いっこの積木(58.1) 特別懸賞出題[3]結果発表

風みどり 詰パラ 2019.12改

正解 
27龍、37桂、38龍、57玉、68銀、同銀不成、
59香、同銀不成、67金、46玉、79角、同と、
86龍、66桂、79角、同成桂、37銀、同歩不成、
58桂、同香成、47歩、55玉、58龍、同桂成、
56龍、44玉、54龍、33玉、43龍、22玉、
12歩成、同玉、14香、22玉、13香成、31玉、
34龍、32桂、同龍、同玉、43金、31玉、
42と、同歩、32歩、41玉、33桂 まで47手詰

長編に近い中編なので「入門」風の解説を入れます。

27龍、37桂、

この2手目の桂合についての攻防が狙いです。

38龍、57玉、68銀、同銀不成、

59香、同銀不成、67金、46玉、

ここまでが序奏。
この冒頭8手が小川悦勇さんがつけ加えてくれたものです。
勿論自分でも桂合を出したくてそのためには馬を取る順が必要だと云うことは掴んでいたのですが、59銀という配置に気づけずに断念していました。(発表した原図は49とになっています)
この8手で作品価値がグッと上がったことは言うまでもありませんね。

さて、ここからが狙いの順ですが、まずは紛れから。

37銀、同歩成、

問題の桂馬を取るしかないように見えますが、当然、玉方は同歩成と応じます。

58桂、同香成、55角、

「この角は見えないのではないか」と某ikironさんは言いました。
「いや、普通の手でしょう」と私は答えました。

創る方としてはこの順に一度は入ってもらわないと、狙いは伝わりません。
ikironさんはそこを心配している訳です。
小川さんに後で聞いたところ、この紛れには入ったそうです。
しかしパラでの結果発表を見るとikironさんの判断が正しかったのかしれないと感じました。
解答者の心理や手の伸び方を見切るikironさんはやはり一流作家だと認識を新たにしました。

   55同玉、58龍、44玉、54龍、33玉、
43龍、22玉、12歩成、同玉、14香、22玉、
13香成、31玉、34龍、32歩、

【失敗図】

32歩合とされ以下はどう攻めても打歩詰で行き止まりとなります。
本作の狙いは32歩合をさせない攻め方にあります。

【再掲図】

左辺の遊んでいる龍角を活用する訳ですが、方針は「持駒の角を歩に替える」ことです。

79角、

具体的には79角と捨て同とと取らせて、そのと金を97角で取り返すことで手駒の角を歩に替えます。
当初は寄り道して遠角を打ち、合駒で歩に替えるといった順を考えていたのですが、それですとあまりにも手順が地味なのでせっかく余っている大駒2枚を使うことにしました。
その分、なんとなく79角と打ちたくなってしまうので解きやすくはなったと思います。

   同と、86龍、66桂、

86龍を同桂と取れるのに、取らずに移動合というのも小川さんのアイデアです。
原図は龍を取れるのは歩で、66桂は打合でした。(そういう課題だったと言うこともありますが)
これで2手伸びる仕組みです。

79角、同成桂、37銀、同歩不成、

79角で持駒が歩になったので、桂馬を取ります。
今度は同歩成ですと47歩と打てて簡単に詰むので、玉方は不成と取らざるを得ません。

58桂、同香成、47歩、

55角の代わりに47歩で玉を追います。

   55玉、58龍、同桂成、56龍、44玉、
54龍、33玉、43龍、22玉、12歩成、同玉、
14香、22玉、13香成、31玉、34龍、32桂、

37歩が残っているので二歩禁のため玉方は歩合ができません。
これで詰みです。

32同龍、同玉、43金、31玉、
42と、同歩、32歩、41玉、33桂 まで47手詰

歩を取らずに残して玉方を二歩禁に追い込むという作品はたくさんありますが、不成を強制して玉方を二歩禁に追い込むという作品は珍しいのではないかと思います。

さて解答者は3名でした。

占魚亭 歩不成が主眼手。序の8手が入り、原図よりも厚みが出たような気がします。
松澤成俊 とくに前半がスマートで後半も卒なくまとまった。
竹中健一 途中からの手順は殆ど同じだと思うんですが、序が加わった関係でしょうか、随分変わった印象です。詰パラ発表号がすぐに見つからなかったので正式には覚えていないですが、今回は37桂合も入ったんでしょうか。元の構想が良いから改作も良くなるんでしょうね。小泉さんも小川さんもすごいですね。それと、1周年おめでとうございます。今後もサイトを活用していきたいと思います。

当選者は厳正な抽選の結果、占魚亭さんに決まりました。
(占魚亭さん『Limit7』か『野村量の詰将棋560』の予定でしたがどちらもお持ちですよね。『怒濤』でよろしいでしょうか。メールください)


さらに小川さんの序の逆算が何故素晴らしいかについて補足しておきます。
作図に当って悩ましいのは37銀と桂馬を取る手と79角と歩を取る手の手順前後をどう解決するかという点にあります。
先に銀で37桂馬を取って同歩成としてから79角と歩を入手されても詰まないようにしなくてはいけません。本作では先に桂馬をとると79角に57香成で詰まないようにしました。
作意手順の79角に57香成と応じたら47龍で詰むという仕掛です。
39金はこの変化のための配置なのですね。
この39金の存在理由を作意表面上にあげるため、38龍という手を入れたかったのです。

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