詰将棋入門(59) 飛先桂打

桑原辰雄  詰パラ 1956.11

初手11飛成や23飛成、同玉、21飛成を考えてしまうが、初手は意表をつく桂打。

25桂、

その後の展開が見えなければ、とても打てない一手だ。
さらに33桂生!

24玉、33桂不成、

目的は41の金を喰ってしまうことにあった。
この金は初手23飛成のときに詰まないようにするための配置と思い込んでいた。
なんと質駒だったのだ。

35玉、41桂成、

あとは角1枚を成り捨てて最短の収束。

26玉、16角成、同玉、36飛成、17玉、27金、18玉、38龍、19玉、28龍 まで15手詰

この初形から19で詰むことになるとはお釈迦様でも予想するのは困難だろう。

桑原辰雄は群馬県の重鎮。
新鮮で力強い狙いの作品を数多く発表し続けている。

初期の看板は「飛先桂打」。
たしか5作以上の作品を発表しているはずだ。

その中で一番最古の作品を探して本作となった。
詰パラ入選2回目の作品だ。

ところが、ちょっと困ったことになった。
『妙義図式』第16番では持駒ではなく、17桂の配置となっているのだ。
おそらく桂馬の三段跳ねの方が面白いだろうと改作したのだと思われる。
これでは「飛先桂打」にならない。

さらに不思議なことに、将棋世界1960.12発表となっている。
短篇名作選も17桂の図で将棋世界誌発表となっている。

今までこの連載では作者の修正図・改作図がわかった場合は、発表年月は変えずに修正図の方を使用してきた。
今回は、別の図とみなして持駒桂の方を採用することにする。

桑原辰雄に興味を持った方は次の情報にアクセスすると良いだろう。

  • 妙義図式 桑原辰雄 野口文庫1974.5.10/1988.6.10
  • 赤城図式 桑原辰雄 野口文庫1988.2.10
  • ガチンコ詰将棋 桑原辰雄 双峰社2014.1.12
  • 榛名図式 桑原辰雄 双峰社2015.2.23

「詰将棋入門(59) 飛先桂打」への2件のフィードバック

  1. 面白いことがあるのですね。
    17桂配置でも持ち駒でも成立するなら、持ち駒のほうがはるかに価値があると思います。
    私見ですが17桂配置では妙味半減。
    そちらが改良図だとすれば、作者の感性は、私のそれとはだいぶ異なります。

    1. もしかして二重投稿とも考えたのですが、同一作検索では17桂配置の図はひっかかりません。
      もしかすると「妙義図式」の初出の記載が間違っていて、「短編名作選」はその孫引きで間違えているのかもしれません。将棋世界1960.12をお持ちの方、教えてください。

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