風みどりの詰将棋と関係ない話(27) エピメテウスは神か人か

日本神話でも孫なのかひ孫なのかよくわからかったりすることがあるが、ギリシャ神話でも系図などが載っていても、どうにも理解しがたいことが良くある。
まぁ、神話だからね。
さまざまな部族の信仰が習合していく過程でいろいろ矛盾点も出てくるのは仕方がない。

実在の人物(?)であっても、授業ではピタゴラスとアルキメデスを一緒に教えたりする。
ピタゴラスは紀元前582年生まれ。アルキメデスは紀元前287年。300年も違う。
松尾芭蕉と吉本ばななを一緒に教えるようなものだね。

プロメテウスとエピメテウス

プロメテウスとエピメテウスはオイラが昔読んだ記憶だと兄弟なのだが、兄のプロメテウスは神で弟のエピメテウスは人間ということだった。
兄弟なのになぜ???

でもWikibpediaで調べたら、プロメテウスもエピメテウスもティターン族の神だという。あの有名なアトラスは兄だという。
ティターン(巨神)族はゼウスが派遣を奪い取ったクロノス政権の一族だ。(その前はウラノス政権)

プロメテウスは人間の味方として有名で、牛の肉の美味しいところをゼウスではなく人間に与えようと画策したり、寒さに凍える人間に大茴香に盗んだ神の火を与えたりした。

ヤン・コシエール – [1][2], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=31705796による

その罪に対する罰として、カウカソス山の山頂に縛り付けられることになる。
毎晩大鷲(エトン)に肝臓をついばまれ、しかしプロメテウスは神なので死なず、日中に肝臓は再生してしまう。そしてまた夜になるとその肝臓をついばまれるという苦しみを得るのだ。

ルカ・ジョルダーノ – 不明, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=30057805による

このような同じことを繰り返すことの辛さをギリシャ人は重く見ているのだろう。
シジフォス(シーシュポス)の神話も同じように苦労が無為に帰すことが繰り返される苦しみを厳しい罰と認識していることがうかがえる。(一日かけて坂道で岩を押し上げるともう少しの所で元の所まで転がり落ちてしまう)

話は横道にそれるが、最近の若い数学の先生は子どもに繰り返し同じ問題をやらせるのが好きだ。
同じような問題をとにかく大量に演習させる。
計算問題など、理解した生徒にはそんなものただの苦痛に過ぎないと思うのだが…。
定期考査の問題なども返却した後にもう一度やらせる。100点の生徒にも全部最初からやらせて提出させるのだ。目的が分からない。
教科書と変わらないレベルの問題集を私費で買わせて、途中式もキチンと書いて提出しないと「関心意欲」のポイントをゲットできない。数学に対する関心・意欲を削ぐ効果しかないと思うのだが。

閑話休題。
ともあれ、プロメテウスはこのように紛れもなく人間ではなく神だ。
では、なぜその弟は人間だとオイラは記憶しているのか。

それはプロメテウスはプロ-メテウスで「前から知恵を得る者」という意味で、エピ-メテウスは「後から知恵を得る者」なのだという記述が印象深くて、よく覚えているからだ。
「前から知恵を得る」とは問題に直面する前によく考えるとか、さらにいえば未来から知恵を得る–即ち予知が可能だということと解釈した。なるほど、そんな事ができるのは神だ。
「後から知恵を得る」とは問題に直面して困って、「あぁすれば良かった、こうしておけば良かった」と呟くのが日常の存在だろう。まさに人間ではないか。さらにいえば過去から知恵を得る–未来予知は適わないので、歴史を学ばなくてはいけない存在だと解釈した。

プロが前、エピが後を示す言葉であることはプロローグやエピローグという言葉があるからさもありなんと理解した。

また横道にそれる。
詰将棋の恩師である田宮克哉先生が詰パラに次のようなことを書いていた。
ペンはラテン語で下にぶら下がるという意味である。ペンダントのペンだ。
したがってペニスは下を向いてぶら下がっている状態のこと。
女性との目合に使うときはファロスでなければいけない。
これを読んで日本語でも「陰茎」と「陽根」があり、ちゃんと使い分けていることを知った。
詰パラって勉強になるなと思った少年時代のオイラであった。

さて、wikipediaにもエピメデウスはティターン族の神であるとされているが一方で次のような記述もある。

ゼウスは人類が神々より強くなるのを恐れ、人類に厄災をもたらそうと謀った。そのためヘーパイストスに美女パンドーラーを作らせ、エピメーテウスに贈り物として与えた。Wikipedia

人類に厄災をもたらすのに、なぜエピメテウスに贈り物をするのか?

また系図をみてもエピメテウスの孫であるヘレンはパルナッソス山周辺の古代ギリシャ人の始祖であるという記述もある。(古代ギリシャ人の自称はヘレーネス(ヘレンの一族)だったそうだ)

因みにヘレンの父デウカリオンはプロメテウスの息子で、デウカリオンの洪水を生き残った人類の始祖である。(ユダヤ教のノアみたいな人)

ということは、やはりエピメテウスは人間だったのだと考えて良さそうだな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください