詰将棋入門(43) 実戦形から中合

まずは9手詰で合駒のウォーミングアップをしてから、15手詰のメインディッシュに挑戦してもらいたい。

岩谷良雄 詰棋界 1953.1

岩谷良雄 旧パラ 1952.1



67馬も75馬も77龍の捌きを阻んでいる。
平凡に65馬と王手すると……

65馬、12玉、


さらに馬で王手を続けても……

56馬、同馬、17龍、21玉、


さらに26龍としても、56馬の利きがあるので23歩合で失敗する。(まだ追えるが省略)
初手は67馬に当てる76馬が正解だ。

76馬、

これに同馬ならば27龍と回ってこれは詰みだ。


47桂合だと

同馬、同歩、71龍、12玉、24桂まで
桂合以外の駒でも12玉に打って詰む。

それではどう受けるのが最善なのか。

12玉なら67馬で書くが手に入るから簡単。

正解は歩をただで捨てる43歩

43歩、

この手を移動中合という。
移動捨合と言っても良い。
本作の狙いの一手である。

同馬、12玉、

13歩は打歩詰になるので打てない。
21馬、同玉、71龍も12玉で状況は改善されない。
43歩が立派な受けになっていることが分かる。

34馬、

21への利きを消す34馬が打歩詰打開の好手だ。

同馬、13歩、21玉、71龍まで9手詰

大駒と歩だけのスッキリした形から歩の移動捨合という洒落た受け手を表現した好作だ。
もし入門編読者の方で「ルール論争」も読んでいるという方は62歩の配置の意味を考えておいて頂きたい。

さて、本日のメインディッシュ。
短篇名作選にも選ばれた作品である。


桂香図式は駒数が増えてしまうことが多いのだが、使用駒9枚のスッキリ図式。
初手は飛車を打つしかない。
15飛は歩合ぐらいでだめだろう。
32飛では22桂合でどうしようもない。
52飛は25角が利いている。
となれば初手はこれしかない。

42飛、

この飛車に対して、どのように受ければ良いのかが本局の狙いだ。

13玉と逃げた場合、22香合などとした場合は……

23馬

この手に気づけば同玉、24飛以下5手詰とわかるだろう。
つまり22合をする前に32に中合が必要なのだ。

32合、22合の合駒の組み合わせを考えるのがこの作品の用意した課題なのだ。

まずは32歩から考えてみよう。

32歩、

これは持駒に飛車があるので、
22飛、同玉、32飛成、

以下は簡単だ。

ということは32の合駒は歩だけでなく、香も桂もダメ。
金か銀しかないとわかる。
金銀合ならば22飛に13玉と逃げて23飛成を同金(銀)ととれる。

金か銀かは保留したまま、同飛成と取った後の22合を考えよう。

42飛、32金(銀)、同飛成、22香としたのが次の図

22合は金銀桂香の可能性があるが、桂馬は23龍までで簡単。
図の香合の場合は……

同龍、同玉、32飛、13玉、15香、14合、31馬まで

ということは、22合は金か銀とわかった。

32合も金か銀であった。
ということは(金,金)、(金,銀)、(銀,金)、(銀,銀)の4通りまで狭まったということだ。

しかし次の手に気づけばこのうちのどれが正解か簡単に決まるのである。

22合も同龍とした後、もし持駒に1枚でも金があれば42飛と打ち


13玉、23馬、

同玉、24金で詰みだ。

42飛に33玉なら44金まで。

玉方にしてみれば「金は1枚も渡せない」状況だと言うことだ。

ということは(銀,銀)しか残っていない。

すなわち初手42飛に対し
32銀、

同飛成、22銀、

と銀の連続合が出現するという仕組みだ。
なんと華やかな手順だろう。

同龍、同玉、32飛、13玉、

ここから合駒で得た2枚の銀を最短で打ち捨ててスカッと終わらせてしまうのがまた凄い。

24銀、同歩、14銀、同角、31馬、23玉、22馬まで15手詰

これぞ名作だ。

最後に解説なしてもう1局紹介しておこう。
実は実戦形から中合は後ろの2局を予定していたのでつけたタイトルだった。
入門編なので一桁手数の作品を冒頭に入れたという次第だ。

岩谷良雄 詰パラ 1956.3

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