詰将棋創作講座を読む(9) Chun詰将棋の杜

今回は全さんの書いた創作法を紹介します。
かつて「Chun 詰将棋の杜」というweb頁がありました。そこに書かれていた詰将棋の作り方は次のようなものでした。

  1. 狙いを決める
  2. 構図を作る
  3. 収束を作る
  4. 検討する
  5. 推敲する
  6. 検討する

順に読んでいきましょう。

1.まず、狙いを決める。

自分が実現したい狙いを考える。
この時に注意するのは、論理的には正しくする事。論理的に正しくなければ、これからの作業が無駄になるから。

狙いから作り始めるのは最近の若い作家のスタンダードのようです。

その際に論理的に正しいことを確認せよと書いてあります。
どういうことかというと例えば「3手で打歩詰回避の不成の入った図を作ろう」と考えたとします。

しかし考えてみると3手詰は攻方の手は2手のみ。

  • 不成の手
  • 歩を打つ手

これでは詰ます手が入りません。
論理的に破綻しています。

(ところが金子清志はこれを実現させました。このブログのどこかに既に書いたような気がします。天才は違う!)

2、形を考える。

狙いを決めたら、次は、それにふさわしい形を考える。
これが、簡単に見えて(?)なかなか難しい。
コツとしては、言葉にし難いのですが、
攻防のバランスを取るという事でしょうか。
あと、収束を作りやすい形にすること。
これをしないと、次の過程がしんどくなる。
もっとも、作りやすい収束の形というのは多くの詰将棋を鑑賞しないとわからないのですが。

この狙いを実現する構図の取り方に、その作家のセンスが表れるような気がします。
センスというか作風というか……個性と言えば良いでしょうか。

全さんは攻防のバランスを取ることをコツとして語っています。
私は玉をガチガチに固めずに、ゆらゆらとあちこちから逃げられそうな構図が余詰になりにくいように思います。

そして全さんもたくさんの詰将棋を鑑賞することを薦めています。
このブログの詰将棋入門は基本「良い詰将棋の鑑賞」です。

3、収束を決める。

次に、収束を考えます。
僕はとにかく、捨駒で終わる事を考えます。
しかも最短に。
こうした方が狙いがきわだつと思うので。

これは典型的な短編作家の思想です。
私も短編作家なので共感します。

もちろん別の考え方もあり、舞台装置を全部捌いて片付けるのが好きな人もいれば、狙いが終われば後は詰みさえすれば良い(捨駒も不要)という人だっています。

実際には、2の構図を作る段階で収束のありかたは決まってしまっていると思います。

4、検討する。

この状態で、まず検討します。
余詰、不詰がないかどうか、1手1手調べていきます。
そして、あれば、修正します。
ここが一番大変な作業です。
いくら、自分でできたと思っても、自分の作品に対する愛着があるので、検討が甘くなりがちだから。

不思議なもので人の作品だとパッと見える問題点が、自作だと全然見えなかったりします。
ヒトがいかに自分に甘い生き物であるか実感するのが詰将棋創作です。

5、形を整える

たいてい、ここまでやってくると、形がぐちゃぐちゃになるので、
形を整えます。
例えば歩ですむのに飛車になっているところを歩にしたり。
ただ、ここで余詰、不詰が、新たに生まれないように細心の注意を払います。

配置された駒の意味を一つ一つ確認していくと、創作の途中まで必要だった駒が不要になっていたりすることがあります。また2枚の駒が別の配置を考えると1枚で兼ねることができることもあります。
配置の推敲です。

超短編の場合は狙いを実現するのに最短の手数を考えるので推敲は主に形が対象です。
手数に拘らない場合は、少し緩めの助走が有った方がいいだろうかとか手順の推敲も必要でしょう。

6、また、検討する。

もう一度検討します。
そして、不完全なら修正します。
4と同じく、大変な作業です。
自分に甘くなり勝ちな事に対する対策は、1ヶ月冷却期間を置いて検討する、棋友に頼む、などがあります。

また検討。
とにかく検討は時間を溶かしていきます。
全さんは

  • 1ヶ月程度寝かせておいてから検討する。
  • 棋友に検討を依頼する。

を上げていますが、今でしたら

  • コンピュータを利用する。

も入るでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください