詰将棋のルール論争(7) 無駄合

1 詰将棋の範囲

この節は詰将棋の範囲–完全・不完全の話–とは微妙に異なるのですが、前節の2手変長1駒余りと密接な関係があると思うので、この位置に入れました。

1-4 無駄合

「無駄な合駒はしない」とよく表現されるルール。
しかし「無駄」というのは手の意味を判断に求めており、妙手の有無でなく手数で決定しようという方針と矛盾します。
そこで客観的に無駄合を定義できないかと何人もの勇者が挑戦しましたが、筆者が知る限りスッキリ明解な無駄合の定義は成功していません。

話を単純にするために最終手の場合を考えてみましょう。

【図20】

この基本図はみなさん「無駄合」と感じられたようでとりあず安心(?)しました。

「透かし詰」と呼ばれる詰上がりです。
実際には玉方にはまだ84歩~24歩と手数を伸ばす手段があります。
しかし、玉方最長ルールの例外としてこの状態で詰みとみなそうというのが無駄合概念です。

【図21】

こちらは1人も認める方がいませんでした。
このように金を打たれたら,たいていの方は「投了」すると思うのですが……。

【図20】は合駒しても2手伸びて駒が1枚余るだけ、【図21】は同金と取っても2手伸びて駒が1枚余るだけ。
本質的には変わらないので【図20】を詰上がりと認めるのなら【図21】を詰上がりと認めることも理論的には可能です。

一時期、同じような考え方で間接両王手の詰上がりを主張する作家が現れました。(記憶しているところでは将棋世界の豆蔵さんとか)

【図22】

なんと,詰みと認めると不完全が同数!
これは今までの流れからの感じとは逆の結果のようで意外でした。
筆者は不完全だと感じます。

24に合駒しても同金と取って詰み。
2手伸びて駒が余るだけだから44飛までの詰上がりという主張です。

【図23】

\(0+0=0\)なのですが,この結果が示しているのは,無駄合とは言っても完全に\(0\)ではないということなのでしょうね。
山田康平さんがもっと長い1手詰(?)を作っていたと記憶しているのですが,図は見つけられませんでした。

ちなみにこの図を柿木将棋に解かせると「46飛まで1手詰」と答えてくれるはずです。

ここまで読んできてこう疑問に思った方がいることと思います。
王手をした線駒でとってその駒が余れば無駄なんじゃない?

そのような案も出ましたが例えば【図20】をちょっと変えた次の【図24】を見てください。
このような場合も現状では無駄合と感じる人が多数派なので、実情に合わないのです。

【図24】

何人か「有効合」という票も入りましたが,やっぱり無駄合でOKと感じる人が多数派のようです。

この項、もうちょっとだけ続きます。

「詰将棋のルール論争(7) 無駄合」への2件のフィードバック

  1. 無駄合は、詰棋ルールで最大の難関ですからね^^
    個人的には「ルールは甘く」ですが、どうルール決めするにも理論武装は必須。

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