詰将棋創作講座を読む(10) 原田清実rainbow world

今回は原田清実さん。

精神論編で次の7つを挙げています。

  1. でもしか状況に追い込む
  2. 人様の作品を解く・鑑賞する
  3. 思い立ったが吉日
  4. 1週間に1作を目指す
  5. 詰将棋の会合に参加する
  6. 脊尾詰を購入する
  7. 音楽に親しむ

タイトルだけでは伝わりにくいですが、刺激を受けて投資もして満員電車の中とかで作りましょうということです。さらに期限と目標を設定するのも大事と言っています。

「思い立ったが吉日」から引用します。

 何かを思い付いたらその日のうちに完成させちゃいましょう。確かに推敲されつくした作品は素晴らしいですし、完成まで数年という作品もそれだけの価値があるものが多いと思います。
 しかし、私はそんなに待っていられないのです。(気が短い)また、詰将棋にかかわらず、よい作品は意外とあっさりとできるものではないのだろうか?と思っているからです。

よい作品は意外とあっさりできるというのはわかるような気がします。
バットの芯に球が当たったような感覚でしょうか。

「人様の作品を解く・鑑賞する」というのは村山隆治も書いていました。
原田清実はどう書いているか。引用しましょう。

 ネタがなくなって困っているときにはこれに限ります。最近の私はほっとんどがこれです。もっとも、他人の作品に手を加えるというのはいけません。それでは盗作です。倒錯しないように。
 作品を解いているといろんなことを思い付きます。
 例えば、「こうやって詰んだらかっこいいなあ、これで1局できるなあ」とか。まあ、いざ解いてみるとそれが作意だったりすることがほとんどですが。
 時には図面を見ただけで何かを思い付くこともあります。「何を」と訊かれると困りますが。
 大事なのはそれを更に発展させることです。お前のは発展させているようには見えないぞって言われると泣いちゃいますが。
 鑑賞するよりは、やっぱり解いた方がいいでしょう。紛れ筋にはまったおかげで儲けちゃったってことはしょっちゅうです。
 これが私の「人の詰み見て、我が詰み作れ」主義です。

この他の作品を鑑賞していて自作をモノにする具体例をいくつか書いてくれています。
参考になると思いますので、ダイジェストで紹介します。

周藤裕也 詰パラ 1997.7


6六角、3八玉、2七銀打、同と寄、4九龍、同香成、7四角 まで7手詰

  • 49龍を57桂で取らせることもできそうだ。
  • それなら66角、57桂合と合駒で出せそうだ。
  • 移動合で57桂生の方が面白いのでは。
  • 6六角、5七桂不成、〇〇〇、3八玉、4九〇、同桂成、6五角 まで7手詰
  • この形ならば、飛車を使うしかない。

原田清実 詰パラ1998.9


66角、57桂生、43飛、38玉、49飛成、同桂成、65角まで7手詰

平均点2.60で首位を獲得しています。
片山倫生–初形と手順の調和が素晴らしい。

周藤作と同じ筋は筆者も作った記憶があるのですが、見つかりませんでした。(夢見てるだけなのか)
でも、その証拠に(?)何を考えているかはわかります。
この筋、5手詰で表現したいのです。
ですが、2手目同龍の変化が5手かかりますので、どうしても変同(変化同手数)になってしまう。
そこで27銀打、同と寄の2手をいれざるを得なかったとみます。
変化も付けて素晴らしい仕上げだと思います。

原田作は構図と手順が似ているのは弱点なのですが、周藤作が攻方の妙手を主眼にしているのに対し、玉方の妙手に主眼が移っているので別の作品といってまったく問題ありません。
初手58飛の余詰対策の配置である96飛が初手を限定打にしている点など上手いものです。
使用駒10枚で纏めて、都会的で現代的な原田テイストの作品になっています。

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