詰将棋雑談(37) 田舎の長編

つみき書店が最初に編纂したアンソロジーはご存じのように(?)『Limit7』だ。
大雑把に言えば、超簡素図式である。(盤面7枚は簡素図式とは言えないが)

このテーマを選んだ理由は色々あるが、その中の1つにオイラの苦手分野ということがある。
(予想通り、自作は1作も選ばれなかった。)
自分がよく知らない分野の方が、独善に陥らなくて良いだろうという読みだ。

アンソロジーは編むのが大変だし、収益も悪い。
なにしろ、そこに収録される作家はまちがいなくそのテーマが好きな作家であるわけで潜在的な購買者だ。
その人達に完成した本を贈呈してしまうのだから、当然ながら売行きが悪い。
序盤で1歩を只で獲られてしまうようなものである。ずっと苦しい展開になる。

そういうわけで手間はかかって儲からないのだからアンソロジーはなるべくやりたくない。
やりたくないが、やりたくなってしまうのがアンソロジーである。
そろそろと次の企画が動き始めている。

やはりオイラの苦手分野。
曲詰だ。
(曲詰も数作発表しているが、1作も選ばれない自信がある。たっぷりと)

選題スタッフは素晴らしいメンバーを集めることができた。(解説スタッフはさらに増強する予定)
しかしいきなり座礁している。

T-Baseでは「曲詰」が検索できないのだ。
いやできないことはないが、見つかるのは1500局程度で明らかに数が少なすぎる。

何人もの練達の士に相談したが、結局は詰上がり図を作って自分の目で確認していくしかないというのが現在の結論だ。
コツコツ進めていくしかない。
来年の全国大会に向けて刊行を予定していたが、…………ま、何とか間に合うだろう。(楽観的) 

そんな中で見つけた1局を紹介する。

鳩成平 「雪の渡り鳥」 詰パラ 1992.8

作者の鳩成平はペンネームで、本名は鳥越九郎。
いや鳥越九郎もペンネームだった。
入選99回でペンネームを変えるという特殊技を発現させた方だ。

尊敬している。

「十手詰」や18禁の詰将棋でも有名。(18禁は別の方でしたっけか?)

で、この壮大な冗談作だ。

みなさんの感想はいかがだろう。

オイラは思うのだ。
曲詰の神髄が諧謔にあるとしたら、本作は曲詰の大傑作なのではないだろうかと。

また、こんなことも考える。
オイラは曲詰は文字詰より象形詰の方がよいでのはないかと考える。
看寿の「襷詰」は日本語を知らない外国人にもしっかりアピールするだろう。
しかし「イ」の字では説明しないと伝わらない。
太陰暦から太陽暦になってまだそんなに月日は経っていないのに、現代の我々に大小詰物(で良かったっけ?)はアピールするだろうか?
近い将来、日本が中国に編入されカタカナが使用禁止になることだってあり得るのである。
義務教育でカタカナを教えなくなったら、ほんの数十年で日本からカタカナ文化は消えてしまう。
そんな未来に、まして本作のような田舎の「イ」の詰上がりは、誰にもその狙いを気付かれずに終わってしまうのではないか。
そして、それこそが作者の真の狙いではないかと想像したりするのである。

鳥越九郎が尊敬に値する作家だと伝わってきただろうか。

一度全作品を調べてみたいものだ。
作品集が欲しいなぁ。

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