高木秀次『千早城』に登る(9)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第9番  不明


 随分と攻方の勢力が強い。しかも初形打歩詰の局面。
82銀なんてどこで使うんだろう。73銀生、53玉、86角までとか?
いや52に逃げられるじゃん。全然詰んでないぞ。

 63桂が67を埋める駒にも見えるから、その線でバラしていくか。
75銀左、同桂、67歩、同桂成、75銀、同玉、
74と、同銀、86角、66玉……
詰まない。

 それじゃ、87金を使っていくのかな?
77金、同と、67歩、同と、
ん、65角には57桂の紐がついているじゃん。これは詰みだ。
75銀直、同桂、77銀まで7手詰。

と、いうことは2手目同とではなくて同飛成なんだな。もしか不成か?
…………いやいや、同飛でも同じじゃん。
 これは早詰だよな。

 それでは作意はと考えたが、これが全然分からない。
どういうわけか先に余詰を見つけてしまうと作意は見つけられないような気がする。
そこで早々に降参して答を見た。

 最初に考えた筋で良かったんだ。
あの直後に66龍とは豪快な妙手だ。
なるほど56歩の意味が分かった。

 しかし収束は冴えない。
なにより早詰が痛い。
巨匠でも、こういうことがある。(ちょっと安心する)


(追記 2022.3.26 )

 折角なので補正案を考えてみたが、なかなか手間取った。

というのは調べてみると原図には初手77金以外にも余詰があったからだ。
 初手77銀、3手目75同銀、7手目76龍、85龍、85と、……これすべて余詰だった。ボロボロだ。
特に7手目76龍は解く際に気づいてしかるべきの強力な筋で上辺のもたついた配置になった。(どなたか整理してほしい)
 誉めて欲しいのは初手77金の紛れ順。
同銀生、同銀、同角、57玉、68角、同玉、67飛、58玉、98龍、68歩で逃れ。


(追記 2022.3.27 )
さっそくウマノコ(@umanoko1525)さんから改良図が送られてきたので紹介。だいぶスッキリした。原図より駒数減ったので、これなら高木さんも許してくれるだろうか。

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