長編詰将棋の世界(4) 歩香銀角の持駒変換

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。
作意・変化は棋譜ファイルをダウンロードしていただくことにして省略します。
短評は詰パラ掲載時より増量します。(名前は伏せません(^^))
解説文は元に戻したり、削ったり、増やしたりする予定。

近藤真一 詰パラ2010.2


棋譜ファイル

33飛成を見て36飛、対して26に捨合という構図だ。この合駒がどう変わっていくのか。作者の描いた構想はいかなるものか。期待に胸が膨らむ。持駒[歩歩]

歩合はできないので香合から始まるのは自明だろう。歩2枚が香2枚に替わったところで、玉方の香が品切れになる。持駒[香香]

次は何か。金合ならば同角で詰むので角か銀だが、この変化は真面目に追うと長い。(4手目角合もしかり)しかし、ゴーストが銀が作意だろうと囁く。なぜか。銀は何枚もある。角は一枚だ。すなわち「角をどうやって入手するか」が作者の提出した謎なのだ。

持駒銀香の時に香合されたら堂々巡りとなりそうだが、銀合いしてくれるのは何故か。銀が持駒にあるときに26香合だと24銀という妙手がある(変化イ)。鮮やかな変化だ。

持駒銀香の時に、46飛と人参にかぶりついてはいけないのか。これには26銀と合駒される。16銀または香としても、24玉と逃げられ33飛成ができないので不詰だ。26銀を同角では39に逃げ込まれてしまう。

かくして香2枚を銀2枚に変換する。持駒[銀銀]

いよいよ46銀を喰う。この瞬間は24銀が効かないので、玉方は香合をしてくる。持駒[銀銀香]

ここで続いて66飛と香も喰うと、また26銀合が炸裂する(紛れB)。

あわてず36飛で香を銀に換えねばならない。持駒[銀銀銀]

66飛と念願の香を喰ってほっと一息。そこに大きな陥穽が待ち構えている。26香合に対し16香と打ってしまうと失敗する。同玉なら作意に短絡するが、実は24玉で詰まないのだ。銀3枚もあるし詰みそうだが、どうやっても27に逃げ込まれて詰まない(紛れC)。そう、27の地点も押さえて、ここは16銀と打たなければならないのだ。一見迂回手順に見える恐ろしい罠。ここでの誤解者は4名だった。

これで持駒は「銀銀香香」。再び36飛で香を銀に変換だ。持駒銀4枚になって、いよいよ玉方に銀が尽きる。持駒[銀銀銀銀]

通算十度目の開き王手に対して、ついに角の登場である。これで持駒は「角銀銀銀」になる。

いよいよ収束だ。しかし気を抜くのはまだ早い。なにしろ作者は近藤真一。最後に大きな謎をもう一つ用意している。すなわち「どこに飛車を開くか」である。

近すぎてはすり抜けられる。遠すぎては広すぎる。香のいなくなった66に再び開くのが正解である。無限循環を要求する26銀に対し、持駒がこれだけ豊富なら24銀が成立する。じっと睨みを利かせながら舞台を造っていた52龍も捌いてまずは文句のない収束である。

宮本慎一 2枚飛車縦横無尽に寄せきった。

持駒変換趣向は看寿の「寿」を構成する部品の一つ。持駒変換部分のみを取り出し、磨き上げた上田吉一の作品群に触発され、かつて多くの作品が生まれた。本誌1988年6月号の添川公司作などが忘れられない傑作だ。そして記憶に残すべき傑作がまた一つ現れたというわけだ。

本作の素晴らしさは次の評が言い尽くしている。

野口賢治 持駒変換で銀2枚に変わったとき3枚に増えたときのみ、それぞれハガシが決行できる構成は実に見事。銀香の選択を誤ると早詰になる落とし穴もまた見事。角合を余儀なくされるまで飛の開き位置も常に限定されており、ケチのつけようもない。今後の趣向作の指標ともなるべき傑作だ。

加賀孝志 香から銀へ持駒変換にリズムを感じる作。最後は角から飛へ無駄がありません。楽しめる作。難解作より趣向的味わいのが疲れません。

本作、慣れた方にとって作意にたどり着くこと自体は難しくはない。いわゆる難解作ではないのだ。

昭和三十六才 歩が最後は角になる。わらしべ長者のよう。

小林 巧 持駒飛香2が銀2香2、銀4…角銀…と刻々と替わっていく手順は面白く感じました。

神谷 薫 なんとなく持駒変換は続くし持駒も増える…解答者としてはとりあえず最大繰り返し回数かな、というところから収束に入ってみて、それっぽい手順を見つけたので解けたとは思うが、作者は他の持駒の組み合わせでは詰まないことを確認しているんですよね。そう考えるとこの収束は奇跡的。

詰将棋解答の「正解」を得るには変化紛れを読み切ることまでは要求されていない。作意さえ解答すれば「正解」だ。しかし、本作に関しては是非変化紛れまで鑑賞していただきたい。空間の広がりだけで差異を表現しているのが凄い。

飛車の移動時期と位置を完全に限定させることで、ボリュームあるパズルに仕上がった。機能美に溢れた内容を是非盤に並べて味わって欲しい。

賀登屋 面白い、最高!!

鈴木 彊 角合をさせるまでの飛車の横の移動は実に面白く、詰将棋の醍醐味を味わうことが出来ました。

高谷祥敬 これは面白い。極上のパズル。苦労した甲斐があった。

作者 本作の創作は30年ほど前の大学時代に始まります。もう少しすっきりした配置にしたかったので放置してありました。
今更の感もありますが、ストック中に類作も発表されなかったので今回投稿しました。
手順はともかく、配置に関してはダメですね。

竹中健一 持駒変換ですが、変化も良くできていてサスガです!

今川健一 香、銀、はた、角?、合駒調べで草臥れる。誰か替わりに逃げてくれ、そう言いたくなりました。狙いを付けた66香を最初に取ったのも、苦戦の原因。取ってからも長かった、再度の66飛、上手く出来てる。持駒変換趣向でしょうが難しい。

須川卓二 持駒変換しながらRPGのようにステージを進めて行く。どの順が一番長いのか?近道を通ったかもしれないなあ。それにしても効率的な見事な駒配置だ。

みなさん、「効率的な配置」と誉めてる。私もそう思う。が、まだダメらしい。作者は謙遜しているわけではなさそうだ。完璧な図のイメージをしっかり掴んでいるのだろう。

永島勝利 香と銀の合駒の関係の把握に緻密な変化の読みが必要。観賞用だと良いのですが、懸賞だと疲れます。

はやし こういうのは合っているのか判断するのが難しいです。

武田静山 早く66香を取ろうとすると失敗する。

斎藤博久 飛を66に移動するための合駒の応酬は見事。

凡骨生 美事な持駒変換で順序と場所を間違えると早詰となる。

詰鬼人 めまぐるしい飛車の横動き幻惑された様で、持駒が変化するのは面白い手順。

和田 登 持駒変換の複雑な趣向

増田智彬 初見では持駒変換が出来るとは思えない構図。

躑躅 歩2枚がいつの間にか銀4枚に変化を一部飛ばしたので間違ってるかもしれません.

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