黒川一郎 「落花」『将棋浪曼集』第50番 風ぐるま1952.3改
伊藤看寿の煙詰(図巧#99)の趣向は2号局が200年の長きにわたって現れなかった。
初手は95とと93桂成の二択だが、93桂成では一段目に落ちられて打歩詰。
まずは68龍を動きやすくするのが先決だ。
95と、同成香、同馬、同玉、96香、同玉、
続いて金を精算してしまう。
87金、同金、86金、同金、同と、同玉、
76とが消えてくれたのが大きいのだ。
76龍、95玉、94金、同玉、93桂成、同玉、83歩成、同玉、
94金が好手。後の変化で96龍を準備しておく必要がある。
74と右、92玉、83と、同玉、84と、同玉、74龍、93玉、
ここら辺が最初の難関か。
龍の活用を第一に考える。
85桂、82玉、83歩、91玉、92歩、同玉、94龍、81玉、
82玉と逃げ、83歩を打たせるのが2手伸ばす玉のうまい逃げ方。
82歩成、同玉、93龍、71玉、72歩成、同と、同香成、同玉、
93龍のところで、先に72歩成も成立する。
手順前後の瑕疵だ。
さてここからは楽しい追い趣向。
73桂成、61玉、62歩、同成銀、同成桂、同玉、
63桂成、51玉、52銀、同成銀、同成桂、同玉、
53歩成、41玉、42銀、同成銀、同と、同玉、
43歩成、31玉、32銀、同成銀、同と、同玉、
33歩成、21玉、22銀、同と、同と、同玉、
さてここが最後の難関。
気がつくと39飛の利きが通っているをお忘れなく。
82龍としたいが、46馬が遠く守っている。
23歩成、同と、14桂、同成香、23龍、同玉、
ずっと局面を動かしてきた龍を切り、あとは収束だ。
14と、同玉、15歩、同玉、16歩、同玉、17歩、同玉、
右下で詰上がる。
18歩、28玉、38金、18玉、19香、同馬、同飛、同玉、73角、18玉、28角成 まで99手詰
看寿の煙詰が\(\large\cup\)型の移動をするのと対称的に「落花」は\(\large\cap\)型の移動をする。これが200年の宿願を果たすことができた鍵となる発想だろうか。
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将棋浪漫集を持っておりませんので当サイトの黒川一郎氏の図面すべて、但し「落花」以外を解決し楽しませて頂きました。
落花は煙詰め、煙特有の初手~数手の煩雑さが嫌で着手する気になれず、同サイトの解説で{見て楽しむ}派とします。
同氏の作品は現代の難解かつスゴイと唸らされる趣向、、例えば田島秀男氏のような超が付くほどの進化した作品でもなく実際の駒と盤上で遊ぼうと言う感じのする作品で達成感は少ないながらも好感を感じてしかた有りません。
「浪漫」とは記載しているものの、きっと遊んでいたんでしょう。
「鯰」なまずのタイトルだけは?です。
さて、今日はその鯰と「輪廻」と言う煙を詰め終わりました。輪廻は詰将棋一番星を参照。盤の周辺を概ね一回転して元に戻る還元王の趣向煙詰め、しかも易しい。タイトル併せ同氏を代表してもおかしくない作品だと思いました。