駒場和男「捜査網」『ゆめまぼろし百番』第89番 近代将棋1964.6
難解派という印象の駒場和男にもスッキリ易しい作品もある。
私は棋力が低いので、易しい詰将棋が好きなんだな。
持駒金4と1種なので手は限られている。
86金、同歩、95金、同馬、
同飛、同玉、85金、96玉、
飛車を切るのは怖いけれど仕方がない。
85金に同玉は74角、同玉、79龍で詰む。
86金、97玉、96金、同玉、
97歩、同玉、53角、98玉、
86金でこの金がすぐに邪魔になり角が打てない。
金を捨てて歩を捨てれば金の原型消去だ。
97角成、同玉、99龍、87玉、88金、86玉、
さらに角を打つのも98桂を原型消去するためと実に綺麗。
さて、ここから6手1組の趣向手順が始まる。
97龍、85玉、76と、同玉、77金、75玉、
6拍子5小節。
86龍、74玉、65と、同玉、66金、64玉、
変化はある。
と金を取らない変化だ。
75龍、63玉、54と、同玉、55金、53玉、
しかし、いずれも龍で王手してあとはと金で押しつぶせばよい。
64龍、52玉、43と、同玉、44金、42玉、
82と1枚で、盤が随分狭いことになっている。
そして、そのまま収束。
53龍、41玉、32と、同玉、33金、31玉、42龍
まで53手詰
この趣向は捨追い趣向と呼ばれている。
タイトルのブルドーザー趣向とは私の分類で、捨追い趣向のうち配置駒が綺麗に一掃されサッパリスッキリするものをこのように呼んで嬉しくコレクションに入れるのだ。
駒場和男は間違いなく昭和の巨人の一人なのに、あまり若い人には知られていないような気がする。(それにしても豪華本で多少高価ではあるのだが『ゆめまぼろし百番』が売れ残っているのは謎だ)
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