長篇

超短編専門作家と思われている方もいるようだが、実は私もいくつか長編を作っている。一番最初に作り始めた長編はタイトルも決まっているのだが未完成。技術が追いつかないうちに内容が古くなり、さらに手を入れる必要が生まれ、ますます技術が…。

12-1
未発表

柿木義一さんの Kifu for Flashを使わせていただいています。手順が鑑賞できない場合はFlash Playerをインストールしてください。

長いのを作ってみたくなってみよう見真似で香剥しを作ってみた。もちろん新作といえる要素は皆無である。
いわば長編の手筋物。
自分で作ってみると,長編作家の力量の凄さもわかるというもの。みなさんも是非お試しあれ。

12-2
詰将棋パラダイス 2005-2

これも習作。
詰パラ発表といっても,リレー随筆のページを利用して図面を強引に載せてもらっただけ。
楽しんでもらえたと思うのだが…。
創作のポイントは13飛に対し24玉と逃げたら詰むが,14飛と間駒の後16歩と打っては詰まない上辺の配置を考えることだけ。
ここで角を使ってしまったのが,おそらくプロと素人の境目なのかもしれない。
歩をどう残しても詰むようにするために,収束でこの角を捌く事が出来なかった。
途中の歩を残す順を作意にすることも考えたけれど,やはり残っている駒では収束が作れなかった。
そのような謎解き主体の長編も興味はちょっとある。
いつの日か取り組んでみたいものだ。

もうひとつ,習作として作ってみた長編がある。
題して「谷渡り再現」。
「谷渡り」とは故黒川一郎さんが近代将棋に発表した作品。残念ながら余詰があり、氏の作品集である「将棋浪漫集」にも収録されていない。
図面も手元になかったが金で追い上げ、馬で追い落とす筋だけは記憶にあった。
こちらは具体的なお手本があるので,一応自作集と銘打った「いっこのつみき」に入れるのは憚られる。でも,よかったら考えてやってください。

12-3
詰将棋パラダイス 1999-11

詰将棋パラダイスのwebサイトで作品募集があったので応じたもの。あのような催しで長編を採用するのは異例だと思う。
とても易しいのとコロちゃんのご好意で発表してもらえたのだろう。久しぶりのパラ本誌への登場で嬉しかったが,愛情溢れる解説も有難かった。
銀剥しであるが,作りたかったのは馬銀玉の戯れ。
繰り返すために銀を剥す形になった。
紛れのない易しい作品に仕上がったが,こんな小品でも完成までには様々な紆余曲折を経ている。
原図は2回繰り返すだけの中篇だった。その後盤面全体を追い掛け回したり,序盤に伏線を入れた難解作を志向したりもしたのだ。
初手に打った金を最後に捨ててあっさり詰み上がる本図はちょっと大人の余裕ある仕上げではないかと気に入っている。
発表図と違うのは成不成非限定を嫌って龍・馬にしたのと,銀合が限定でなかった(角でも良かった)ので41歩を追加した。

須藤大輔

★今回のトリは看寿賞作家である風みどりさん。
★右上部での小気味良い駒繰りと、飛角の王手による銀入手を融合させれば、はい出来上がり。成香を含めた4香配置がやや気になりますが、それでもあっけないほど気持ちいい収束が「やさしいパズル」ということを主張しているようで、楽しくなってきますね!
高橋耕之介―33角成(馬)~24玉、20手のくり返し手順は楽しい。詰上り図も鮮やかです。香合防止の香の配置が一寸したキズですが、仕方ないんでしょうかね。
久後生歩―これが一番易しかったかな。
明石顕治―銀が躍動の好趣向。
今川健一―銀ハガシ趣向ですが、奪った銀を上手に消化しています。詰め始めたら止まらない。一気に最後まで突っ走る、長距離ランナーでグランドを回る気分です。
和田裕之―うおー!ハガシとは思わなんだ。
原田清実―不規則な手順が入るのにシンプルな舞台装置で表現できたところが素晴らしい。
武田静山―初形から想像できない駒繰りが楽しめた。二番、四番を投了しているので、いっそう、こういう作品に出会うと胸がときめかされる。
白石連太郎―難しそうに見えるが、狙いがわかれば楽しい楽しい趣向作。
天津包子―面白い趣向作でした。
池田俊哉―はがしに銀合が加わった分、立体的な手順になった感じ。
凡骨生―易しいながら歩打銀打銀捌きのリフレインが心休まる手順。
佐藤昭次―解けることは解けたのですが……。
加賀孝志―銀と歩のコンビ、駒を捌きながらの詰上り。リズムを感じ旨いものと感心。
石井豊―大駒と銀の攻防は見応えあり。
小林徹―初めはえっと思う。しかしワンサイクルが判明すれば後は流れるような手順。
塚越良美―銀ハガシ趣向だった。
竹ヶ原―解くのに1時間かかりました。もっと早く解けるようになりたいです。3手目は53角と思って解いていたのですが24玉で詰まないんですね。銀を取ってはそれを使って守りの銀が減っていくのが面白かったです。長手数の詰将棋に興味があります。またよろしくお願いします。
東京農業大学第三高校将棋部―趣向詰でなければこんな長手順の詰将棋は解答できませんでした。繰り返しが楽しく気分よく解答できました。
中村悟一―最初の方、手が続きにくそうで悩みました。風さんの作品は手が切れそうで切れず、うまくつながりますね。剥がしの趣向、楽しいです。
佐藤孝信―長編を解くのは稀で、よしあしを秤量する知識はないのですが、なかなか楽しめました。43手目、75飛の手順前後は、55角合で逃れていますか。
作者―みなさん,お元気ですか。私はあいかわらず詰将棋で遊んでいます。この作品で楽しんでいただけたら、嬉しいです。

12-4
詰将棋パラダイス 2005-02
いやがらせ不成

「いやがらせ不成」と題した。
ミーナさんから「それはタイトルでなくってヒントだ」と言われた。

このタイトルが作図のモチーフ。
単純な近接馬鋸とと金の防御の形としか結び付けられなかったのは作者の限界。右上で素直に収束できたのは嬉しかった。迂回手順があるが御免してくだされ。
本図に辿り着くにあたっては,本サイトの掲示板に集う皆様の絶大なる御支援を受けた。中でも金屋敏彦さんには特に感謝を捧げたい。ありがとうございました。

濱川 礼

作者—飛車の生入りの近接型ミニ馬鋸です。22玉に対して馬で王手すると33銀合されますので、飛車の位置を変えて11玉にしてから馬で王手します。桂合されると詰まないので、品切れとなっています。馬鋸の目的は23龍に対して41玉の変化を詰ますためです。64手目の変化をご参照ください。最終手からの迂回手順32桂成には目をつぶってください。タイトルは作図のモチーフでしたが…。
☆馬鋸だろうとは予想のつく初形。軽い序奏から23飛生が面白い。無論、打歩詰打開であるが、玉方から見れば逆に生殺し状態でもある。
☆さて、最初に馬を働かすには21玉形にしないといけないので細かく飛と歩で繋ぎ21玉形を実現し98馬と上る。
☆23とに22歩成となり、さてここで88馬、44と、と進めば馬が接近出来るのだが、作者の言葉にもあるように、33銀という強防で詰まない。
☆よって遠回りのように見える11玉形にする必要がある。
☆この仕掛けが分かることによってようやく馬の接近のメカニズムが分かる。
☆さて、馬の接近の意味は何であろうか?
☆これは13龍、21玉で32銀成から23龍と打開して追い込んだ時に41玉と逃げられても65に馬がいれば52銀成以下詰むからなのだ。よって65迄馬が来ると、玉方は32銀成~23龍とされても同玉とせざるを得なくなり24成桂以下収束となる。
☆比較的簡素な図形で明快な論理の楽しめる馬鋸。
北野龍一—とれとれと飛の押し売り。とれば成桂の押し潰し。遠駒の王手に対し、桂があれば33桂で逃れるものを、生憎く桂は売り切れ。空しい抵抗のと金のエレベータも最後に一歩補充されて死花を咲かせた。という三つの見所のある好作であった。
武田静山—初手がなかなか見えなかったが、解いていても本当に成れればよいのにと思った。
永田安親—簡単に詰んだり、急に詰まなくなったり試行錯誤の連続。馬筋の33の地点の銀合の強防にてこずった。

12-5
詰将棋パラダイス 2005-04

小駒図式というカテゴリーを考えたが,自作にはこの1局しかないのでここに展示する。
香の邪魔駒消去を兼ねた上下運動の軽趣向……と見せかけて実は主眼は謎解きにある。
手なりに進めると一気に収束まで行くが一歩不足に陥る。
この一歩をどこで入手するか。これが,この作品のテーマだ。

濱川 礼

作者—小駒図式の長編ですが、内容は軽い謎解きです。手順で進めると一歩足りなくなり、いったいどこでその一歩を入手するのかというテーマが現れます。鍵は27手目の33成香と31手目の36金。これさえ発見できれば、他に手順に難しいところは皆無で、初心者にも楽しんでもらえる軽快作です。
☆4香柱、3桂群が目立つ初形。この香を捌くためには玉を敵陣に追い込む必要があるが、金をベタベタと重たく打つのが奇異というか隣の香柱とペアと考えると面白い。
☆以下、銀、そして3桂を捌いて趣向に入る。
☆香を成り玉を引き戻し金で再びせり上げ香を取らせては次の香を成る。こうして28香が成り、再び28迄引き戻した時に収束…。
☆あれっ?39玉で48銀、同玉、49銀に再び39に潜られまったく手が続かなくなる。
☆いかにも趣向的で合っていそうなのに詰まない。誤植?
☆いや、実は趣向中に一歩入手する手段があるのだ。それが作者の言う、33成香から36金として一歩稼ぐ方法である。このタイミングでしか出来ないのが秀逸。
☆途中で一歩入手出来れば、先の収束で49歩と打てば詰む。
☆楽しい趣向の中に隠された伏線。謎解きを存分に楽しませてくれる作者の力量を感じさせてくれる素晴らしい作品。
野口賢治—重たく金の足場を築いたのが秀逸なアイデアで邪魔駒消去趣向といいたいほどの大量捌きが楽しい小駒図式。
熊野古道—31手目、唯一のタイミングで36金と変調し歩を入手するところが中々発見できなかった。
武田静山—調子に乗って痛い目にあった。
坂東仁市—拙作にも順次香成趣向多数ストック中。本局の素晴らしい事は一歩入手にあり。風氏いまだ健在なりと見た。

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