詰棋書紹介(56) 競馬式


打歩詰不成百番 競馬式 岡本眞一郎 全詰連 2004.12.15

タイトルに「不成百番」ではなく「打歩詰不成百番」とあるところにこだわりを感じる。

それにしても二上達也が『将棋魔法陣(初版)』をまとめた時でさえ「不成」のみで81局は大変な苦労があったと思うのだが,岡本眞一郎は二上からさらに30年も遅れてスタートを切った。

カレンダーなどで一緒に仕事をさせていただいたことがある。
とても温厚な方だが,その奥に頑固に信念を貫き通す強靭な精神を持ち合わせているのだろう。

なお,『競馬式』はこまくらべしきと読む。
府中の大國魂神社の行事の一つだそうだ。
『象戯馬法并作物』も「こまほう」と読むということを岡本氏の前書きで教えてもらった。

詰棋めいと第5号の田代達生氏の論文に次の記述があると匿名希望氏からメールがありました。
「馬法」の読み方については、福田稔氏は「うまほう」とされているが、前記の『術知象戯力草』の後序に「ばほう」とふりがながついているので、本稿ではこれに従うことにした。」

打歩物はどうも駒数が多くなる傾向があるように思う。
手順の構想から造るので仕方ないのであろう。

筆者の好みは『短編名作選』にも選んだ第22番だが,ここではあえて駒数の多いものを選んでみた。

岡本眞一郎 『競馬式』第31番(不成第88番) 近代将棋 1984.8改

 

この本,まだ柳田さんから購入することが可能だ。⇒全詰連書籍部
不成の作品をこれから作ろうという人は,本書の作品群を知っておくことは必須だろう。


追記(2020.10.13)
つみき書店でも購入できるようになりました。ただし在庫は稀少です。

「詰棋書紹介(56) 競馬式」への1件のフィードバック

  1. 詰将棋の本は本当に信じられないくらい沢山あるのだが、一般将棋ファンは全く知らないんだろうな…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください