実戦型


私に「実戦型」といえる作品はないだろうと思っている人は多い…に違いない。しかし,私も詰将棋作家の端くれ,詰将棋の故郷,実戦型詰将棋を作ることもあるのだ。

16-1
将棋天国 1980-12


将棋天国というのは詰将棋専門誌ではないので,端に桂香のある見慣れた形にすることを心掛けた。投稿先を意識して創作するなんて,まるで一流作家みたいだ。

実戦型は桂馬か香車かその両方が捌けねばならない。
本作はなんとか桂馬が動いたというわけ。

当初,2手目23玉の5手詰が素材だった。
そのままでは同一手順作があるのを知り7手詰に化けさせた。

詰奇人

新人というには,経験豊富なので,反論があるかもしれません。短編の創作では,作者なりの”作風”らしきものも出来上がっています。”真打”格の芸を見ていただきます。

7手詰の構成は四コマ漫画と同じく「起承転結」が要求されます。攻方の4手,それぞれが該当します。
作図のコツも,この4文字に凝縮されましょう。よって,7手の内容の詰将棋を9手,11手で表現すると間延びした作になり,解答者からの評価が落ちることになります。

16-2
将棋世界 1978-02


もう2局目で,これである。
どこが実戦型なのか?
よく見て欲しい。端に桂馬と香車があるではないか。
桂馬もちゃんと消えたし,香車も詰め上がりに働いた。

二上達也九段

味のある図

作者「手順は俗っぽいが悪いというほどではなく,問題となるは悪形か?」とある。
悪形とはどの辺を指すのか,しからば良形とな何か,考えると分からなくなる。
視覚的問題,感覚的問題,先入観の問題がないまぜになっている。
例えば本図2二とを普通の金にしたらどうか,重い感じを受ける。それなら1七金をと金にしたら今度は不自然だとなる。
手順面を眺めると,初手3七桂に同銀成は2六金打があって早い。そこで銀不成の応手に単一化されているわけだが,そのために3八歩の配置が必要になる。
3八歩がないだけで形の上でまた違った感じになる。どちらが大事か,また分からないことだらけである。
諸問題はさておき,味のある図であった。

16-3
未発表

この作品のどこが実戦型なのでしょうか?
端の桂香もありません。
これは言い訳できないだろうと思われるでしょう。
しかし,胸を張って「これこそが実戦型である」と言えるのです。
それは,本作が唯一の実戦取材の作品だからです。
もう二度と実戦取材はしないと誓いました。

16-4
未発表

もういい加減にしろとお思いでしょう。ずーーーっと言い訳ばっかりぢゃないかと。
ごめんなさい。
後のほうにちょっとは真面目な作品もでてきますので,もう少しお付き合いください。
本作の狙いは解いていただけばわかるはずです。
そう「途中……」。

16-5
詰将棋パラダイス 1994-06

お待たせしました。
やっと,マトモな実戦型の作品です。
(初形の1三飛に目をつぶれば……の話です)

この収束を一度やってみたかったというのが動機です。
2四桂を打つことができて,なんとか作品になったと判断しました。

小林敏樹

☆32飛~41角は第一感だが,51角成に32玉となった局面は切れ筋の様に思えてしまう。そこで軽く24桂。変化の41馬を隠し味にして,なんとも味の良い一手である。
小林理—24桂で詰むとは見えない。実戦型の好作。
生瀬亨—いきなりの大駒連続捨ては指し切りそうで浮かびづらい。歩頭の桂からの収束は鮮やか。
小林徹—一時は不詰かと思う。実戦型らしからぬ好手順。
飛鷹斗潮—13飛配置には違和感があるが手順はきれい。
☆24桂あたりから前後を組み立てていったものと思うが,いかにも手慣れた作り方。軽すぎて気付かなかった人も多かったと思うが,大駒4枚をきちんと捨てているのである。
☆実戦型の好作という評が多い中,13飛の配置に異を唱える声も多かった。
熊谷瑞彦—13飛からの作意なら凄かったろう。
☆22銀攻,12玉の形にして13飛から始められれば申し分ないのだが,残念ながら旨くいかないようだ。
作者—なんとも既成の収束であることよ。あー年だ。年だ。
☆そんな事言わないで,同世代の作家に刺激を与えるような若々しい作品を見せてください。

16-6
未発表

持駒金四枚を贅沢に捨てたかった。
さて収束だが,1一香を1二香にする案もある。
(そのためには序盤の変化を短く切らねばならないが)
そうすれば短編になるし,発表先もできそうだが,「持駒を全部捨てる」ことにこだわることにして,1一香の案を採用した。
細田強さんに同じ収束の作品があり,ちょっと真似してみたかったというのもある。

16-7
近代将棋 1993-04

詰朗会作品展として,読者のページに掲載されました。
解答発表はされなかったので,せっかく活字になった割には
報われない子どもです。
作者としては,可もなく不可もなしの平凡な子どもなのですが,
よかったら感想をコメントでくださいませ。

16-8
詰将棋パラダイス 1981-09改

ずいぶん古い作品だ。原敏彦さんに見せた記憶が残っている。
そういえば,この頃,あと2題くらい実戦型を作っていたことを思い出した。

本作は「カルタ」の札に予定している「エースは金」の作品に影響を受けて,金の打ち捨てを中心に手順を組み立てた。
発表時は見つからなかったが,柿木先生が余詰を見つけてくれた。
それで配置が修正されている。

鶴田諸兄

☆29手詰を短大に出題したことについてクレームをつけた方があった。或いは大学の方に廻した方がよかったかもしれない。玉方1一香が3度動くところが面白い。手数の長いものが必ずしも勝つとは言えず,11の21手詰に首位を譲ったのである。
柳原裕司—11,14,15のように端の桂香が捌けますと実戦型を解いたという実感が湧きますね。A
藤田雅志—形はともかく,手順はこれが一番ベテランの味がする。A
渡辺士郎—いつもの風氏の冴えにやや欠けるようですが…。A
水口清—これが一番イイA

16-9
未発表

今は閉鎖した【新作コーナー】に出題した作品。
かなり古い素材。余詰防ぎにと金1枚で出題したが,ミーナさんにつぶされた。いろいろ動かしてみたが,どうも1枚では防ぎきれない。
今回,なげやりな配置だが,8七とを加えて並べておくことにする。

柏川悦夫さんに実戦型から一の字が出現するという作品があって,私も実戦型から意外性を演出した作品を作りたいと構想した。
曲詰を作る力は無いので,このような作品が出来上がった。

【新作コーナー】向けに仕上げる際に,初手を加えるのに苦心したことも付け加えておこう。
一応,変化伏線になっている。
省いても手順を進められるように苦心したのだが,なんとなく第一感で打たれてしまうようで,苦心の甲斐は無かった。

【名  前】風みどり
【タイトル】8月出題のヒント
【メッセージ】
高校生だった頃のネタです。。。
解いていただけば,幼稚な狙いから「ああ,幼いねぇ」と納得していただけると思います。
手順で考える所は初手だけです。はい。 

ご笑覧ください。

(ミーナ) この収束は初めてみるように思います。もしかして新型なんじゃ、、(そんなことないか) 99/08/02 13:16:18
(風みどり) さぁ。。。森田氏作かなんかで,19玉で詰み上がる作品をみて,おーし,それぢゃぁ……と取り組んだんではないかなぁ。(自作ながらあまり古くて思い出せない) 99/08/02 21:33:18
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【名  前】ミーナ
【タイトル】意外性たっぷり
【メッセージ】
今回も持駒が多くて、その上大駒3枚のパワープレー。サービス満点?
左辺は変な駒がいっぱいあってヤだから、右辺だけで片を付けようと
2一角成を中心に色々やってみたけど、結局挫折。
1五銀と4二馬(角じゃない)から初手桂打はミエミエだけど、とりあえず保留して粉々にする。
5四桂打ったとこで、ぱたっと手が止まりました。
ここから垂直落下はびっくりしました。そういや、似たようなのを掲示板にのっけてたのに。
初手の伏線も簡単じゃないし、結構効いてる。
と金はまぁしゃあないやね。これでもちょっと危なそうだし。
ヒントは、栴檀は双葉より芳しってか?

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【名  前】ミーナ
【タイトル】と、思ったけど
【メッセージ】
よく考えてみたところ、初手1四桂を入れずに、5四桂、同金以下、
4一飛、5三玉、4三飛成、6四玉、5四竜、7五玉、6五竜で、
8四玉は9六桂以下。8六玉は9八桂以下捕まってるみたい。
ん~、ちょっとややこしいけど、どうですか?

(風みどり) 余詰の検討は4一飛以下が中心だったのですが……そうか,あとで桂馬1枚増やしたしな。やっぱりもう1枚置かなくては無理なのかなぁ。 99/08/01 06:07:54
(風みどり) どうもいっちゃってるみたいですね。修正図はでき次第……出題はこのまま続けます。 99/08/01 10:32:49

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【名  前】由良祇毘
【タイトル】何度かカンニングしました(^^;)
【メッセージ】
29手詰で、詰上りの玉位置は59!でしょうか。
紛れが広く、特に飛を2枚持ってからが大変でした。
初手の伏線手(はヒントを読みました)が14手目53玉の変化に
利いてくるのですね…。(この変化もなかなか厄介…)
最後は夏らしくナイアガラ!ということで(^^)楽しい収束でした。

(風みどり) 由良さんの「詰将棋は捨て駒」を読んで,捨て駒のない詰将棋を作りました……というわけでは勿論ありません。駒交換ばっかしで失礼しました~。 99/08/02 18:07:54

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【名  前】昨日の猿
【タイトル】手順も実戦的です
【メッセージ】
こんにちは。初めてこのコーナーに解答させていただきます。

【解答】
▲14桂、▽同歩、▲33銀、▽同桂、▲31馬、▽同玉、
▲42金、▽同飛、▲同銀成、▽同玉、▲54桂、▽同金、
▲62飛、▽52桂、▲41飛、▽53玉、▲54角成、▽同玉、
▲55歩、▽同玉、▲65金、▽56玉、▲66金、▽57玉、
▲67金、▽58玉、▲68金、▽59玉、▲69金
までの29手詰。

感想:何となく予感がしたんですが、やはり上辺への追い出し
でしたね。初型だけでなく、手順も実戦的です。
14手目▽53玉ならば、▲63飛打、▽44玉、▲54角成、
▽35玉、▲36金、▽24玉、▲33飛成、▽同玉、▲32馬~
で早詰ですね。(この変化も捨てがたい)
▽85と は13手目▲41飛▽53玉▲43飛成~の余詰防止の
ための配置でしょうか。(最初はこちらの手順にはまりかけました)

今後も楽しめる出題をお願いします。ではまた。

(風みどり) はじめまして。これからもよろしくお願いします。14手目の変化が解図のポイントですね。52でなく、63に打つのが鍵です。ここに初手の伏線が効いてくるという仕組みです。(ここらへん解けなかった人向けの解説)。85との配置の意味もおっしゃる通りです。ところがミーナさんのアーティクルを見れば書いてあるように,まだダメでした。余詰でした。くやしい~。 99/08/05 09:33:33

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【名  前】田 爺
【タイトル】初めてみた収束
【メッセージ】
直前に解答がありました。途中で挫折しかかっていたのでラッキー(?)。
この収束は初めてお目にかかりました。緩まず、ダラつかずなかなか結構でした。初手は深い意味があるのですが、なにも考えずにまずやってみる手で損をしているかも。

(風みどり) 感想書き込みありがとうございます。そうなんですよね。なんとなく初手には桂を打ってしまう。。。一応打たなくても進められるように苦心したりしているのですが無駄な努力だったりして,世間は厳しいです。 99/08/05 09:35:59

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【名  前】いぬた
【タイトル】難しそうに見えたけど…
【メッセージ】
易しい作品でしたね。最後は意外でした。
ちなみに、初手14桂は真っ先に考えました。

ところで、これ、逆算で実戦型にしたんでしょうか?
気になります。

(風みどり) はい。ここに王さんもってこようと,収束形を作って,そこから逆算しました。(これは逆算とは言わない駒交換だぁぁ) 99/08/08 04:29:02

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【名  前】ふじい
【タイトル】誘惑に負けました
【メッセージ】
5四桂を打った時点では解けたも同然と思ったのに、その後が難解でした。
誘惑と夏の暑さに負け、遂に他の人の解答を見てしまいました。
予想外の収束で、これは自分には解けないなあと変に納得。
ところで5九での詰め上がりは何か名称がつけられてるのでしょうか?

(風みどり) 62飛に53玉の変化がネックだったのでしょうか?ここ,63飛打とするのが唯一の考えどころ。59の詰めあがりですか?私は知りません。55は都詰。51は玉座還元…と門脇氏は書いてありましたね。59はゴールインってことにしようかな。相入玉のルールはまだ変わっていないんでしたっけ。 99/08/20 08:44:48
(ふじい) ついつい52飛打としてしまい、63は完全に盲点でした。相入玉の新ルールは先に51(59)に辿り着いたら勝ちというやつですね。そのうち例えば59に逃げられたらアウトというルールの詰将棋なんか出てきたりして・・。 99/08/20 13:07:04
(風みどり) おお,それ面白いかも。王泉さんあたりに話すと実作してくれるかな。 99/08/20 19:30:55

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【名  前】モーニング
【タイトル】感想
【メッセージ】
初手は「打ってからその意味を考える」手ですが、好手です。その意味が見えませんでした。62飛車もなぜか見えずに苦戦。大変でした。試験前にすることじゃないですよね。

16-10
詰将棋パラダイス 1985-04

高校2年生の現代国語(田辺ジュウエモン先生)の時間にできた素材だ。もともとは龍が駒取りをしながら離れていくという作品だったが,出来上がってみると遠くの龍がえっちらおっちら近づいてくる話になった。
前作同様,実戦型から意外性が狙い筋。どうもまともな実戦型を作れないので,なんか変なことをやりたかったんですな。
変化伏線で角を消すのが前半の眼目。後半は一歩稼ぐために与太るとことだが,こちらは変同があった。
かなり痛いが,2七桂1枚で収束できたので充分だろうと判断して投稿した。
姉妹局で実戦型から馬鋸というのも企画したが,そちらは未完成。

申棋会

作者—大正の昔のおおらかな実戦型です。清貧図からおりなす手順は,さながら関東平野を散歩するが如し。
☆趣向詰には見えない舞台配置だが,そこから龍鋸がでてくる。
弘光弘—中合によって角がジャマになるのはすごい。
切敷芳朗—29手目52龍で一歩カセグのが狙い。
☆導入部は合駒が絡んで少々厄介。2手目が正体不明の中合で,76香を取らせない意味だが,76香が他の場所にあっても(9手目34香に対して香合を回避するため3枚置いておく必要がある),作意同様で詰む。
坂口和男—76香は質駒というより変同防止駒。しかし,かえって74歩中合の発見を容易にしているので,76香をとに,23歩を香にする手もあったと思う。
☆65角,同桂は変化(龍を四段目に引く)に備えた伏線だが,角の消去及び桂の移動という二重の意味が,その効果を弱めているように感じる。
☆52龍が龍鋸の単調な流れに活を入れる手。単に42龍では一歩足らない。ただ,ここからの変同は重要な箇所だけに減点対象。選題の時に変同ありと書かざるを得なかった。ちなみに変同解は4名。
作者—実は25歩に同桂のつもりで割り切れていると一人合点で作ってしまい,今更うまく直らず,キズのまま残します。
秋元節三—合駒が多くてかなり難解。収束の大きな変同は痛い。
佐藤次衛—龍鋸もいろいろの趣向があり楽しめる。

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