「伊藤宗看」タグアーカイブ

詰将棋入門(186) 驚愕の歩成らせ

三代伊藤宗看『将棋無双』第91番 1734.8

「守備駒の利きを強めて取歩駒を発生させる」というカテゴリーの小分類になるのだろうか「成らせ物」は。
しかし手順を並べていただければわかるように宗看の関心は打歩詰の新しい回避手段を開発するというより、その実現方法–演出にあるように思える。そこでタイトルに「驚愕の」を追加してみた。
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詰将棋入門(185) 飛車の双方不成

三代伊藤宗看『将棋無双』第90番 1734.8

現代においては、飛車の双方不成という主題だけでは37手詰を支えるには軽すぎる。
しかし不成がまだまだ新鮮な妙手であった時代を考慮して鑑賞していただきたい。
…とまぁ、こんな風に書くのが定跡だ。
しかし鑑賞していくうちに、作者の考えたことが直接伝わってくるこの大らかな造りが好きになってくる。
そして約束通り大駒が綺麗に消える構成に、流石は宗看だと納得してしまうのである。

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詰将棋入門(184) 華麗な邪魔駒消去とその奥の変化伏線

三代伊藤宗看『将棋無双』第89番 1734.8

1回転半の素朴な龍追いだが2箇所の打歩詰の陥穽を事前に回避する巧妙な手段が鮮やかだ。
なお本局は不詰であり、門脇芳雄氏は41成香が41成桂の誤植ではないかとみている。
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詰将棋入門(182) 最長手数記録更新作(当時)

三代伊藤宗看『将棋無双』第75番 1734.8

すでにこの連載で伊藤看寿「寿」611手詰、奥薗幸雄「新扇詰」873手詰を解説してきている。
比較すると225手は可愛らしいものだが、当時は驚異の長手数であったことだろう。門脇本によるとそれまでの長手数記録は伊藤宗印『将棋精妙』第96番の99手詰だったそうだ。

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詰将棋入門(181) 四香追戻詰

三代伊藤宗看『将棋無双』第73番 1734.8

有名な「四香追戻詰」。ただし本局には2箇所の読み抜けがあり不詰。
解いてみようという方はそれを踏まえて考えていただくか、後述する駒場和男の補正案の方に挑戦することをお勧めする。

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