詰将棋入門(13) 死刑の宣告

赤池嘉吉 「死刑の宣告」 将棋解頤 第44番 1838

有名な「死刑の宣告」という作品である。
作者は福田稔「名作詰将棋」によって赤池嘉吉としたが,「作者不詳」とする方も多い。(門脇芳雄「続詰むや詰まざるや」など)

35手詰。

本作は決して難しい作品ではないが,このあたりの手数の作品が一番解きがたいというのは事実である。

そこで,本日は詳しく手順を解説する。

初手14桂も見えるが,まだ持駒に桂馬を温存しておいて24歩を35桂に打ち換えるのが好手だ。

23歩成、同玉、35桂、

この桂馬は取れない。
なぜならもし取ると…。

24歩と打ち直し,同玉なら35金右以下押し潰せる。
24歩には22玉だが,今度は34桂と打てる。
13玉に角を活用して14金,同玉,32角成以下早いのだ。

そこで…戻って35桂には

22玉、

歩を桂馬に打ち換えたのは,23歩と打ちたいからだが,ここで初手にも考えた14桂を検討してみよう。
この局面で14桂だと同香,23歩,13玉,12金,24玉,34金,同玉,43角成,24玉

ここで25歩が打てたら詰みなのだが,生憎二歩である。
まだ,桂馬を手放すのは時期尚早ということだ。

そこで22玉に戻って…

23歩、13玉、

ここで25桂打が有力そうに見える。
しかし,14玉と上がられて次図。

以下,24金,同玉,34金と迫っても,再び14玉と戻られて続かない。

したがって,やはり桂馬を温存して金を捨てていく決断をするのが正解なのである。
前々図(13玉)より

24金、同玉、34金、

ここで13玉なら,14歩,同玉,25金(!),同桂,26桂(!)があるのだ。
したがって…

同玉、43角成、24玉、

いよいよ虎の子の持駒桂馬を手放すときがきた。

36桂、13玉、14歩、同玉、

金と33の桂馬を交換する。

25金、同桂、同馬、13玉、

さらに馬を桂馬に打ち換えるのが妙手だ。
一度この筋を知っている人には簡単だろうが,初見の方には驚きだろう。
24馬ではなく,14馬と捨てるのだ。
その心は12玉の逃げに24桂を用意しておくことにある。

14馬、同玉、

さていよいよ舞台は整った。
ここから「死刑の宣告」の由来がわかる追い手順が始まる。

26桂、13玉、25桂、12玉、24桂、21玉、

もうお分かりだろう。
「死刑」は「四桂」の洒落だったのだ。

22歩成、同玉、34桂、31玉、43桂不成、41玉、33桂不成 まで35手詰

この桂馬4枚による詰上りを四桂詰という。
終形に玉と桂4枚以外の配置がない場合は,純四桂詰と呼ばれている。

四桂詰に興味を持たれた方は,詰将棋博物館などで

  • 養真図式 第94番
  • 将棋手段草 第66番
  • 将棋妙案 第67番
  • 将棋舞玉 第63番
  • 将棋万象 第11番

を並べてみるとよいだろう。

また作者について福井稔が詰将棋パラダイス誌に論考を発表している。
“死刑の宣告” 異聞 (詰パラ2011.12)
続 ”死刑の宣告” 異聞 (詰パラ2012.03)
(いずれもvia.詰将棋一番星)

これらの江戸時代の詰将棋については次の文献を参照している。

  • 門脇芳雄 「続詰むや詰まざるや」 1978 東洋文庫
  • 福田稔 「名作詰将棋」 1986 有紀書房
  • 三木宗太 「江戸詰将棋考」 1987 将棋天国社

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