これは昔書いた記憶があるのだが、「男らしい作品集」に分類される。
なにが男らしいのか、こんな感じだ。
図面と作意、初出データのみ。
自作解説は自慢したり逆に謙遜したり、色々と揺らぐ。言い訳も入る。
他人に解説を書いてもらえば阿りも混じる。
全ては作品が語れば良い。
確かに絵画や彫刻・映画などに作者が出てきて色々と解説するのは、ちょっと違和感を感じる。(建築家も同じ)
しかし詰将棋の場合は、どうだろうか。
豪腕の者ならば図面だけで十分だろう。
しかし私のように解図力のない輩はどうすればいいのか。
作意があれば十分だろうか。
そこで『詰』の紹介時には「狙いの一手」は何かという懸賞出題をしてみた。
そしてこの『千早城』だ。
「高木秀次詰将棋秀作選」と副題がある。
『千早城』には解説がないわけではない。
しかし……やはり作意を辿っただけではとても理解できない作品が山ほどあるのだ。
いつかちゃんと読み進めようと思うが、「いつか」というのは何十年も訪れないものなのである。(正確にはこの本の発行は1993年だから28年間……)
そこで今日から始めることにした。
「詰将棋入門」と「詰将棋雑談」の間ぐらいの詳しさで読み解いていくことにしよう。
第1番 詰パラ1965.6
しばらくは短手数なので安心。
しかし本作は短編名作選で知っているからともかく、7手詰なのに難しい。
難しくしている鍵は65香の配置だろう。
「香は動かないもの」という思い込みが埋め込まれているのだろうか初手が妙手だ。
初手から54銀なら取れないのにわざわざ馬の利きを塞いでから54銀と捨てる味。
勿論52玉と逃がさないための緊急手段ではあるのだが、解けてしまえば当然の手順に見えてくると言うもの。
74馬の守備力を削ぐのに、ピンしてしまうという発想。64銀成を同玉しかないというのが快感だ。
85銀が余詰対処の駒だが、初手より62馬、54玉、55歩、65玉、76銀の筋と、63馬、同馬、同香成、同玉、64銀打、52玉、74角の筋をまとめて面倒を見る上手い配置。
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