詰将棋つくってみた(55) 課題11:選評

課題11:変化のある三手の詰将棋を創ってください。
注:変化は最低1つあればOKです。
注2:変化は駒が余っても余らなくてもOKです。

今回、自分でJudgeをやることにしたのですが、なかなか悩みました。
いつも無報酬でJudgeを引受けてくださっている皆様、あらためてお礼申し上げます。

コメント

今回は最後に優秀作発表とします。

通常Judgeの方には、「課題に適合しているとかはまったく無視してくださって結構です。一番気に入った詰将棋を優秀作に選んでください」とお願いしているのですが、自分で出した課題なので、今回に限り課題に適合しているかどうかも選定基準に入れざるをえません。また投稿図も解答者の短評も読んでしまっています。どうしても影響を受けてしまいます。その点ご了承ください。

【第1問】松田圭市

正解
31香成、22歩、21桂成まで3手詰

21への41飛車の利きを塞ぐ狙いの31香成。
角を取らずに移動合。
そして21への限定桂馬の跳込成。

3手をフルに活かした見事な作りです。

今回の課題はこちら
キーワードは

  • 三手詰は変同を楽しむもの
  • 素直で楽しい作品
  • 模範的な作品
  • 色々拗らせた作品

といった所でしょうか。

ベテランなので「模範的な作品」枠での登場のようです。変同はどうしても許せないのでしょうが、三手詰ですよ。

【第2問】松田圭市その2

正解
21歩成、同玉、51龍まで3手詰
    41玉、31馬まで3手詰

初手51龍は41桂で詰まないという狙い。
51龍を考えなければ初手は21歩成しかないので、この狙いは確実に解答者に伝わったと思います。
が、この狙いが共感を生むかどうか。
余詰を消すのに双玉を利用したと思われたら悲しいですが、その可能性もありそうです。

【第3問】negitarou

正解
53角成、32玉、43馬まで3手詰
    33玉、42馬まで3手詰
    51玉、52馬まで3手詰

変同3つ(1つは作意だから変同は2つ?)で課題提出者の意図を良く酌んでいる作品です。
配置もよく整理されています。
短評でkeima82さんが指摘していましたが、34とでは初手は53角成以外にありません。
34歩でしたら初手22角成という紛れも生まれると思います。

【第4問】青木裕一

正解
26銀、36玉、33龍まで3手詰
   34玉、43龍まで3手詰
   14玉、23龍まで3手詰
   16玉、13龍まで3手詰

第3問は捨駒の快感や謎解きという要素は含まれていませんでした。
それはそれで悪くはないのですが、すると「詰将棋とは駒を捨てることなり」という価値観で評価されてしまうという危険もはらみます。

それならいっそ詰将棋の妙手といった要素を一切排除してしまったらという作品です。

代わりに形式的な美しさを磨いています。
初手に対して玉の応手は斜め四方の4箇所。これをチェスプロブレムではstar-flightといいます。(ちなみに上下左右の4通りの応手はplus-flight。これはタイトルではないのでhtml版には書きませんでしたが、印刷用pdfには入れておきました。)
3手目は龍の移動位置が1列に並んで4箇所という趣向です。

ただ『チェスプロブレム入門』の例題をみると、もともとなかった玉の逃げ道を4つも一気に開けておいて、その何処に逃げても1手で詰ますのに対し、本作はもともと6箇所あった玉の逃げ道を初手で4箇所に制限しただけなので、このテーマに付随するはずの感動成分は弱いように感じました。
いや感動成分と書き換えましたが、そもそも最初に書いたように妙手性を排除して形式美に徹するのが狙いでしたね。

【第5問】negitarouその2

正解
55桂、37玉、27金まで3手詰
   49玉(56馬)、48金まで3手詰

「詰将棋は自由だ」(カントール)なので「駒取りはするべからず」などという決まりはありません。
しかし「詰将棋はコミュニケーションだ」(若島正)なので伝えたい何かは必要です。
こちら側の感受性の問題である可能性は残っていますが、「金をとってそれを打って詰み」では何を作者が面白がって作ったかが伝わってきません。

【第6問】武田裕貴

正解
42飛成、71龍、34銀成まで3手詰
    45玉、34銀不成まで3手詰

初手の限定移動に加えて2通りの両王手による詰上りが変同で課題出題者の気持ちを良く酌みとっている作品です。
形式的にはシナトラさんが短評で指摘していましたが、53間駒もおなじ34銀成で詰んでしまうのが残念に思いました。

この作品を見て、大昔の自作を思い出しました。
かなりハッピーアイスクリームかも。
ご笑覧ください。

風みどり 近将1978.11改


「改」とあるのは、原図は1つの変化が駒余りだったので、今回すべて変同に直しました(^^)。
上に書いたことと矛盾させないためには34銀生は消さなければいけないのですが、駒数が1枚増えてしまって(^^;;

【第7問】武田裕貴その2

正解
56桂、同香、55馬まで3手詰
   73玉、72馬(と)まで3手詰

34角の67王に対する利きを塞ぐ56桂の捨駒が狙い。
55香をわざと逃がしてから55馬とするというウムノフの演出になっているのが巧いですね。
56桂でも34角の利きを塞いでいるのですから、73玉の変化は72馬に限定できていたらもっと嬉しいですね。
配置の効率をついつい考えてしまうのは作家の習性ですから仕方ないのですが。

【第8問】武田裕貴その3

正解
38角、68龍、74金まで3手詰
   75玉、65龍まで3手詰

第7問の捨駒が桂馬というのが寂しいと感じると、盤面を大きく使った大駒の限定移動が考えられます。
簡潔に美しくできているのはいつものことながら流石です。

しかし変なことをいうようですが、この作品はもっと発展する余地を持ってしまっているように感じます。
作っていて「この角をもう1回動かしたい」とか「龍をもう1度捨てたい」とか感じたのではないでしょうか。

「三手詰」が必要十分な3手詰……。

【第9問】negitarouその3

正解
68銀、99角成、66桂まで3手詰

近代将棋に昔あった「3手の詰み」コーナーなら入選したことでしょう。
初手88銀という紛れもありまずまずです。

ただ今回の課題「変化のある」という点では弱かったですね。

【第10問】keima82

正解
78角、74飛、79角まで3手詰

空間の広さを表現するには角を大きく使うに限るということを再認識させてくれる作品です。
97角は79角と使うしかないのが弱いですが、その分手順前後の紛れで味付けをしています。
作者は88角としたかったと書いていますが、22歩を銀にすれば良さそうですが貧乏図式にこだわったのでしょうか?

【第12問】Yuta S その2

正解
26飛、同角、45飛まで3手詰
   同銀、46(37)飛まで3手詰
   14玉、44飛まで3手詰

変同を沢山創ってやろうという課題に忠実な作品で嬉しくなります。
36飛が邪魔駒になっており、14玉・同角・同銀の3通りの応手に対して、44飛・45飛・46飛と飛車の移動先が変わるという作品でした。
26飛という(紐つきですが)捨駒もあって選者の好みにピッタリのタイプです。
2手目同銀の応手に対して37飛という手がなかったら、この作品を優秀作に選んだかも。

【第13問】松田圭市その3

正解
63角成、39馬、53馬まで3手詰

どうしても手順を完全に限定したい病気に罹っているようですね(^^)。
2手目39馬以外の応手(37金など)では62馬で歩余りを主張しています。
この場合53馬でも詰むのは余詰なのでしょうか?????
最短で詰ます義務が後方にはありますが駒余りにできるのにそうしなかったら誤解なのでしょうか?

【第14問】松田圭市その4

正解
98龍、36玉、38龍まで3手詰

露骨な質駒ですが私も同じことをやった覚えがあるので青木さんの短評にある「潔い」を支持しましょう。
どうせなら96飛にすれば配置が1枚減りそうですが、これくら駒を使っていればもう1枚くらい関係ないですかね。

佳作

【第15問】松θ拓矢 「\(\pi\)」

正解
31銀不成、41玉、59銀まで3手詰

拗らせ枠(?)の登場です。
作意手順で円周率を浮かび上がらせようというアイデアには脱帽です。
「同」をどう処理するか問題がありますが0を含まない数列なら詰将棋にできる可能性があるので、推理小説のネタに使えそうですね。猫さんいかがですか?

しかし実は私も今年賀詰で似たようなアイデアで作図しているのですが、これが難しくて苦吟しています。ちゃんと詰将棋に仕上げて、44桂という逃れ順まで組み込んだ手腕は素晴らしいです。

それにしても、タイトルがないとほぼほぼ解答者に狙いが伝わらない詰将棋というのも珍しいですね。
アイデア賞では色物っぽいので佳作にします。

優秀作

【第11問】Yuta S

正解
49角、66合、38角まで3手詰

本作を優秀作に選びます。
理由は単純で、詰将棋として解いて一番面白かったからです。

まつきちさんが短評で「苦戦」と書いていますが、これはある意味作品の不備が原因です。
つまり初手49角で66合は38角まで。
これは66合が限定できそうもないから作意ではないだろう。
それでは作意は2手目65玉か。
…そう考えると3手詰という情報がありますから残り1手。駒をとる順は除外してしまうというわけです。

しかし58角~47角でも良さそうなところを49角~38角に限定したのがお手柄でした。

え?お前さんお好きな変同はどうしたって?
間駒非限定は変同の塊なのです。

それにしても今総評を読んでみたら、どなたも同じ意見の方が見当たらない…。
早いとこ看寿賞選考委員を降りて本当に良かった(^^;;;

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