詰将棋入門(167) 取歩駒呼出はこのように

三代伊藤宗看『将棋無双』第20番 1734.8

どうも筆者が選ぶ作品はやさしい作品が多くていけないと自覚はしていたが、本作も中盤が平凡な追い手順なので易しい。

2筋の桂・香の配置から次の手順を夢想する。

32金、同玉、22龍、同玉、33桂成、

ところが実際には…

32金、

この32金を同玉としてくれない。

   52玉、63飛成、同玉、53飛、74玉、

【失敗図】

61馬が効いていて83飛成ができない。

そこで初手に戻って、51歩成とすることに気づく。
52歩の存在理由が分かった。

51歩成、

42玉ならば…

   42玉、41金、32玉、33桂成、
同龍、同龍、同玉、23飛、

これは詰む。
そこで2手目同馬に狙いの順で攻めてみよう。

   (51)同馬、32金、同玉、22龍、

32金に52玉は63龍、同玉、65飛以下詰む。95香はこの変化のための配置だ。
22龍を同玉と取れないのは最初に確認してある。

   43玉、33桂成、同桂、同龍、52玉、
63龍、同玉、43飛、

61馬を動かした効果で43飛と打てるし83飛成も可能だ。

   74玉、83飛成、65玉、85龍、66玉、
75龍、67玉、77龍、58玉、

ここら辺は玉を移動させているだけ。

68龍、49玉、59龍、38玉、39龍、27玉、
28龍、16玉、15角成、同馬、

【失敗図】

1歩を補充する15角成を同馬ととられて打歩詰だ。
これは失敗。
再び序盤に戻りこの馬を清算しておく。

上は10手目の局面。
ここから51馬を消しておく。

51角成、同玉、42角、52玉、

ここからは同じ手順なので一気に飛ばす。

63龍、同玉、43飛、74玉、83飛成、65玉、
85龍、66玉、75龍、67玉、77龍、58玉、
68龍、49玉、59龍、38玉、39龍、27玉、
28龍、16玉、15角成、同香、

【失敗図】

今度は同馬はないけれど、同香でやはり打歩詰である。

この打歩詰をいかに回避するかが宗看が提出している謎なのである。
ヒントは持駒の使い道のない桂馬だ。

正解は作意8手目にまで遡る。

ここからの数手が本局の眼目だ。

34金、

まずは盤面の金を捨てる。

  同玉、25金、

続いてもう1枚の金も捨てる。
43玉ならぐるっと追い回して、26龍までなので同桂と取る一手。

   同桂、

この4手の伏線。
もうお解りいただけただろうが、最後にもう一度手順を辿ろう。

24龍、43玉、33龍、52玉、

51角成、同玉、42角、52玉、63龍、

   同玉、43飛、74玉、83飛成、65玉、
85龍、66玉、75龍、67玉、

77龍、58玉、68龍、49玉、59龍、38玉、
39龍、27玉、28龍、16玉、15角成、同香、

4手(6手?)の伏線のお陰で打歩詰にはなっていない。打歩詰は回避されたのである。

17歩、

   同桂成、25龍まで45手詰

玉方桂の三段跳びを打歩詰回避の伏線という手段で実現した楽しめる作品だ。

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