邪魔駒消去

邪魔駒消去は捨駒を成立させる代表的な論理なので,駒を捨てる快感を味わえる詰将棋を作ろうとするとついつい手を出したくなる手筋である。
邪魔駒を消去するという順を中心に作図すると,ストーリー性を手軽に演出できるという長所もある。
そのかわり,練達の士には「ああ,またあれか」と片付けられてしまう危険性もある。

8-1
将棋マガジン 1978-12


本図の気に入っているところは,23銀の存在が駒のまとまりとして2筋に壁を作り,「13」の場所を意識の上でより遠くしている点だ。13が思考外にいってくれれば、13飛がそもそも想定されず、したがって23銀の消去にも至らない。
42に桂馬がいるから全然駄目なのだが、なんとなく33飛という誘い手を作っているのも23銀の配置だ。
もっとも、現在では初手からの変同が厳しく評価されるであろう。

八段 北村昌男

素晴らしい遠飛車

これは5手詰として名作に近いのではないかと思います。
攻方2三銀はジャマ駒なのですが、とてもそう見えないところがよろしい。
いきなりそのジャマ駒をさばき捨てます。といっても、3四銀成では同玉で詰みませんから、3二銀右と入ります。これに3四玉なら3五金から2三飛の詰み。したがって3二同香。
このとき1三飛の遠飛車!すばらしい一打です。
2三飛と打ったのでは3四玉とかわされます。1三飛に3四玉なら3五金の詰みです。また1三飛に3三合駒なら4四金まで。みごとな1三飛打ちに驚かされた作品でした。

8-2
詰将棋パラダイス 1982-9

この手順で「自作だ」と主張して投稿する勇気が持てるかという問題。今だったらどうだろう?
平気で投稿できる心臓は完備しているが,投稿図を書くのが面倒で掲示板に貼って終わりという気もする。

この作品の気に入っているところは,ひとつも無駄な駒がないということ。
一流作家の作品では当然であるが,自作には余詰防ぎしか存在価値のない駒があちこちに散らばっている。
本作はその意味で貴重な一品なのだ。
66の桂馬も必然性がある。歩では余詰ができてしまう。
解く人にとっては何の関係もないことであるが。

石田正勝

☆曲詰くさい配置からの邪魔駒捨て作品で、C評7名で松野作と並んで3位に入りました。
秋元節三 邪魔駒とはいかに消すかというより、いかに有用に見せるかという技術だ。A
岩崎光男 総じて角の消え失せる事が根源である。どこかの国みたい。B
今泉博史 5手詰の久々に見る名作と思う。A
池沢次郎 形もいいし順も悪くない。B
井上和典 打った金をすぐ捨てる所に味がある。A
一条英一 キヨちゃんの好作
☆こんな風に大変好評でしたが、
藪野正明 ○○氏にしては紛れ不足。B
◆期待されているという事は大変な事なんですね。
山辺澄 55金の感触。A
佐々木康司 古い感じがする。もっと早く選題されれば良かった?C
中出慶一 今では古い狙いで私の48年7月の幼2年の作品にも先例あり。C
☆私は残念ながら以前にこの作品は見ていませんでした。図を示して欲しかったです。
宮崎久典 初手いやになるような手ですがすぐ捌くので救われます。B
大髭康宏 何となく好きになる作品。A
太田長治 54玉と角を取らせ55金と捨てるのは角の活躍を考えただけに肩透かしを喰わされた感じ。A
サーニン 久々の小学校からの出向講師の軽妙作。手順が何やら夜の生活の実態を暗示するが如く感じるのは小生だけ?A
☆あなただけです。

中出さんの作品を調べてみました。

nakadekeiiti.PNG

確かに凄くよく似ていますが、邪魔駒消去の狙いや重く打ってすぐ捨てる金の感触は違うと思うのでOKということにしてください。

8-3
詰将棋パラダイス 1981-10

古典的な邪魔駒消去物7手詰。
4手で消して3手詰が出現する構成。
「邪魔駒物は邪魔駒と見せない技術が重要」と言ったのはどなただったか。(秋元節三さんだった)
はじめ,邪魔駒は歩がさりげなくて良いと思い,なんでもかんでも歩にしていたが,本図では桂馬に変えた。これは伊藤正さんのアドバイスによるもの。

塩沢邪風

木下清志 テレビや週刊誌の詰将棋みたいにヒント(邪魔駒の消去がカギ…)があれば、1週間は早く詰んだ。それがないものだから、44銀は66玉と取られ、55銀、同玉で何にもならぬ駒を損するだけと思っていた。A
☆作意を目で追えば単なる邪魔駒消去作。が、実際に解いてみると案外見えないのだ。
森美憲 邪魔駒を消すのに一苦労。A
畠山広吉 いかにも種駒らしく見えた66桂が邪魔駒とはこれは作者の手腕。B
☆更に66桂消去後に放つ66金もピカッと光っており、今月第2位。
佐藤伸夫 ○○氏の異常感覚に万来の拍手を送る。まさに氏は絶好調。ミスター「7手詰」A
井上裕 この作者好きだからA
大野雄一 駒の効率の良さは見習うべき点B
金子宏 平凡な邪魔駒消去が変化紛れの味付けで名作に。A
駒木悠二 一日を駒を並べて過ごししが寝床に入りし後に分かりぬA
☆けれども次のような声も又あった。
護堂浩之 詰上がりは若干の救いだが、手筋そのものが古い気もするC
藤田雅志 もうそろそろ「この作者にしては平凡」の評が集まるかも?B
★どうも期待されて大変ですが、これからもよろしく頼みます。
ラム 吉田流の鮮烈な短編。だが、先達にはないみずみずしさも備わっている。○○君、依然好調!A

8-4
詰将棋パラダイス 1983-5

「この遊び人!」という評をいただいた。
うれしかった。

谷口昇一

柳原祐司 妙に味わい深いものがある。飛角図式の詰上がりがとてもユーモラス。
中森明菜 69の駒が味方だと詰まないんですね。一種の邪魔駒?
作者 邪魔駒ものを素朴に作りたかった。
成田悟 氏の作品にしてはあまりにも軽すぎる。
サーニン 華麗な7手詰の名手とは思えぬ凡庸な手順。単なる初期の作か、はた又いよいよ作者のヴォルテージが低下してきたのか?
☆種明かしをすると、実はこの作品、3年前の投稿で、初心コーナーへ希望されたのが、小学校へ回ってきたもの、おそらく作者もビックリされた事と思う。
手順自体は別に難しい所は無いが、捨てがたい味があり採用しました。
川清雄 問題としては易しいが、作品としては文句なし。
石岡修 なんと金の三段活用。ちょっと気づかぬ。
木村土地 最終手がとぼけた味。
須貝敏雄 初手は俗手でやり難い。
荒井和之 思わず笑ってしまいました。終形飛角図式はオマケ?
浜融 14馬を最大限に利かした傑作。
らんぽう ○○ーイ、てめーこの遊び人!

飛角図式を作ったことが無い。(初心者向きの例題ではあるけど)
それでこっそり飛角詰を作った。
こんな用語ないけれど、初形条件が「~図式」で詰上がり条件が「~詰」という感じで通じるでしょう。
もちろん飛角詰なんて、何の価値もないんですが。

8-5
将棋世界 1984-11


初入選からしばらくは,発表され作品をきちんとノートに記録し,解説や短評などを書き写していた。
その後,コピーを貼り付けるだけになったが,そのノートはいまでもちゃんと持っている。
この作品は野口益雄氏に解説していただいた記憶があるのだが,なぜかノートには何も記録されていない。
(……将棋世界,立ち読みで済ませたのかな?)

本作は、途中で角が邪魔駒になるという点が教科書通りの作り方。また邪魔駒の意味づけも地味な竜寄りにすることで邪魔駒と気づきにくくならないかと考えた。
あいかわらず変同がある。いまでもあまり気にしていないが、これくらいの手数になると気にした方がよいかなぁ。

8-6
未発表

このサイトを構築するに際して,「詰将棋の作り方・逆算」の例として作成した作品。
打った駒が邪魔駒になり、間接消去という典型的なストーリー。

66銀は初手の変化のための駒。強引な逆算の見本を示してしまった。

8-7
近代将棋詰朗会報告 1985-??

この桂馬が邪魔になるというのは平凡な発想なので、実例はすぐに思いつかないが、同じ狙いの作品はたくさんありそうだ。
序の4手で、この桂馬を消しておいて、後で29香と打とうということ。
55歩は余詰消しの駒だが、かなり苦労した配置。
詰朗会報告というのは読者の投稿ページの片隅で解答募集と結果発表が行われたもの。ここに橋本哲さんの作品が載っていたりしたのだから当時の近将は油断がならなかった。

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