詰将棋入門(62) 桂馬の位置に龍

清水孝晏 『将棋清光』第60番 将棋世界 1960.9

入門者向けにしては難しいと批判されることが多いこの連載。
今回は自信をもって入門者向けですと胸を張れる。


初手はこれくらいしかない。

22角、同玉、

さて,この局面で実は34龍が邪魔駒になっている。

24龍、31玉、22龍、同玉、

そこで4手かけて自爆消去すれば34桂が打てて解決だ。
この邪魔駒の消し方を直接消去という。
玉方の駒の位置に変化はないので原型消去ということも言える。

34桂、31玉、41飛成、同銀、22金 まで11手詰

玉に桂馬で王手をしたいが,その桂馬の位置に攻方の邪魔駒がいる。
これをどうやって消去するかというナラティブは数多くの人によって語られた物語だ。

本作はそのなかでも,もっともスッキリと明快に表現したものだと思う。

スッキリさせるんだったら,1筋の配置は不要なのでは思われた方もいるだろう。

成程この方がすっきりして初心者向きだという方と,いややはり香車はあったほうがよいという方もおられると思う。

清水孝晏は長いこと「将棋世界」や「将棋マガジン」の編集長を務めた方。
自宅に将棋図書資料館を開設したというニュースを見た記憶があるが,今もやっているのだろうか?

清水孝晏に興味を持たれた方は、次の情報にアクセスすると良いだろう。

    清水孝晏「将棋清光」 野口文庫 1974.6.1

追記(2020.8.21)
佐々木浩二さんに関根名人記念館にあると教えていただきました。


追記(2020.8.26)
匿名希望さんから次のような情報を教えていただきました。

孝晏さんは1998年2月に亡くなって、事実上清水図書館はおしまいになりました。
没後いつのことだったか、遺族が旧蔵書を千葉県関宿町に寄贈しました。これで名実ともに清水図書館は消滅です。寄贈に際しては森田さんが仲介のような世話をしたので、森田さんの没年2003年より前のことは確かです。
関宿町では無償では申し訳ないと相当な額を謝礼として贈ったとのこと。
清水旧蔵書が全部関宿に移ったわけではなくて、孝晏さん死去との前後関係が不明ですが、旧蔵書のうち何ほどかをウン十万円払って買った人がいます。
2004年4月、関宿町と野田市が合併する際の事業のひとつとして野田市関根名人記念館が旧関宿町役場内にできて清水旧蔵書はそこに収められました。
2012年7月から野田市立図書館のホームページで「将棋関係貴重書」の公開が始まって、江戸時代のものはネット上で見ることができるようになりました。所蔵管理している場所は変わりませんが、行政的には名人記念館と切り離して図書館としての管理ということのようです。

「詰将棋入門(62) 桂馬の位置に龍」への4件のフィードバック

  1. 1筋をなくした図ですと、3手目15龍とする手が生じると思います(余詰と思うかキズと思うかは個人差があるかもしれませんが)。元の図で3手目25龍は、13の歩に紐が付いていないので23歩ぐらいで逃れると思います。

    1. なるほど!

      15龍という手があることは(柿木将棋が教えてくれたので)知っていましたが、余詰どころかキズとも思いませんでした。
      やはりオイラは古い人間ですねぇ。

  2. 「清水孝晏 関根名人記念館」で検索すると、清水氏の蔵書がどこへ行ったかがわかります。
    詰パラ2007年6月号のリレー随筆に経緯が書かれています。

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