詰将棋入門(175) 二歩禁回避

三代伊藤宗看『将棋無双』第43番 1734.8

まずは平凡に攻めてみよう。

45角、

36金が数の攻めを試みさせる配置。

   同と、同金、63玉、

【失敗図】

これは単純に逃げられてしまった。
63玉のときに、持駒に角があれば52角~61角成で捕らえることができる。

まずは桂香を使って細かく削るところから始める必要があるようだ。

66桂、

となると初手は逃げ道を塞ぐ66桂だろう。

同歩、55香、

63玉と逃げたら52角。

同と、同歩、同玉、56歩、

66桂はこのときに66玉を許さないための下準備。

   54玉、45金、同龍、同馬、43玉、

44飛、52玉、64桂、51玉、

【失敗図】

52歩が打てれば52歩、61玉、72馬までなのだが、52歩は二歩の反則。
持駒の角は温存していたが役に立たない。

正解は10手目の局面に遡る。
45金、同龍として龍を質駒にした状態のところ。

ここで絶対手に見える45馬に替えて…

55歩、

このタイミングで56歩を捨てる。

   同龍、45角、

同玉では1手詰なので同龍だ。
そこで役に立っていなかった角を投入する。

   同龍、

これは取る一手。

そして、56歩の原型消去が完成した。
角1枚を余分に消費する。

同馬、43玉、44飛、52玉、64桂、61玉、

64桂に51玉と逃げられなくなっている。
ここからは長めの収束だ

72桂成、51玉、62成桂、同玉、
63銀、61玉、72銀成、51玉、

王手は限られている。進めるしか無い。

52歩、同玉、63馬、同玉、
73歩成、同飛成、同成銀、同玉、

63馬と綺麗に主役の馬を捨てる。
これで詰みかと思ったら79飛がいた。

65桂、62玉、63歩、61玉、

63歩に51玉は52歩から72飛。
71玉が問題でこれは後述。
作意は61玉だ。

62飛、51玉、42飛上成、同歩、
52歩、41玉、61飛成まで47手詰

44飛も見事に消去して見事な詰上り。

問題なのは63歩に71玉の変化。

74飛、72歩、同飛成、同玉、73飛、61玉、
62歩成、同玉、53飛成、71玉、72歩、61玉、
62歩、72玉、73龍まで55手詰香余り

現代ルールでは大幅な変長だ。
簡単に治りそうだが序盤との絡みでそう簡単ではないようだ。

馬と飛と消す作意は素晴らしいが、73歩成、52玉、62と迄の35手詰でもいいのではないかと考えた。
しかし、単純に71飛をなくして持駒から歩2枚を減らしただけではうまくいかない。
初手と3手目の手順前後が成立してくる。
71飛は余詰防ぎの役割も持っているのだ。

二歩禁回避のために歩を消去する作品は現代ではいくつもあるが、その歩を序盤で打つ構成の作品は数少ない。
序盤で働いていたとしても、やがて邪魔になる歩ははじめから盤面に存在するのが普通だ。
構成の完璧さ、歩の消去の鮮やかさも含めて、さすが宗看だという作品である。

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