土屋交弘 将棋ジャーナル 1992.9
今日のタイトルは解答選手権などで「歩が1枚足りないな」と思ったときは、線駒をもう1路遠くから打つことによって中合を稼ぐことができないか調べてみると良い……という意味の格言だ。

初形をじっと眺めていると詰上り図が見えてくる。
こんな感じだ。
【詰上り予想図】
しかも初手は持駒の銀を打つしかない形。
解答者に優しいこういう作品がいい。
昨今の持駒が大量でどこから手を付けていいか見当もつかない作品はコンピュータに解かせてしまえ。
22銀、12玉、

もう詰上り図が見えてきた気がする。
36飛を働かせるには……
24桂、同馬、16飛、

これで14歩合なら……
14歩、

同飛、同馬、13歩、

これで詰みだ。
しかしこれは勝手読み。
14桂、

桂合されたら13に打つ駒が入手できない。
だいたい歩合だとしても……
15歩、

同飛、同馬、
【失敗図】
15歩合だったら13歩が打歩詰だ。
馬を呼び寄せる24桂はもう使ってしまっている。
2手目の局面まで戻って考え直す。

34歩は初手から33飛成、同馬、14銀を消すためだけの駒ではないと気づく。
21馬、23玉、26飛、

26飛が好手だ。
同馬、

同馬ならば、24への利きがなくなるので
32馬、12玉、24桂まで
【変化図】
かといって14玉と逃げ出すのは
14玉、32馬まで
【変化図】
では合駒だが、24歩合などでは
24歩、

同飛、同馬、32馬、12玉、24桂まで
【変化図】
これで合駒を25に打つしかないとわかる。
25歩、

同飛、14玉、

14玉が玉方の好手だ。これで2手長くなる。
23飛成、

そして飛車をもう一度捨てることができる。
発表時は25同馬とした誤解者も居ただろうと思われる。
同玉、32馬、12玉、

2手目の局面と比較すると、10手で36飛を持駒の歩に替えることが出来たということだ。
これで予定通りのコースに入ることができる。
24桂、

取歩駒を呼び込む捨駒だ。
同馬、13歩、同馬、11銀成、

13の退路をを塞いで11銀成。これは取るしかない。
同玉、21馬まで19手詰

本作、初形で36飛がなく、持駒「銀歩」だったら初心詰だが、歩の入手を中合で実現したことにより立派な作品になった。
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