わざわざと金の利きに54龍。
ほれぼれするような妙手だ。

同となら

   74桂、86桂、95玉、74桂、94玉、
93成銀、同玉、57馬、

【変化図】

と金の76への利きを外したわけだ。

そこで先程と同じように74桂と間駒する。

74桂、

これで先程の44龍と何が変わるのか。

先程の【失敗図】で42龍が52龍になる。

【変化図】

たった龍が1路違うだけだが、今度は75桂、74玉、63龍で簡単に詰んでしまうではないか。

そこで作意は92金を同玉と取らずに94玉を変化する。

(18手目の局面から)
86桂、95玉、74桂、94玉、93成銀、同玉、
92金、94玉、82桂成、74桂、

これ、似たような手順を繰り返せる。

86桂、95玉、74桂、94玉、93金、同玉、
92成桂、94玉、82桂成、74桂、

微妙な局面の変化を理解していただけているだろうか。
この局面、桂馬が四枚とも見えている。
すわなち、既に玉の持駒には桂馬が枯渇しているということだ。

86桂、95玉、74桂、94玉、62桂成、

もう、74桂と間駒することができない!

54と、86桂、95玉、74桂、94玉、

後は既に予習済みの収束である。

93成桂、同玉、57馬、94玉、84馬まで53手詰

この作品、大昔にも紹介した。
その際は、慥か「玉方持駒変換」としたのだが、今回は「玉方の持駒の桂を剥がす」と解釈した。
(74の定点で獲るので剥がしである)

それにしても何度並べてもうっとりさせられる名作だ。

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