詰将棋入門(9) 角不成

久留島喜内 橘仙貼璧 第120番 1757

本日紹介するのは久留島喜内。
看寿に並んでファンが多いと思われるので4局予定している。

解きやすい作品が多いことも嬉しい。
本作も簡単なので初見の方は挑戦してみることをお薦めする。

75歩、同玉、76金、同玉、77飛、同玉、
86銀、76玉、68桂、同角不成、77歩、同角不成、
85銀、75玉、67桂、同角不成、76歩、同角不成、
84銀、74玉、66桂、同角不成、75歩、同角、
同銀、同玉、84角、74玉、75歩、83玉、
93角成、同玉、63飛成、94玉、83龍、95玉、
84龍、96玉、86龍 まで39手詰

門脇芳雄「続詰むや詰まざるや」によると

この趣向は、昭和になってから何題も類作が発表されているが、久留島が元祖である。

とある。

不成の手筋と銀歩送り趣向を知ったばかりの創作初心者がいかにも思いつきそうな筋なのである。
何を隠そう、筆者も作ったことがある。
図面は残っていないが確か下図のような感じ。(検索していないがいかにも同一作ありそう!)

もし読者の中にも類作・同一作を作ったという方がいたら、是非とも「ハッピーアイスクリーム!」と喜び合いたいものである。

ところで、本作、23手目65歩、同角、同銀と精算してしまうのならば、22手目66同角不成とする意味がわからない。筆者の勘違いか。

久留島喜内の作品は刊行本があるわけではなく、幕末の好棋家榊原橘仙斉が残した採集メモがあるのみらしい。したがって、未完成作か誤図の可能性もある。

どこかで久留島が壁に図面を貼っていたものを収集した…といった記述を読んだ記憶がある。
しかし壁でなく璧というタイトル。
壁に貼られた宝物といった意味で璧なのかもしれない。

なお1757年は久留島の没年である。

橘仙貼璧についてもっと知りたい場合は次の情報にアクセスすると良いだろう。

これらの江戸時代の詰将棋については次の文献を参照している。

  • 門脇芳雄 「続詰むや詰まざるや」 1978 東洋文庫
  • 三木宗太 「江戸詰将棋考」 1987 将棋天国社
  • 二上達也 「将棋図式集(下)」 1999 ちくま学芸文庫

追記(2020.4.20)
詰棋めいと第4号(1986.4.1)に清水孝晏が『初公開「橘仙貼壁」』という論文を発表している。
その中に次のような記述があった。

しかし、「貼璧」の方は「貼壁」の方が妥当だと思う。
その理由の第一は、越智氏の所持される山村写本には『橘仙貼壁』と表記されていること。
第二は、前記の将棋月報の12局の作品のうち3局が「貼壁」になっていること。これは印刷所の誤植かも知れないが、越智氏の写本を見れば、明らかに山村兎月氏自身が字の違いをそれほど気にしていなかったとも考えられる。
第三は、二階堂氏のいわれる通り、久留島喜内はかなりの奇人で、自分の研究したものは壁に貼っておくだけで、弟子たちが後にそれをまとめて出版したという話である。
これらのことから、従来は『橘仙貼璧』という呼称で知られてきた本書ではあるが、今回の全局発表を機に『橘仙貼壁』に統一することを提案するものである。

壁と璧を混同してる人はよくいる。せっかくの清水さんの提案だが、その後に出版された二上本でも「璧」なので、とりあえず「璧」のママにしておく。
ご意見ある方はコメントいただけたら、修正するかも知れない。
読み方はどちらも「キッセンチョーヘキ」だからどちらでもいいのではないかというのが本音。

なお本作には余詰がある。
13手目でも19手目でも角を取ってしまって詰む。

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