詰将棋入門(39) 限定打に中合

湯村光造 詰パラ 1956.9

作品集がないのが不思議な作家ナンバー1が湯村光造だ(当社比)。

    大ベテラン。
    作品はどれも極上。

ご本人に作る気がないなら密造してしまいたい。
(お名前をもじって酒野密造という筆名を作ったが大塚播州氏に譲ったという話を読んだ記憶があるのだが……?)


使用駒8枚の端正な初形。
初手は誰もがやりたい王手飛車。

27飛、同龍、98金まで3手詰

で終わりのはずはない。
まずは逃げる変化から確認しておこう。

27飛、88玉、28飛

飛車も入手できて持駒豊富。
78に合駒を打つと(図は例えば78金打)
86飛などで詰む。

99玉に96飛と香車を取ってしまう感じだ。
したがって78金と移動合が長くなる。


同飛、同玉、77飛、69玉、79金、59玉、49金まで11手詰
これは同飛ととって豊富な持駒を並べていけば良い。

さて、いよいよ本筋の2手目合駒の順を考えていこう。
27飛に仮に37歩とした場合が次の図。

37~77のどこに間駒されても同飛とはとれない。
とると88玉と逃げられて28飛をとれないからだ。

したがって3手目は2手目に関わらず87金となる。
27飛、〇7合、87金、98玉、28飛と進めたのが次図。

また間駒になる。

つまり本局は2手目の七段目の間駒と6手目の八段目の間駒の種類と位置を考えなさいという問題なのだ。

ここで色々と試行錯誤が始まる。
そしてだんだん見えてくるのが次の2つの詰め筋だ。

仮に78歩合とした図で説明する。
【97金】
97金と攻めるのが有力だ。同玉は98飛まで。
88玉も87馬、89玉、98馬まで。

【99飛】
99飛も有力だ。
同玉の一手に77馬、89玉、88馬まで。

これって、もう受けようがない気がする。

99飛から馬を活用する順を防ぐには88に利く駒を間駒と考え、78金合とすると97金の筋で詰む。
97金の手がある以上、78に間駒はできないのだ。

ここまで考えて。八段目の間駒は68銀しかないことが解る。
97金に対して78の逃げ道を空け、99飛、同玉、77馬を防いでいる。
すると、七段目の間駒は67歩か?

これは受けになっていない。
68銀を同飛ととられて77への効きが消えてしまう。
すると七段目の間駒も銀で、68同飛を同銀生と取らなければいけないわけだ。

67銀合~68銀合とした場合が次の図。

この場合は99飛の筋は使えないが、97金の筋はまだ有効だ。

97金、89玉、99飛、78玉、87馬

これでやっと正解が見えてきた。
67の地点も空けておかなければいけないのだ。

だがまだ重要な変化を潰しておかなければならない。
67銀合~78金の移動合だ。
それが次図。ここから綺麗な11手詰なので、考えてみられたい。

78同飛、同銀成、97金、88玉、89金、同玉、99飛、88玉、87馬、99玉、98馬まで

89金~99飛の連続捨駒が鮮やかで、作者の最初の想定していた作意はこの順だったのではないかと想像してしまうほどだ。

さて、いよいよ本筋に戻ることができる。
まだ6手しか進んでいないが、解決までもう一息である。

初手から
27飛、57銀、87金、98玉、28飛、68銀打で次図。

これは取るしかない。

同飛、同銀不成、

99飛はダメなので、97金の筋で攻める。

97金、89玉、99飛、78玉、67銀、69玉、58銀、59玉、79飛、

ここにきてやっと29桂の配置の意味が判明する。
48玉なら49金までで詰みだ。

同銀成、49金、68玉、67馬まで21手詰

おまけにもう1局。図面だけ紹介しよう。

「槍襖」が看寿賞を受賞したときに、惜しくも短篇部門で次点となった作品だ。
5手詰と誤解しないように。13手詰である。

湯村光造 近代将棋 1950.11


追記(2020.06.03)一部本文を書き替えました。(二瓶誠→大塚播州)

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