詰将棋入門(8) 立体曲詰

添田宗太夫 将棋秘曲集 第82番 1752

再び、添田宗太夫です。
今度は大きな形ですが、手順は初心向き。
安心して、まずは考えてみてください。

95金、75玉、76銀、64玉、75銀打、55玉、56銀、44玉、
55金、35玉、36銀、24玉、35角、15玉、16歩、同玉、
17歩、15玉、16金 まで19手詰

おわかりだろう。
本作の狙いは初形と終形の両方にある。
このような作品を立体曲詰と呼ぶ。

あぶり出し曲詰と初形曲詰を合わせたくらい創作難易度は高そうだ。

手順はさほど期待されないが、すべての配置駒に意味があるように要求される。

本作の場合、93香の配置はやや怪しい。
というのは93香をそのまま削除しても詰将棋としてはなんの支障もないからだ。

しかしこの93香を飾り駒と断定するのはちと酷な気がする。
それは93歩ではないから。
93香、94歩のない局面を想像してみる。

それは初手から76銀、96玉、85銀打、95玉、94金までの早詰だ。
それを防ぐために93香を配置する。
すると作意の初手95金が打てなくなってしまう。
そのために94歩を配置した。

こう考えると93香も意味のある配置だと考えられないだろうか。
(甘やかしすぎです)

94歩が76銀、96玉、85銀打、95玉、96歩以下の余詰も防ぐ効率的すぎる配置なのだ。
そこで筆者の改作案は次の図。

ところで「趣向詰将棋名作選」の立体曲詰の定義によると

初形と詰上がりの駒配置を合わせて何かの意味を持たせたもの。
表裏曲詰・複式曲詰ともいう。

とある。したがって下図は自作だが立体曲詰と称することはできない。
(易しい7手詰なので解答は省略)
初形も終形も対称配置というだけで関連する意味はないからだ。

では添田宗太夫の作品は何を表わしているのかというと、閉まった窓と開いた窓ということらしい。
最近はそのよう仕組みの窓をみないのでピンとこないが、前々回も紹介した利波さんの新刊では画像入りで理解できるように工夫されているらしい。完成が楽しみだ。

将棋秘曲集についてもっと知りたい場合は次の情報にアクセスすると良いだろう。

  • 象戯秘曲集(via.詰将棋博物館)
  • 利波偉さんが製作中と噂の新刊

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