詰将棋入門(45)の古関三雄作をみて、若島正の看寿賞受賞作を思い出した方も多かろう。
といっても若い方も多いと思うので、思い出した作品3つを並べましょう。
若島正 盤上のファンタジア 第34番 詰パラ 1993.12
何か用事があって若島さんに葉書を書いたら返信に添えられていた思い出の図。
手数は短いのに桂合の変化を重層的に埋め込む。
なんでもないような形から新しいものが生まれてくるのが凄いなと思った。
パラで誤解者続出と看寿賞受賞には本人も驚いたと思う。
添川公司 「恋する二人」 詰パラ1982.9
「恋愛する二人」の方が誤植ということで正しいんだよね。
改良図があったような気もするが、まぁいいや。
どうせまもなく作品集がでるのだろう。
馬屋原剛 「槍の帝王」 詰パラ 2010.1
パラの大学院を担当することになって、最初に選んだのが谷川名人の作品とこの作品。
恐る恐る解説したっけ。
ところで若島氏は上の第34番の解説でこう書いている。
単玉と双玉ではジャンルが違うので、同一の基準で評価したりするのは気が進まないという人も多数存在する。それはそれで一理ある説であるが、わたしは作る側としておもしろければいいという立場なので、どちらであろうとあまり気にしていない。
筆者はまさに「気が進まない」タイプの人間だ。
もっと直截にいうと双玉はフェアリー詰将棋だと思っている。
単に鑑賞する側としてはおもしろければいいという立場は筆者も同じだが、「受賞」とか「記録」が絡む場合は悩まざるを得ない。
一緒にしてもいいが、それだったら詰将棋の最長手数作は「ミクロコスモス」ではなく「寿限無3」とするべきだと思う。
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‘双玉はフェアリー詰将棋’は昔はそう思っていました。
きっと田宮先生の教えですね。
いまは差別していないつもりですが、ちょっと構えるところがあるかもしれない。これもいわゆるPC(politically correct )かな。
ところで、ミクロコスモスも新桃花源も単玉で、双玉の最長が古時計(修正図)ってのはおもしろいですね。はじめから双玉で創っていたらもっと長くなったのだらうか。
知らないうちに田宮先生の影響を受けていたのですか。
田宮先生がそう教えてくれた記憶はないのですが、そうなのかもしれませんね。
将棋に砲とかQとか導入するフェアリーがあると思いますが、王という新しい駒を導入したイメージです。
王玉が対面する構図など、まさにその新しい駒の特性を利用したものだと思います。
双玉については「ルール論争」でもう少し書く予定です。
将棋のルールの中の話なのでピンと来ません。花駒を利用した合駒制限もフェアリーと仰る文脈なら理解できますが。
むしろ、単玉という慣れ親しんだフェアリールールが破られたことに違和感がある、という話なのかもしれませんが…
チェスプロブレムの方から来た方だったら,王の居場所が存在しない全駒(39)作品など,古くからの詰将棋の方をフェアリーと感じるのでしょうね。