詰将棋つくってみた(118) 課題25:結果発表(中編)

結果発表、つづきです!

第11問 松田圭市

正解
21桂成、同玉、33桂、同香、13桂、11玉、
12香、同玉、23金、11玉、21桂成、同玉、
32角成、11玉、22金まで15手詰

13桂を33桂に打ち換えます。
33桂に11玉と戻ると13香と打てるので簡単に詰んでしまいます。
そこで33桂は同香の一手。
再び13桂を打つところが味となります。

松崎一郎 詰め上り”イ”の字。
竹中健一 分かりやすい打ち替え作品。
RINTARO 初形と6手目の局面の対比ですね。
松澤成俊 他に手が無いとはいえ感触の良い手順
negitarou 桂馬を2枚捨てて、香車を吊り上げる。
占魚亭 6手かけて受方香を二段上げる。軽快な桂捌きが良い。
まつきち 桂の打換えだけではいささか寂しい。手順の半分以上が既成なので、この収束を使うならもっと逆算したいところ。

第12問 武田裕貴

正解
28桂、26玉、27香、同玉、36銀、37玉、
47馬、28玉、38金、29玉、18銀、同玉、
27銀、29玉、39金、同玉、38馬まで17手詰

攻方の56馬と離れた位置にある玉。
とても難しそうに見えますが、28桂と手をつけてみると意外に何処に逃げても銀香金で捕まりそうです。
上か下かどちらに逃げるか保留するかのような26玉に27香、同玉と入玉に引き込みます。
ここで38銀が魅力的に見えますが17桂があるので29金と打てずに失敗。
上から36銀と押さえてみればあとは容易だったはずです。

松崎一郎 触らぬ桂に祟りなし。
竹中健一 逃げ方に戸惑うがこれで合ってるかな?
松澤成俊 桂を打ってみると意外と狭いのは③と同じ。
占魚亭 5手目に設置した銀が軸。自然な手を積み重ねる。
RINTARO 収束の変同が気になりますが、配置・手順は流石ですね。
まつきち 5手目38銀で一苦労。38金も非効率に見えて打ちにくい。後半、36銀が38金が捌ける収束は味が良い。

第13問 井頭桜花

正解
41飛成、31歩、32龍、同玉、42角成、同玉、
43飛、52玉、73飛成、41玉、42歩、32玉、
23龍、42玉、43龍、51玉、52龍まで17手詰

いきなり41飛成と合駒を訊きます。
金銀香は22歩、同飛、同角成、同玉、24飛、33玉、23飛成まで。
桂は22歩、同飛、43角成、12玉、22角成、同玉、32龍以下。
歩の場合だけ22歩では11玉と雪隠で頑張って詰みません。
そこで32龍、同玉ですが、ここで42角成が妙手。ここは22角成としてみたいところです。なぜなら同玉とは取れないからです。
ところが22角成は以下41玉、42歩、同玉、43飛、52玉となります。
作意の進行と比べてみましょう。

■42角成の場合

■22角成の場合

作意は角がない代わりに持駒に歩があります。失敗図は歩がない代わりに22馬があります。
ところが下図はこの後どこに飛を開いても41玉で千日手です。41玉は許すまじと33飛成では22馬が活用できません。
角を捨てて歩を残す42角成が正解だったわけです。

松澤成俊 3手目までが山
占魚亭 44角の睨みを活用。綺麗に纏まった飛角図式。
竹中健一 飛角図式で大駒2枚消えるからまぁ良しですか?
松崎一郎 31歩合に対し、竜飛交換から42角成で詰み筋が見えてきた。
negitarou 飛角図式で綺麗な初形。桂合の手順も、歩合の手順も手強かったです。
まつきち 二上九段の名作(41玉、攻方:42角・43角、持駒:飛)を想起させる42角成。
RINTARO 序の6手に驚きました。2手目31桂合のときの43角成に気付かず、割り切るのに苦戦しました。飛角図式の秀作ではないでしょうか。

第14問 RINTARO

正解
14香、21玉、22歩、同玉、13香成、同玉、
25桂、12玉、13歩、21玉、22歩、同玉、
33龍、21玉、12歩成、同玉、13桂成、21玉、
22成桂まで19手詰

14香に12合駒は31龍~23桂で簡単。
13歩合は31龍、12玉、32龍、22金、24桂、11玉、23桂です。
21玉と躱すのが最善とはちょっと意外だったと思います。
あとは正統な上から押しつぶす手順。

松崎一郎 詰め上り”フ”の字。
竹中健一 13香成が好手でした。
占魚亭 序奏(14香~25桂)の流れがいいですね。
松澤成俊 合駒がきかず歩2枚温存して桂を打てばつかまっているのは意外。

第15問 不透明人間

正解
32飛、同玉、42馬、23玉、33飛、24玉、
36飛成、33桂、同馬、13玉、22銀不成、12玉、
23馬、同玉、33龍、12玉、24桂、同金、
13龍まで19手詰

初手はまずやってみたい手です。
2手目24玉は変化だろうと読み飛ばす方も多いでしょう。
いろいろな詰め方がありそうですが、44飛と14金を質に見るのが考えやすいかもしれません。
42馬に23玉で手駒が飛車1枚ではちょっと不安ですが33飛から36飛成と自然に攻めて手応えを感じます。
33桂が最後の抵抗でした。13玉ですと33龍に23金合が必要なので、この金を喰って早く詰みます。

松澤成俊 中合が良いスパイス
竹中健一 33桂合が入って締まりましたね。
negitarou 「3三桂合」への対応でしばし悩む。
RINTARO 33桂合が妙防。綺麗にできてます。
まつきち 33桂捨合が洒落た受け。大駒1枚捨てての収束も好感。
占魚亭 考え所は8手目の合駒読みくらい。綺麗に収束して解後感よし。
松崎一郎 詰め上り”フ”の字。

たしかに14番と終局図のシルエットが同じ!これは気づきませんでした。

第16問 芹田修

正解
22金、同玉、32飛、13玉、25桂、同馬、
23金、同玉、33馬、14玉、12飛成、13金、
同龍、同玉、23金、14玉、26桂、同馬、
24馬まで19手詰

初手24桂や32飛も見えて悩みます。22金から32飛という順は自然ながら形も整え効果的な序奏です。
この局面で飛角図式。
ここまでくれば33への馬の利きを外す25桂が見えてきます。

占魚亭 心地よい手のリズム。
RINTARO 軽い作品でしたがまとまりはいいです。
松澤成俊 簡素形から5手目の2五桂のような味のいい手が良く入るなと感心
松崎一郎 金を捨て飛の拠点をつくり、馬の効きを外して23金で詰みが見えた。
竹中健一 25桂~23金でよくある筋に入る。合駒を入れるのはいつもながらすごい。

第17問 nakadani

正解
92飛、11玉、13香、21玉、12香成、31玉、
22成香、41玉、32成香、51玉、42成香、61玉、
52成香、71玉、62成香、81玉、72飛成、91玉、
46角まで19手詰

初登場の作者です。嬉しいです。
初手が左の壁まで玉を追い詰めるための遠打。
簡素図式に仕立てています。

竹中健一 ほぼ絶連だけど最遠打。
占魚亭 初手最遠打のインパクト。
松澤成俊 やりたいことはわかるが・・・
松崎一郎 正月らしく、楽しくおもしろい。
RINTARO 自力でこの手順を発見したのであれば素晴らしいです。
negitarou 「と金」と「歩」のブロックが地味に強力。最終手の感触が好きです。
まつきち この遠打、誰もが一度やってみる(笑)

この92飛の元祖は久留島喜内。

久留島喜内『将棋妙案』第58番 宝暦?年

(『橘仙貼璧』にも異図があります。このような場合どちらを1号とするのが正しいのでしょう?古典に詳しい方ご教授を。)

以降類作が数多く創られています。
かの柏川悦夫にもあります。
作者は柏川級の才能をひらかせる可能性あり!

第18問 妻木貴雄

正解
13歩、21玉、12角、11玉、23桂、22玉、
31角、32玉、44桂、同龍、21角成、同玉、
12歩成、同玉、11桂成、同玉、13龍、12歩、
22角成まで19手詰

筆者の高校の先輩で将棋世界・詰パラでも有名な妻木さんから投稿をいただきました。
綺麗な収束が待っているので解かないと損。ただし序盤の変化・紛れが手ごわいのです。

13歩に同龍は11と。これは易しい。
12角に31玉は作意通りでも詰みますが、41歩成、同玉、33桂、同龍、52角以下……これは変同ですね。
つまり別詰があるので変化と。

23歩・12角・23桂・31角と重ねて打った後に、そのうち3枚を捌き捨てる味を楽しむ作品でした。

松崎一郎 積み崩しが鮮やか。
竹中健一 きれいな仕上がりですね。
松澤成俊 龍の位置を変えて詰み崩す
まつきち 打った駒を捌く手が多く好感度高い。
占魚亭 積み木崩し的な収束が綺麗に決まっている。
RINTARO 一種の詰み崩しなのかもしれないですけど、変化が多かったです。4手目31玉の変化を割り切るのに苦労しました。

あ、割り切れてました?
41歩成、同玉、33桂、同龍、52角、32玉、33龍、同玉、34角右成、22玉、12歩成……
たしかに桂が余ります。失礼しました!

第19問 RINTARO

正解
14香、13歩、同香不成、22玉、23歩、同桂、
12香成、同玉、14香、21玉、23龍、31玉、
34香、42玉、54桂、52玉、64桂、61玉、
63龍、71玉、72桂成まで21手詰

第14番に15銀が追加された形。持駒は違いますが似た雰囲気。
今度は14香に13中合が出現します。21玉なら23香、同桂、同龍で作意に短絡します。
13歩合に31龍は12玉、32龍、22合のあと24桂が打てないので不詰。
13同香不成に22玉とあがってくるので23歩、同桂と質駒を確保した後、香を打ち換えます。
今度22玉なら13香成から25桂なので21玉。ここで23龍が意表を衝く攻めでした。
左に逃がしても34香で後2桂あれば捕まるのですね。

占魚亭 14との違いを楽しみました。
竹中健一 左に追い出すのは意外でした。
松澤成俊 ⑭の方がすっきりしていて好きかな(笑)

第20問 RINTARO

正解
26桂、24玉、13角、同玉、33飛成、23金、
25桂、12玉、23龍、同玉、14金、22玉、
34桂、31玉、53角、21玉、22桂成、同玉、
13金、21玉、33桂不成、11玉、23桂まで23手詰

序はこのようにやってみるしかなさそうですが、33飛成に23金合とされた局面。
31角と打ってみたくなりますが以下12玉、32龍、11玉で失敗します。
25桂と勢力を追加しておいて龍を切るとはなかなかやりにくい手順でした。
14金に12玉は13金以下早く詰みます。

占魚亭 初手と7手目に打った桂の捌き方がいいですね。
竹中健一 龍切って14金とは面白い筋があるものですね。
松澤成俊 角捨てから飛成は読みやすいが龍切ってべたっと金を打つ野暮ったい攻めでつかまるとはやや意外


ごめんなさい。前・後編の予定でしたが、前・中・後編の3回に分けさせていただきます。
続きは明日!

「詰将棋つくってみた(118) 課題25:結果発表(中編)」への1件のフィードバック

  1. 【第13問】ですが、五手目の2二角成・4二角成でかなり悩みました。
    分かりやすい解説、ありがとうございました。
    また、RINTAROさんも書いておられますが、桂合の時の4三角成は妙手だと思いました。

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