「迷宮の振子」結果発表 (下)

解題(つづき)

いよいよ収束。

17角

33玉、23と、同玉、33金

17角から33金が最後の妙手。

17角は33金に対し、14玉と逃げた際に26桂と打つ為の変化伏線だ。

同玉、44角、

43玉では22角成があるので右辺に逃げるしかない。

23玉、22と、14玉、26桂

真に邪魔なのは67飛ではなかった。
76龍こそが守備の要だったのだ。

右辺で2枚桂を入手した後、すぐに収束に入れなかったのは、76龍が26桂をはばんでいたからだったのだ。

25玉、37桂 迄67手詰

詰上がり図

それでは、作意をまとめて並べて頂こう。

解答者の感想

【風】はオイラの発言です。

佐藤和義
序奏と収束が短く、振子部分を長くして、うまく構成させている。
振子の意味付けが巧みにできており、解く側はしだいに楽しさと充実感を味わっていき、解後感がとても良い。
これも細かい変化手順を読み切れた苦労の反動でもある。

【風】序盤の難しさが、後半とのバランスでどうしても必要だったのかもしれませんね。

谷口 翔太
感想解き終えて「迷宮の振子」の表題に納得。
44を支点にして角が左右に振れる。
駒を取る手は別にして、左辺での角の振り場所が面白い。
最後は右辺への最遠振りの17角、これも変化に備えた妙手です。「玉手箱」の初出題、楽しく解図しました。
修正図の発表の場としてブログは最適ですね。
次回の出題は何時、どんな作、楽しみに待っています。

【風】谷口さんは某有名解答者ですが、「やさ院」の時はこのペンネーム。でも文章でどなたかはバレバレですよね。

つつじ
解いてみても迷宮という感じはしませんでした。
誤解してるかも。
左側の折衝を進めるために角を何度も移動させるのが面白かったです。

【風】角の移動は何回だったか。途中図を利用して数えてください。

ぽこりん
62金打つまでの序盤で1時間ほど残りメインと思われる手順は1時間半ほどで解きました。
2枚の桂馬を取った後、収束が見えたのですがこれを成立させるまでの手順がなかなかわからず苦労しましたが、これはとても楽しい時間でしたし後半の手順はすばらしかった。
解いた後の印象は‘難解ではないけど精密で高品質なパズルチックな作品’です。
普通なら長編なら解かない(解けない?)のですが、「山上の僧院」がすばらしかったので解けなくてもとりあえず挑戦はしようと思ってよかったです。
大橋さんのファンになりました^^
これからも楽しみにしてます。(9月号の大学の作品は唯一挑戦して解けました。)

【風】パラの長編作品は当然難しいのですが、「この作者の作品はとりあえず考えてみる」ということがあります。
結局、解けなくても結果発表がより楽しみになるし、より理解も深まるからです。
うまくいけば収束は分からなくても趣向部分は解明できて、結構満足できると言うこともあります。。
「この作者」の中に大橋健司の名前は是非入れておきましょう(^^)

中西進
【風】感想はありませんでしたが、手順は見事正解でした(^^)
飯尾晃
要は86角実現のために角をあれこれ繰り替えるんですね。
その後も17角が飛び出て来るのは流石。
発表図にあった95角の遠打が消えたのは残念ですが、複数の余詰をうまく修正したと思います。
ところで12手目の32玉は不利逃避と言うんでしょうか。

【風】詰将棋は本質的に「絶連」なので、鑑賞者がその手順をどう読み解くかということなのだと思います。
「不利逃避」はその中でもただ最長手順で逃げているだけじゃないかと言われても仕方のない概念で、
特に逃げ道を開ける意味付けなど、説明されないと分からないという事態にも陥りかねません。
ですから本作の場合、鑑賞者が「31に利きを増やす不利感」を重視すれば「不利逃避」ということも可能だと思いますが、
角の開き王手の場所を制限させようとする動きと解釈すれば…。

大村昌利
まずは、歩と香の打ち替えで、銀の移動を図り、そして、軽い振り子で形を整える。
それから、竜飛の利き筋をそらしながらの振り子。
収束は、入手し直した桂桂での吊るし桂。
角桂だけでなく、銀の働きも見逃せません。
起承転結、見事な作品と思います。
繰り返し並べさせていただきました。

【風】昔はパラの作品を総て盤で並べていたけれど、最近は月に数作あるかないか。繰り返し並べたくなる作品は宝物です。

「さとし」という男です。大橋さん作に解答しちゃいます。
今日もちょっと(大分?)飲んでいて、酒の勢いで急に解いてメールしちゃってます。
いまさら「饗宴」が欲しいということもないんですけどね。まあ、枯れ木も山の賑わい、ということで。

とにかく、久しぶりに詰将棋を解いてみたくなっちゃったのです。
手順を書く(打つ)のはちょっとめんどくさかったんですけどね。

間違ってたらごめんなさい。
そんなときは駄目な酔っぱらい(毎度のことだけど)ということでご勘弁。
なかったことに。

詰将棋ってやっぱり面白いということを実感しました。
楽しいです。

30年前なら記憶にあるはずで簡単だろう、と思ったのだけれど、全く思い出せませんでした。
でも、そんなボケた記憶力のお陰か、楽しめたのは逆にラッキーでした。

それにしても、全く覚えていない自分が情けない。やっぱり年をとったということですかね。

【風】「さとし」…いったどなたでしょう(^^;;
めんどくさい解答を書いておくってくださって、本当に有難いです。
さとしさんだったら、解答書かなくっても正解に間違いないという信用ありますから感想だけでも良かったんですけどね。
そして、感想もなんだか酔っぱらっているんですけど、せっかくなので全部載せました。
そんな酔っぱらいのオッサンの「詰将棋ってやっぱり面白いということを実感しました。楽しいです。」という言葉は重みあります。

池田俊哉
26,17の桂を入手し、角銀の繰り替えから95角を活用して二桂を持ったまま64龍の形にする構想。
その構想も素晴らしいが、変化の11角成を防いでいったん「32玉、22と」とするあたり、加えて初手33歩として75銀の形を作るという構成が見事。
初手から収束まで首尾一貫したストーリーを形作れるのはこの作者ならでは。

【風】いつもながら完璧な短評ですね。大学院担当していた時も頼りにしておりました。

須川卓二(たくぼん)
「迷宮の王」を解いたのが22年前だが、その時の感動は今も頭の中に残っている。
“振子”は”王”より分かりやすい謎解きとなっており頭の回転が鈍くなった年でも充分楽しめる内容です。
感心したのは序。
33歩~33香とはお見事としか言いようがありません。

55角の意味付けがたくぼん家のトイレのようにダブっている様に見えるががまあ気にはならないでしょう
(誤指摘なら無視ください)

【風】「たくぼん家のトイレ」とは正確には「トイレットペーパーフォルダー」。
ペーパーに切れ目が付いているのに、フォルダーにもギザギザがついています。
55角が64に効かす意味と45香を守る意味と二つあると言うことです。

ミーナ
26、17に餌がみえる。86にも。タイトルも振子だし。
初手33歩は41玉で全然詰まないので、33香の一手。
44角、43玉、55角で簡単に詰みそうなのに、これが詰まない。
47銀がいるからには、脱出する変化があるはずと思ったのが間違いの元。
初手までもどって、75銀の事前工作。
55角の指定局面が今度はどうやってもすぐに詰む。
32玉、22と寄の交換はいわゆる不利逃避?(違うか・・)
趣向部はすぐわかった。
67飛の配置が鍵ですな。
収束はちょっとわかりにくいけど、右から壊すしかないか。
桂2枚で捕まってるとは、なんだかあっけない。
ってことはそうか、竜の効きをはずす伏線だったのか。
あとから気がついた。
竜の翻弄は軽快で楽しい。
捨て合がないか探してけど、それはなさそう。
桂を入手する順序など、うまく限定してある完成品でした。

【風】ミーナさん、お久しぶりです。ミーナさんは詰パラの検討者。しぶい打歩テーマの創作で有名な作家でもあります。
76龍の効きを外すというテーマがあとから気付くことになるのが慥かに普通の解図過程ですよね。
ぽこりんさんは一番作者が望む解図過程を辿ったので一番の幸せ者でしょう。

三輪勝昭です。
序の18手は序盤として完璧ですね。
とりあえず単純に桂を取ってそこから恐ろしい大橋ワールドの開幕です。

まず一つ目、86桂を取るため75銀消去と65龍の形にするため1回1回角の位置を替えなくてはならない論理的構成。

二つ目、86桂を取って桂2枚になったけど何も得してない。
64銀に同龍の局面からは桂が増えているけど、28手目の局面からは76龍なら香を抜かれる心配もないし。
そのタネは26の利きにありました。
たったこれだけのためにかかる手間が楽しくてたまらない。

三つ目、26桂を狙って一旦17角とします。
23金を取り22金から26桂と打てますがそれでは35玉で詰まない。44角なら詰むけど。
そこで33金から44角に出来るのが秀逸。
22金と違い33金なら26桂、25玉、37桂、35玉に34金がある、
それだけでこの17角、44角変換が成立している。
と思ったら22金には33玉でも詰まないか…でも33金~44角に出来るのは巧妙に出来ているのは変わらない。

僕は複雑な変化がなく論理的な構成で成立している作品が好きです。
僕は実は最初から柿木将棋で答を見てるけど、それでも素晴らしさの分かる作品です。
完全に看寿賞級の作品です。
修正作に権利がないのは当然と言やぁ当然なんだけど、そんな固い規約は廃止しても良いと思う。

【風】詳しい感想、ありがとうございます。なによりもこの長文を携帯で書いていることは驚きです(^^)

総評

谷口 翔太
「玉手箱」の初出題、楽しく解図しました。
修正図の発表の場としてブログは最適ですね。
次回の出題は何時、どんな作、楽しみに待っています。

【風】次回は考えていませんでしたが、慥かに修正図の感想を聞きたいという場面はありますよね。
もし、また要望があったら考えてみます。

当選者

厳正な抽選の結果、当選は次のお二方に決まりました。

「饗 宴」 ぽこりんさん

「奇想曲」 大村昌利さん

おまけ

今回の「迷宮の振子」というタイトルから、詳しい方は作者の自信作であることを読み取ったはずだ。
というのは大橋健司氏にはたくぼんさんの評でも触れられていた「迷宮の王」という傑作があるからだ。

実はこの「迷宮」は3部作として完成するらしい。

作品集も着々と進行しているようで、楽しみだ。

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