詰将棋入門(18) エレベーター詰

堀半七 18??

生飛車の頼りにならなさを痛感させてくれる傑作だ。

24飛打、15玉、16歩、同玉、26飛引、17玉、27飛上、18玉、
28飛、17玉、27飛引、16玉、17歩、15玉、25飛、14玉、
24飛、15玉、25飛上 まで19手詰

本作は堀半七という作者名も篠原昇の研究で明らかになったとのこと。
それまでは作者不詳ということで人伝に伝わってきた作品なのだろう。
民話になった詰将棋といえようか。
それだけに異図も多い。

玉方11桂は22歩だったり、攻方23歩だったりする。
また持駒の飛車が28に配置されている図も見た記憶がある。

本稿を書くに当たって最も頼りにしているネタ本の1冊である福田稔「名作詰将棋」によると初出は次の図であるという。

明治初期の愛棋家、小林棋好が書き記した「小林棋好手記詰物」の第12番であるという。

それなら何故冒頭にあげた図を選んだかというと、門脇芳雄「続詰むや詰まざるや」がこの図を選んだということ。
そのお陰か、現在では最も持駒飛歩2の図が世の中に定着しているようであること。
手順の中で最も難しいのは3手目の16歩であり、これを初手にもってくるより3手目にした方が作品として勝っていると判断したこと。
以上が理由である。

しかし、小林棋好図にも未練はあるのだ。
もし、作者の狙いがこの初形と終形の対比であったとしたら……すなわち一手で飛車と歩をの2枚を打ったのと同じ効果を持駒の歩1枚の消費で実現するということだったら、初形は当然15玉形でなければならない。

そんな伊藤正みたいなことを明治の人が考えるかって?
宗看や看寿だって300年は時代を先取りしていた。
明治時代に伊藤正がいたっておかしくはない。

閑話休題。
この紛れ順を利用して長編詰将棋に展開した作品がいくつかある。
「つみき書店」が「風みどりの玉手箱」だった時代の古いコンテンツだが興味のある方はどうぞ。
堀半七」(「詰将棋いろはカルタ」より)

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