詰将棋入門(199) 市松煙

七條兼三『将棋墨酔』第3番 詰パラ1978.3

今回のタイトルはネタバレではない。
なぜなら出題時も誰もが「これは煙か!?」という期待を持って解図に取りかかったはずだからである。

序盤は易しい。
初形でも王手は5通り有ることは有るが、実質1つだけだ。

22歩成、同玉、23銀成、11玉、12成銀、同飛、
同角成、同玉、

ここで一瞬飛車を何処から打つか悩むが、13飛ではすぐに切れるのが分かる。

14飛、21玉、22歩、同玉、13飛成、21玉、

14飛に23玉が大丈夫かと思うが、31歩成以下3手詰だった。

【変化図】

駒交換しながら一間龍で追う筋は、古い煙詰で何度も見た。

33桂不成、同成桂、31歩成、同玉、33龍、41玉、

もう一度繰り返しか。

53桂打、同と、同桂不成、同成香、51歩成、同玉、
53龍、61玉、

ここまではすぐに辿り着く。
本作で考えるのはここからだ。

64飛も考えられるが、金銀3枚の守りがあるので成香を作って攻方の勢力を強めるのが本筋だろう。

63香、71玉、62香成、82玉、72香成、93玉、

【失敗図】

おっと、これは失敗。
72香成がいけなかった。修正する。

63香、71玉、62香成、82玉、72飛成、

これは変化が3通り。91玉は5手詰だから省略して、まずは素直に……

   同金、

これが詰まなかったら、63香が間違っているということだ。

同成香、同玉、73金、81玉、82歩、同金、
同金、同玉、

駒交換して守備を薄くしていくのは実戦と同じだ。
金がいなくなったのでこれは詰む形。73金と打てば83地点で多数決に勝てる。

73金、81玉、83香不成、同銀、82歩、91玉、
92歩、同銀、

これは既に既成の煙詰の収束で記憶にある形……

51龍、81歩、同歩成、同銀、同龍、同玉、
72銀、91玉、92歩、同玉、83銀成、81玉、
82成銀まで63手詰

【変化図】

ちゃんと煙った。
いや、これは一つの変化だ。

【再掲図】

いやこちらが変化という可能性もあるけれど。

   93玉、

72成香でなく72飛成としたのだから後続手はこれしかない。

92龍、

また変化がある。直感的には83地点の守りを考えて同金。
したがって同玉から潰していこう。

   同玉、93歩、82玉、92金、同金、
同歩成、同玉、93歩、

【変化図】

結局93同玉とすることになり、84金から押し潰せる。
したがって92龍には……

   同金、

この局面全然詰まなそうに見える。
しかし、先程の変化が詰んでいるのだから、この図も詰むに違いない。

84金、82玉、

84金を92金と交換する形にしたいのだが……と考えると、好手が見えてくる。

72成香、同玉、73金、81玉、82歩、

72成香が好手だ。これで金が交換できて詰みが見えてきた。

   同金、同金、同玉、

これは先程の変化でも辿り着いた図。
手数が異なるだけだ。

73金、81玉、83香不成、同銀、82歩、91玉、
92歩、同銀、51龍、81歩、同歩成、同銀、
同龍、同玉、

81同龍からいく手順前後が許されないのもこの収束のいいところだ。
オリジナルは黒川一郎?

72銀、91玉、92歩、同玉、83銀成、81玉、
82金まで67手詰

見事、初形市松模様から詰上り3枚の煙詰が実現された。

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