詰将棋入門(38) 実戦形

11手詰と17手詰なので先に図面を2つとも並べてしまおう。

金田秀信 王将 1950.1

金田秀信 近将 1954.7


72金、同玉、84桂、82玉、73銀、

金・銀を先にたてつづけに捨ててしまうのがいい感じ。
73銀に同玉は63飛成~74龍~85龍と大駒の威力が炸裂。


同桂、81飛成、同玉、63角成、82玉、72馬まで11手詰

飛車を捨ててフィニッシュ。
綺麗な初形から綺麗な手順で文句なし!


34金、同金、35角、

初手から35角ではなく、34金、同金としてからの35角が解答者の心を掴む。


25玉、26飛、35玉、36飛、24玉、34飛、25玉、24飛、同玉、23金、25玉、36龍、14玉、34龍まで17手詰

あとは飛車を26~36~34~24と振り回して終了。

実戦形の定義といったものはない。(と思う)
端に桂香が揃っているものは桂香図式と呼ぶ人もいるが12香・13桂だったらどうなのか?

詰将棋はそもそも「持駒がきれいになくなってぴったり詰む」とか「いろいろやりかたはありそうなのに、この1本の道筋以外詰まない」といった驚きが共感を呼び価値を生み出している。

だから実戦形も、日頃見慣れた日常的な風景からとんでもない面白いことが始まるから価値があるのであって、その初形に桂馬や香車が配置してあっても作品の価値が上がるわけではない。(本にするとき、「実戦に現れるような形の詰将棋」といった無駄な宣伝文句が使える程度)
ましてや本当に実戦みたいなやりとりに終始していたら、詰将棋としての価値は0だ。

だから実は11手詰の方は歩を突いているので右側に対称移動した方が自然に思うのだが…金田秀信のことだからなにか深い理由があるに違いない。

詰将棋は指し将棋の役に立つかというテキストを書いている筆者だが、真面目な話、指し将棋を強くなるために詰将棋を解くのだったら、竹中健一さんみたいな方は別として、金田秀信作品が一番適しているのではないかと根拠なく思う。
作者の金田秀信さんは昔は新宿将棋センターに行けば会えたので、ご存じの方も多いだろう。

金田秀信に興味を持った方は次の情報にアクセスしてみると良いだろう。

  • 金田秀信全作品 金田秀信 野口文庫 1974.10.10
  • 短篇詰将棋百番 金田秀信 新宿将棋センター出版部 1993.6.1

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