長編詰将棋の世界(3) 合駒職人の腕の冴え

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。
作意・変化は棋譜ファイルをダウンロードしていただくことにして省略します。
短評は詰パラ掲載時より増量します。(名前は伏せません(^^))
解説文は元に戻したり、削ったり、増やしたりする予定。

選題の言葉 (2010.02)

 小生の解図力は貧弱である。毎年開催されている詰将棋解答選手権には欠かさず参加しているので、その能力は折り紙付きだ。(編集部:この用語の使用法は間違っています)なので短大や大学の出題は殆ど解けない。しかし大学院はわりと解ける。パラ読者諸賢ならばご存じのように手数と難易度は比例しないからだ。
 ところが昨年の解答者総数を調べてみると大学院が最下位なのである。謎である。今年は正しく難易度に比例した解答者数を示していただきたい。
 堀切さんの作品は小駒が主役。細かい読みを積み重ねていけば解決できるはず。復活の近藤さんの作品は期待を裏切らない内容、是非挑戦を。

堀切良太 詰パラ2010.2


棋譜ファイル

☆合駒職人を自称する作者。合駒というと「どうも苦手だ」と感じる人も多い。なにを隠そう、筆者もその口だ。頑張って解いてみよう。

☆序盤は変化はあるものの一本道だ。14龍で最初の合駒選択になる。

☆aとして先を進めよう。11桂成、同玉、13龍で二度目の合駒だ。

☆bとしておこう。aは桂馬はだめとわかる。同龍、同玉、23歩成、11玉。こでaは歩と判明する。bは歩か桂だ。いや、よく考えれば桂ならば23歩成の所で13歩がある。つまりbも歩に決まりだ。33馬にまた合駒。

☆cとしよう。同馬、同歩で飛金銀は詰。香は離して打って追いつめて詰。桂は12歩、21玉に33桂から銀を取って詰。cは角に決まりだ。21玉に43角と打つしかない。また合駒。

☆dとしよう。同角成、同銀に飛は1手詰。金銀香は11歩成以下。桂は61龍、41合、同龍、同銀、33桂。つまりdはまた角だ。61龍で41e。

☆これは今の読みがそのまま使える。角に決まりだ。先ほどの局面と比べ、64龍が持ち駒の角に換わった形だ。順調である。

☆再び43角に32f、同角成、同銀。

☆今度は角が品切れだ。ここらから深い読みが必要になってくる。しかし色々試行錯誤してみる内に、どうもここからは桂馬が鍵になっていることがわかってくる。桂馬が入手できると詰に至るのだ。つまりfから先は基本的に香合が正解だ。此処にいたってやっと作者の仕掛けた謎が見えてきた。「いかに桂合を引き出すか」

☆鍵となる一手は53手目32香合を同とと取る手だ。

☆同香成ではまた香合されてしまう。かくして44香には香が品切れなので桂合せざるを得ず、これを喰えばあとは急転直下詰に至る。

☆合駒を並べてみると、歩歩角角角香香香香桂。なんと10回も合駒が登場していた。決して煩雑な読みを必要とはしないので合駒作品初心者の方にぴったりの作品だ。

作者 合駒10回の、サバキとはまた違った趣きの作品。収束5手のベタ打ちはどうしようもなく、これをきれいな手順にしようとするとかなり駒数が増加するので良しとした。
原田清実 紡いで紡いで。さすが合駒職人!
中沢照夫 4種10回の合駒読み。強引な所がなく、自然な流れの中で合駒が続くため苦痛ではない。後半は確かに小駒図式の味わい。
加藤清隆 合駒を絡ませた攻防で手数を延ばしていくテクニックはまさしく職人芸。解き終えた充実感は一通りではなかった。
はやし 合駒が多い
斎藤博久 合駒の変化の難易度が適度で解後感がよい。
賀登屋 合駒読みは大変だが、もうひと味何か欲しい。
宮本慎一 王様が大移動して詰んだ。玉は6筋で処刑された。
砂川順一 風みどりさんの言葉で暗算で解き始めたら何とかいけそうと思い、解くことで楽しめました。大学院久しぶりです。
柳原克佳 数えると合駒が10回。合駒を読むのが楽しい、そんな作品です。
原 雅彦 桂・角・香の移り変わりに見とれていると1歩不足してました。
若竹丸 最後は玉方の香が品切れになった。
神谷 薫 序20手は退屈な順だが43角、32角合から急に面白くなる。この序は12歩を打っておきたい、ということなんですね。
野口賢治 初手で引っかからなければ逡巡することなく易しく解ける合駒もの。最後は呆気ないが目的である桂入手と同時に終わるのがタイミングというもの。一方作り手は合駒職人とはいえ4種10枚は決して易しくないはずだ。
武田静山 序盤はスイスイだったが桂を手に入れる順に一苦労。
高谷祥敬 確かに大駒は脇役だ。
竹中健一 確かに小駒だけでうまく仕留めましたね!
名越健将 たった1日で解けました♪38手目桂合か香合かで悩みましたが、あとはスイスイ。
詰鬼人 中盤の再三にわたる角合香合は妙味があります。合駒を堪能できる好局。
小林 巧 長篇物はいつも合駒読みを楽しみにさせて貰っているのだが、今作品の合駒読みは平凡すぎてつまらなく感じた。
凡骨生 微妙に盤面を変えつつ持駒を変換する。
昭和三十六才 歩合2回→角合3回→香合4回と続き、香が品切れになって収束する。最後は72歩にありがとうといいたくなった。
加賀孝志 歩角香の合が続く。狭いので考え易いが密度が高く長い手順。山越え谷越え疲れました。
永島勝利 複雑な変化が少ないので、確かに手数の割にはシンプルでした。それでいて、香の品切れを待って桂合いを強要し、収束という構想はなかなか見事。
鈴木 彊 よく手が続くものだと感心するのみです。詰め上がりも桂香できれいに仕上げている。
今川健一 合駒が10回も有るが、それほど難しくはない。歩から角、角から香、最後は桂、この合駒の変化が面白い。一口で言うなら、「上品な出来、上手いな」、です。
北岡 正一 最初の20手ほどはすらすら進むが、そこからやや難渋。しかしあまり難しい変化がないのがなによりで、個人的にはこの程度の作が好きです。単に捌いているだけではなく前半の角合、後半の香合の応酬や54歩の消去、33香から32となどの小技もあり、収束があっけないのが残念ですが、好作と思います。
和田 登 小気味良い順
須川卓二 数えてみたら合駒10回。後手は約3回に1回が合駒とな。恐るべし合駒職人!大駒は全て消えてるし言うことないね。
増田智彬 歩合2回→角合3回→香合4回→観念して桂合と、同種合駒がここまで続くとは流石です。

☆解き終えて合駒作品が好きになる、そんな作者の狙いが実現した手応えを感じる。

「長編詰将棋の世界(3) 合駒職人の腕の冴え」への4件のフィードバック

  1. 「棋譜ファイルをダウンロード」とありますが、どうしたらいいのかな。

    リンクが何処かにある?

    ソースを見て探せというのかな?

  2. 詰将棋創作チョー入門(4)にあったのですか、、

    読んでいなかった。スミマセン。

    ところで、棋譜ファイルにある変化は、作者が投稿用紙に書かれていたもの「すべて」なのでしょうか?

    もし、そうならば、保存しておこうかと考えた訳です。

    そうでないなら、保存は必要ないのでした。

    1. うーん。なにしろ10年以上前のことなので覚えていません。
      ですが、あまり投稿用紙とは関連はないと思います。

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