詰将棋入門(111) 元祖「車井戸」

黒川一郎 「車井戸」『将棋浪曼集』第90番 詰パラ1955.7

吉田健—車井戸はなぜ軋る……これは、むかし懐かしい釣瓶井戸である。

金を打って香の利きで押していけば詰みそうだ。

18金、37玉、38歩、26玉、

実際に、押していく展開になった。

17金、25玉、16金、24玉、15金、23玉、14金、

さて32玉と逃げられて詰みそうだが、32玉には42と、同玉、44飛、43合、24桂、21玉、22歩で早い。

   22玉、13金、21玉、12金、32玉、

一旦まっすぐに21まで下がって、金を引きつけるのがうまい逃げ方なのだ。
いまさら42とから44飛と歩を入手しても意味がない。
持駒の桂馬を消費することになる。

24桂、23玉、13金、24玉、14金、25玉、15金、26玉、
16金、27玉、17金、28玉、18金、39玉、

桂馬を1枚折り返しに使用して、また金が香の利きを利用して今度は上部に追いかける展開。
39玉と狭い所に逃げ込まれたが……。

49飛、38玉、48飛、37玉、49桂、

両王手があるのでまた引っ張り出せる。
再度39玉と潜れば28飛までの詰みだ。
また38歩と打ちたくなるが、その前に49桂が鍵となる大事な手だ。
38歩ではまた往復して39まで潜られるだけでで失敗する。

   同成桂、38歩、26玉、17金、25玉、16金、24玉、
15金、23玉、14金、22玉、13金、21玉、12金、32玉、

再び桂馬を使用して折り返す。

24桂、23玉、13金、24玉、14金、25玉、15金、26玉、
16金、27玉、17金、28玉、18金、39玉、49飛、38玉、
48飛、37玉、49桂、

今度は49桂を獲る駒がない。
37への利きが残るのでもう一往復して収束だろう。
ただ、もう持駒が枯渇しているのが気になる。

   26玉、17金、25玉、16金、24玉、15金、23玉、
14金、22玉、13金、21玉、12金、32玉、

今回は折り返すための桂馬がない。
そのためには……75銀が用意されているではないか。

42と、同玉、75角、同歩、52と寄、32玉、43銀、同玉、
53と寄、32玉、42と寄、23玉、

無事、上昇コースに乗せてこれでもう安心だ。

13金、24玉、14金、25玉、15金、26玉、16金、27玉、
17金 まで103手詰

後世に発展作を生んだ数では「松虫」に及ばないが、本作を発展させた作品は数は少ないが詰棋史に残る大作が多い。いずれ雑談で取り上げることが出来るだろう。

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