じつはじつわ?

朝、家を出るときにMくんはコートのポケットにマスクを入れる。駅に着いたらマスクをポケットから出して装着する。

月曜日は問題なし。

火曜日、駅についてポケットを探るとマスクが2枚入っていた。
あれ?どっちが新しい未使用のマスクだ?(1枚は昨日使ったマスクである)
まぁ、とにかくマスクをしていればいいんだ、Mくんはランダムにマスクを選んで装着した。

問1(こども向け)
このときMくんが新しい未使用のマスクを装着した確率を求めなさい。

水曜日、駅に着いてポケットを探るとマスクが3枚入っていた。
あれ?どれが新しい未使用のマスクだ?
まぁ、とにかくマスクをしていればいいんだ、Mくんはランダムにマスクを選んで装着した。

問2(中学生向け)
このときMくんが新しい未使用のマスクを装着した確率を求めなさい。

このように毎日同じことを繰り返すMくん。

金曜日、駅に着いてポケットを探るとマスクが5枚入っていた。
あれ?どれが新しい未使用のマスクだ?
まぁ、とにかくマスクをしていればいいんだ、Mくんはランダムにマスクを選んで装着した。

問3(おとな向け)
このときMくんが新しい未使用のマスクを装着した確率を求めなさい。

解答編

問題だけ書いておいて、解答をつけるのを忘れていました。大人向けはどうやって証明したらいいのかと考えているうちに……結構難しいな、後で考えようとしてそのまま忘れていました。ごめんなさい。

そこでkomorebiさんがコメントで解答をつけてくれました。ありがとうございます。
(追記:2023.2.27)tuttiowlさんからも解答をいただきました。ありがとうございます。

これは中学2年生向けの問題なので、黒板に樹形図を描いて終わらせます。
下の画像みたいな感じです。
Nが未使用のマスクを使った場合、Oが使用済みのマスクを再利用した場合です。
金曜日は枝分かれが120本になるので流石に黒板にも書ききれないので、この先にあるNの枝の数だけ書くことにします。
ここまで書くと「くじ引きで何番目に引いても当たる確率が変わらないのと同じだね。先に当たりを引かれると当たる確率は減るけれど、先に外れを引いてもらえると当たる確率は増えるのでトータルで当たる確率は変わらないのと」と語ると概ね納得してくれます。(中学生は純真!)

「じつはじつわ?」への5件のフィードバック

  1. すみません、年老いた理系人間のせいかも知れませんが、“新しいマスク”という書き方に、やや違和感が。
    その日の朝にポケットに入れたものを“新しい”と形容した可能性と、その日まで未使用のものを“新しい”と形容した可能性と、どちらも考えられる気がしたせいです。
    問題として考えると、前者の意味ではない可能性が高そうですが(すべて1/nになってしまうような気が……)、「“新しい”はこちら(前者)の意味で私は使う」とされた場合に、否定しにくいように思ったのでした。

    1. 確かに。「新しい」を「未使用の」に変えました。
      ご指摘ありがとうございます!

  2. \(1\)日目から\(n\)日目までのマスクの取得パターン数は\(n!\)通り、
    このうち\(n\)日目に未使用のマスクを使用する取得パターン数を\(S\)通りとする。
    \(k(1 \leq k \leq n)\)日目に追加されたマスクを\(n\)日目に初めて使用するマスクの取得パターン数を\(S_k\)通りとすると
    \(S=\sum_{k=1}^n S_k\)で、
    \(\begin{align*}
    S_k&=1 \times 2 \times \cdots \times (k – 1) \times (k – 1) \times \cdots \times (n – 2) \\
    &= (n – 2)!(k – 1)\end{align*}\)
    でありこれは\(k=1, n\)のときも成立する。
    よって
    \(\begin{align*}
    S&=\sum_{k=1}^n S_k\\
    &=\sum_{k=1}^n (n – 2)!(k – 1)\\
    &=(n – 2)!\sum_{k=1}^n (k – 1)\\
    &=(n – 2)!(n – 1)n/2\\
    &=n!/2\end{align*}\)
    となり求める確率は
    \(\displaystyle\frac{S}{n!} = \frac{1}{2}\)

    任意の\(n\)について確率\(\displaystyle\frac12\)というシンプルな結果になりましたが、これはもっと簡単な証明、あるいは直感的な説明があるのでしょうか・・。

  3. 2日目の状態を\((1,0)\)
    (1日目は1回使用.2日目に追加は0回使用)
    のように表すと
    3日目の状態は \((2,0,0),(1,1,0)\)と表せます.

    2日目の0の個数は \(1=\displaystyle\frac{2!}{2}\)

    \(n\)日目の\(0\)の個数を \(\displaystyle\frac{n!}{2}\) とすると
    \((n+1)\)日目の\(0\)の個数は,
    ・\(n\)日目の状態を\(n\)個コピーすると \(0\)の個数は \(n\times\displaystyle\frac{n!}{2}\)
    ・\(n\)個のコピーの成分を重複なく1か所だけ\(+1\)(つまり\(n\)日目に使用)すると減った\(0\)の個数は \(\displaystyle\frac{n!}{2}\)
    ・\(n\)日目に追加した\(0\)の個数は \(n!\)

    これらの総和を計算すると
    \(n\times\displaystyle\frac{n!}{2}-\displaystyle\frac{n!}{2}+n!=\displaystyle\frac{(n+1)!}{2}\)

    よって数学的帰納法により確率は \(n\) に依らずに \(\displaystyle\frac12\)

  4. 期待値で説明するのがわかりやすいようです.

    \(n=2\)のとき,2日目の未使用マスクの枚数は \(\displaystyle\frac{n}{2}=\displaystyle\frac22=1枚\)

    \(n\)日目の未使用マスクの枚数の期待値を \(\displaystyle\frac{n}{2}\) とする.

    \(\begin{align*}
    &((n+1)日目の未使用のマスクの枚数の期待値)\\
    &=(n日目の未使用マスクの枚数の期待値)\\
    &   -(n日目に選ばれる未使用のマスクの枚数の期待値)\\
    &     +((n+1)日目に追加されるマスクの枚数)\\
    &=\displaystyle\frac{n}{2}-\displaystyle\frac12+1\\
    &=\displaystyle\frac{n+1}{2}\\
    \end{align*}\)
    よって,確率は \(\displaystyle\frac12\)

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