詰将棋入門(200) 簡素図から煙

土屋交弘 近代将棋1991.4

土屋交弘は風ぐるま・詰棋界でデビューした大ベテラン。
綺麗な好形好作のイメージが強いが、本作は序が手強い。

持駒に金気が4枚に桂。
かなり強力なので強引な手が出現するのか。

まず目につくのは……

11角成、

これで詰んだら初心向きだが…………

   32玉、33金、41玉、42金打、同馬、
同金、同玉、64角、53銀、

【失敗図】

銀合ぐらいで詰まなそうだ。
持駒を「金金桂」にしても変わらなそう。

そこなら初手から清算していったらどうか。

22金、

   同馬、同金、同玉、44角、33歩、

【失敗図】

これも1路広いので詰みそうにない。

それなら軽く

12歩成、

   32玉、43銀、同玉、44金、52玉、

【失敗図】

31馬が利いているのでこれはわかりやすく絶望。
12銀から23銀成ももっと悪い。

正解は……

22金、同玉、12歩成、

左辺への馬の利きを消してから12歩成と軽く攻める。

しかし32玉の変化が本当に詰むの?

   32玉、22角成、42玉

42は2枚金の威力が炸裂するので簡単。

31角、51玉、52銀、同玉、53金、61玉、
62金

【変化図】

でも22角成には43玉と逃げるよね。

44金、52玉、74角、

ここで63飛、53銀、61玉、83角成、72飛と考えていて、詰むことは詰むがいかにも手数がかかる。よく考えたら63飛合には64桂で簡単だった。

そこで74角には一旦逃げる。

   61玉、83角成、72飛、73桂、51玉、
61金、52玉、43銀、41玉、74馬、52歩、
32銀成、

【変化図】

けっこう大捕物だ。
でも、悩むのはここまで。
4手目は同玉に決まりだ。

(12歩成に) 同玉、  

この局面に至れば鍋に入った感がある。
筋で攻めれば解決しそうだ。

23銀、同玉、24金、32玉、42金、21玉

包囲が完成した。

22角成、同玉、14桂、

この14桂が渋い好手だ。
もし34桂と打てば12玉と逃げられる。

【失敗図】

14桂ならば12玉には34角がある。

【変化図】

あとはどう逃げても5手詰。
したがって14桂には21玉と逃げる。

   21玉、

あとは一寸詰将棋に慣れた方なら一気に11手が見えてくる形。

32角、11玉、22桂成、同玉、23金、11玉、
21角成、同玉、32金寄、11玉、22金まで25手詰

煙と書いたが初形より1枚減るだけ。
簡素図は詰上りに駒が増えると寧ろ印象悪くなるから大変だ。

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