市川靖雄 詰棋界 1953.11
53歩がいかにも邪魔駒だ。
なければ42角成で3手詰。そこで
75金、53玉、64金、
と53歩の消去を狙うが、当然64金を同玉とは取ってくれない。
43玉、42角成、同玉、33銀、43玉、55桂打、同歩、同桂、同香、32銀不成、42玉、
【失敗図】
これで打歩詰の局面となる。
これは打開できず、失敗図と言うことになる。
このとき局面を広く見るとヒントが見つかる。
85角と76銀だ。
初手に戻って、冒頭の6手が打歩詰回避の伏線だ。
65銀、同銀、56桂、同銀、76桂、
76桂を打つために、76銀を原形消去したわけだ。
あとは先に進めた手順を辿れば良い。
同角、75金、53玉、64金、43玉、42角成、同玉、33銀、43玉、55桂打、同歩、同桂、同香、32銀不成、42玉、
先程の失敗図との違いは明らかだ。43歩から角を入手して収束する。
43歩、同角、同銀成、同玉、21角、42玉、32角成 まで27手詰
打歩詰の局面になってから詰ますのが打歩詰打開で、打歩詰の局面にならないように詰ますのが打歩詰回避なのだろう。
本作は作意手順中に打歩詰の局面は表われないので迷わずに打歩詰回避とかけたが、実際には単純に回避か打開か区別するのは難しそうだ。
打歩詰の手筋の分類に興味を持たれた方は次の情報にアクセスすると良いだろう。
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湯村光造 「歩詰手筋総まくり」 詰棋めいと第13号~第19号
作者の市川靖雄は「詰棋界」で趣向長篇を中心に発表している。
合駒による持駒変換してから馬鋸に進む作品など目を引く作品もいくつもある。
1局長編作品も紹介しよう。
市川靖雄 詰棋界 1952.9
残念ながらいくつか余詰がある。
一応参考図として修正案を作成してみた。
(作者に無断なのでやはり好ましくはないが、余詰の修正案なので「無断で改変」とは言われないだろう)
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