詰将棋のルール論争(3) 余詰の禁止(つづきのつづき)

1 詰将棋の範囲

余詰=不完全ということですから、余詰の範囲を定めると言うことは詰将棋の定義を定める重要な要素であるわけです。

1-1 余詰の禁止

誰もが了解している「余詰の禁止」からして、実はけっこう意見の違いはあるんだよという展開をしている途中です。すこしペースアップします。

1-1-3 最終手余詰

【図7】

    33飛成、12玉、22龍まで3手詰
    33飛成、12玉、22金まで3手詰

これは最終手が異なる着手です。
ですがこれを余詰と感じる人はいないでしょう。
いやいや、最近は厳しい方が多いので全部アンケートは実施しますか。

これを気にするのは広い(狭い?)世界の中でも浦野真彦八段だけだと思っていたのですが,怖い蟹。8割の方しか問題ないと感じないとは驚きました。ハンドブック効果なのでしょうか。

次の図の場合は、余詰と感じる人が増えてくるのではないでしょうか。

【図8】

    32飛、21玉、12飛成、同玉、11金まで5手詰
    32飛、21玉、12飛成、同玉、22金まで5手詰
    32飛、21玉、12飛成、同玉、23金、21玉、22馬まで7手詰

【図6】にも実は23金、11玉、21歩成以下の順があります。打点非限定の話に絞ったので選択肢には入れませんでした。この【図8】には9手の順もあるのですが、それは次の迂回手順の話と混ざるので選択肢には入れていません。

「1手詰があるのにわざわざ別の詰方なんかしないでしょう」という感覚が最終手余詰お構いなしの基礎的な共通認識だと思っていたのですが,現在はそれは共通認識ではないようですね。

【図9】

    23角成まで1手詰
    14角成、22玉、42龍、21玉、32龍まで5手詰

1手詰が作意であるとしたときに、最終手余詰は許されるのでしょうか。

まぁ,これは予想通りの結果でした。
本来ルールというのは「ルールで許されているのだから問題ない」というもののはずなんですけどね。
それが1手詰であろうと,1525手詰であろうと。

アンケートの結果はまだですが、筆者の感覚ですと最終手余詰は長篇の収束だったらまず気にしない。3手詰の最後だったらかなり気になり、1手詰だったら許容できないと感じます。

しかしパズルというのは本来そのようなものでしょうか。
\(5\times5\)の数独ならばダメだけれど\(25\times25\)のジャイアントサイズの数独ならば最後のマスは確定されていない手も良い……そういうことはありえません。

では、なぜ詰将棋だと上のように感じてしまうのでしょう。その理由を探ってみると、内なる妙手説を見つけませんでしょうか。

(つづく)


歴史的にみると、ルールは厳しくなっていく傾向にあります。
筆者が若い頃は変長(1-3にでてきます)を問題にする人はほとんどいませんでした。
今は変長は問題外、変同(1-5にでてきます)も嫌う人が目立ってきました。

誤解されないように先に書いておきますが、筆者はルールを厳しくしようという主張は耳かき1杯ほども持ってはいません。むしろ変同を嫌う人の気持ちが理解できない部類の人間です。

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