詰棋書紹介(46) 極光


上田吉一 『極光』 将棋天国社 1981 

上田吉一の著作はどれもこれもオーロラなので紛らわしい。
整理しておこう。

  • 『極光』 将棋天国社 1981 伝統詰将棋50局
  • 極光21』 河出書房新社 2001.12.30 伝統詰将棋100局
  • 『極光II』 JCPS 2003.6.1 将棋盤を使用したフェアリー作品100局
  • 『Aurora』 JCPS 2012.9.1 チェスプロブレム100局

現在、簡単に入手できるのは下の2つだけ。
なんと不幸なことだろう。
平凡社さん、『図巧』と『無双』を贅沢に1冊にした『詰むや詰まざるや』を長いこと売ってくれているけど、『極光21』と『盤上のファンタジア』を1冊にして東洋文庫に入れてくれないだろうか。

上田吉一の素晴らしさについては既に詰棋書紹介16『極光21』にも書いているので未読の方はそちらも参照していただきたい。

若島正・上田吉一がチェスやフェアリーに去って行き、長い間寂しい思いをしていたが、2004年、若島正氏が詰将棋解答選手権を開催した。
私は解答には自信ないのは勿論自他共に認めるところであるが、若島正の新作が解ける(見れる)というために参加した。

そしてその期待は違わず2005年からは上田吉一の新作も見ることが出来た。
(つねに0点を覚悟しての参加だったが、幸い0点はまだ取っていない。それは初期に於いては山田康平が易しいサービス問題を入れてくれたから。心から感謝している。いつかこの恩返しをしたいものだ)

詰将棋に詳しくない向きは「そんなに凄い作品は難しいのだろうな」と思うに違いない。
慥かに易しくはないかもしれない。しかし解けることもあるのだ。
名局精解4で取り上げた作品は、2006年の解答選手権9番の作品だ。これが会場で解けたときは嬉しかった。途中で上田作と確信したのも嘘ではない。

上田吉一作品には無用に難しくして解答者を迷わそうといった意図が皆無なのだ。
だからツボにはまれば、多少手数が長くても解ける。
(逆に、この解答選手権に無駄に難しくしているだけの作品を発表して、風みどり内部の評価値を急落させた作家もいる)

上田作品を解くと、普段汚れた精神生活をしている人間が教会に行って牧師の話を聴いたような、古刹で座禅を組んだような、モスクで祈りを捧げたような…………そういうキモチになるのだ。

『極光21』では目立たない作品を選んだので、今回は巻末の大作を紹介してしまおう。

上田吉一 『極光』第50番 近代将棋1980.1

「詰棋書紹介(46) 極光」への4件のフィードバック

  1. 「普段汚れた精神生活をしている人間が…」って上田作品だけじゃなく、上田さんその人を前にしても感じます。

    1. まぁ教会にはいったことあるけど,モスクで祈ったことはないんですけどね。
      上田さんはほんとに拝みたいです。

      昨年全国大会の時は「フェアリー入門はばか5手よりももっと短いばか自殺4手だ。いま,たくさん創ってる」ということをおっしゃっていました。
      本当に尊敬します。

    1. う~ん。数えたことはないのでわかりませんが,『極光21』を持っていれば無理に『極光』を入手する必要はないと思います。それよりも『極光II』と『Aurora』は今は興味なくても入手しておくべきでしょう。
      極秘で「『極光21』に掲載されていない上田吉一作品集」は作りたいですね。
      若島さん経由でお願いして,大学院担当のときに上田さんから投稿をいただいたときは夢のような心持でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください