第11回 三手詰祭
  結果発表(最終回)

第61問 新井大輔 

正解 54桂、46飛、68王まで3手詰

54桂と53香の利きを塞いでしまえば45合に86王で詰みに見えます。
でもそれでは駒余り。
本作は2手目の受け手を考えてくださいという問題でした。

86王を許さない応手と考えれば、46飛(!)しかありません。同香とすれば45角成まで逆王手がかかりますので、この飛車は取れないのですね。
この応手が好評で星を集めました。
★★★

あああああ 守りたいのは86桂!
有吉弘敏  2手目は46飛という事ですね。
川蝉 桂跳ねの後の飛中合の応手で、見得を切る。
占魚亭 どちらから開くか迷う。飛合が上手い一手。
洲崎童波 2手目の応じ方がわからず。この辺りから、作意の読み取りに自信がなくなってきました……。
作者 masked battery のからくりが面白いと思って取り組んだものですが、シナトラ作の変形に留まりました。

シナトラ作の角合を飛合に変えたわけですが立派な新作になっています。

第62問 シナトラ 

正解 25飛寄、84香、27王まで3手詰

作者 前例の少ない、サードピンを作ってまで攻方王を守る手筋。ライン上に玉がいない段階で限定移動するのが表現上の工夫で、初手27王の紛れがあるのはかなり大きいと思う。27王には36銀合~56桂合が連続の限定合で、何とか逃れている。

バッテリーが2台。
どちらから開くか悩ましいですが、36王は27にしか行けそうもないので、まずは27王としてみましょう。一見詰んでいるようです。56合も同角成ですから。
ところが双玉の怖さで36銀という応手があります。王手ですから同飛の一手。飛車を動かしておいて56桂(56歩合だと77飛以下詰みます)の捨合が効きます。もう同角成と取れなくなっていることに注意してください。
そこで初手はもう1枚香の利きを塞いでおく25飛寄となります。
紛れで限定合2枚が出てくるのが高評価を獲得し、今回の一番人気でした。
★★★★★★★

新井大輔 27王の前に一準備
松崎一郎 中合に備え、飛車を縦列。
川蝉 25飛にたどり着くまでが大変。
小林敏樹 26飛をもう一枚シールドしておく狙い。
有吉弘敏  初手は玉を動かす手から考えた。高密度。
占魚亭 初手27玉は36銀~56桂の連続合で逃れているのか。
洲崎童波 解答競技で出題されたら、初手に「寄」とつけるのを忘れそう。

ここだけの話、作者も「寄」をつけていませんでした。

あああああ 自ら27に行かないといけないので、予め3枚挟む形にしておく。
空貴人 初手で将来の26飛をアンピン。玉の周りに駒がいない特徴的な詰上りに驚き。
ミーナ 21香を3重に遮断。初手27王は36銀~56桂が限定の逃れ。バランス感覚が素晴らしい。
上谷直希 紛れ順では23の角も26の飛も動かそうとするのが意外だった。素晴らしい。 馬屋原氏作との差別化は、初手に空き王手地点の選択の余地といった紛れがあるのと、自玉をそのラインに入れるのが最終手になっているところか。(一方、馬屋原氏作は縛り駒を合駒で発生させているのが大きい
作者 本作で三手詰祭発表100作達成!

おめでとうございます。三手詰祭同人作家の栄誉を!

第63問 上谷直希 

正解 59飛成、69香成、99飛成まで3手詰

作者 理論上の最大値の移動距離8マス+8マス+8マスを達成。ただ、配置がすごいことに……。せっかくなので詰め上がりも普段と異なるものにしました。

解くのは簡単で、作図課題の達成を楽しむ作品。そこに解答者が共感できるかということですね。
ある駒が一手で動ける最大距離は8マスです。

洲崎童波 空が落ちてくる!
松崎一郎 長距離で皆バタンキュー。
あああああ 三手詰の最大マス数を単玉で達成。
川蝉 どちらの飛が先に成るかの選択問題。
占魚亭 線駒の3手連続最遠移動成。ダイナミック。
新井大輔 11番と合わせて最長移動距離がテーマでしょうか
有吉弘敏  11番と同じ狙い。合駒制限が無いと難しいですか。。
上谷直希 ※自作 塊の駒の何枚かは余詰防ぎにもなってはいますが……笑
小林敏樹 8+8+8=24 88玉の変化があって、完全限定になっていないのが残念。こんな図では?

3手とも成限定の狙いは消えてしまいますね。

第64問 あああああ 

正解 54銀右(左)成、\(\cases{
同飛左、47王\\
同飛右、67王\\
同馬左、49王\\
同馬右、69王}\)  まで3手詰

作者 自玉のスターフライトです。対称形を利用してどうにか実現できました。初手が(右と左で)2通りあるのは少し気になるのですが、良い代替案が浮かびませんでした。

王を動かしたくても何処にも動かせません。初手に対し飛馬のどれかが動けば、そこに動かせるようになるという仕組みでした。動き方がX形なので
狙いは(比較的)わかりやすいものでした。初手は2通りありますが、初形が左右対称なのでセーフという主張です。
それではもしこのまま左右に1筋平行移動したらその図は余詰なのでしょうか。そこがどうも昔から納得いかないところなのであります。

あああああ 自作。冷静になると、思ったより形が重い気が…
上谷直希 隙ができた地点に空き王手。
占魚亭 攻方王のstar-flight。初形が左右対称な所も良いですね。
空貴人 何通りも詰め手順があって、それもよかったが、初形の見た目がグラディウスを思わせる形で、クロノトリガーに出てくる黒の夢にも見えると感じました。
洲崎童波 詰方玉のスターフライトとはこれまた珍品です。ところで左右対称での作図を世の人はSmartとみるのでしょうか、それともLazyとみるのでしょうか。仮に後者だったとしても、個人的にはこれは良いLazinessだと思いました。Perlを開発したLarry WallもBe Lazyと言ってますし。(何の話だっけ)

未だに AWK しか使っていない筆者にとって Perl なんて最新の話題にはついていけません。

第65問 あああああ v

正解 23角成、\(\cases{
44玉、33馬\\
64玉、54飛\\
46玉、56飛\\
66玉、56馬}\)  まで3手詰

初手23角成に応手は44・64・46・66玉の4通り。これがX形なので star-flight という趣向というところまでは読者諸賢もわかってきたと思います。
しかし作者の狙いはそこではありませんでした。
ヒントは詰将棋なら「初手の角の動きは13通り。正解はそのうちの一つ」となるところが「v」が一つだけというところ。つまり「見てほしい紛れは1つだけ」ということにあります。

占魚亭 star-flight。初手の選択が全て。
あああああ 自作。見てほしい紛れが74角というのは、だいぶ気付きにくいと思います。
洲崎童波 76角は46玉が詰まない!他の3変化は詰むのに。愕然としました。同氏の他の作品もそうですが、まずどうやってこのテーマを表現しようと思いつくのか見当もつかない。おそらくチェスプロブレム由来なのでしょうが、それを詰将棋に自然に持ち込む技量にも感嘆します。
作者 Rukhlis themeです。
Rukhlis theme は、A=54飛、B=56飛とするとき、
74角(紛れ)、44玉/66玉/64玉/46玉、A/B/63と/逃れ
23角成(本手順)、44玉/66玉/64玉/46玉、33馬/56馬/A/B
のように、AとBの出現位置が紛れ系と本手順系で入れ替わるという感じのテーマのようです。「逃れ」が入っていていいかどうかは、(自信がありませんが)たぶん大丈夫だろうと思っています。

作者の狙いに気づいた洲崎童波さんに吃驚です。

第66問 看空 

正解 45角、同玉、55金まで3手詰

8枚効いているところに45角。
作意は同玉ですが、同香も駒余らずですね。他の変化は駒余りなのでここまで駒をジャブジャブ使ったのなら32銀(攻方)を置いても良かったかもしれません。
56角も持駒になりそうですが、置き駒にしたのは作者の考えがあってのことでしょう。

占魚亭 9変化。
ミーナ 8枚焦点捨て。これは限界?
上谷直希 これは2手目の応手候補数が狙いか。
新井大輔 7枚…じゃなくて8枚利いているところに捨てる
あああああ 8枚効いているところに飛び込む。選ばれたのは香車。

第67問 看空 

正解 66龍、同飛、46角成まで3手詰

64龍と飛車を取れるところで逆に取らせる66龍──しかもわざと自玉に王手をかけさせるという狙いです。しかし解答者はまったく抵抗なく66龍と第一感で指したと思います。それだったら16王は不要に思えますが。

新井大輔 龍は千鳥に使え
ミーナ 16王が無くても同じ?
あああああ 46へ行くのは馬か龍か。
占魚亭 攻方73角のラインを開くために身を切る。

第68問 あああああ vv b)38桂→27 c)38桂→29

正解 
a) 28角、\(\cases{
36玉、37香\\
56玉、57香}\)  まで3手詰
b) 68角引、\(\cases{
36玉、37金\\
56玉、57金\\
48合、46金}\)  まで3手詰
c) 24角、\(\cases{
36玉、37銀\\
56玉、57銀打}\)  まで3手詰

「vv」は「見てほしい紛れが2つ」の意味ですが、本作は食べられる駒が3つあるのでわかりやすいです。桂馬が動くだけで金銀香のどれを喰えば詰みで残り2つは喰っても詰まないが変わっていく面白さを見てほしいということでしょう。
★★

あああああ 自作。作ったときには夢中だったんです…
小林敏樹 紛れと逃れをテーマにした意欲作。逃れ順がサイクリックになっていれば凄かったが。
占魚亭 桂の位置の違いにより初手の角の移動地点が変化。64角も成立できればなぁ、というのは望み過ぎですか。
洲崎童波 極めて重層的な表現。弱い駒を取って詰まない場合があるのは当然として、強い駒を取っても失敗する場合があるのは摩訶不思議。打歩逃れで実現できると思いつきはしますが言うは易しで、これだけ狭い空間に詰め込んであるのは驚異的。今回のベストだと思います。感動しました。さっきから短評と言える長さを超えててすみません。

直ぐ載る、全部載る、いくら長くても載るがwebの良いところ。

a
b
c

第69問 あああああ 

正解 35金、\(\cases{
48龍、16角\\
44桂左、21角\\
47銀(成)、25角\\
44成香左、34角\\
44成香右、54角\\
44桂右、61角\\
47馬、65角\\
47龍、76角\\
48銀(成)、98角}\)  まで3手詰

43玉に角を打って王手をかける方法は12通り。
その内の9通りを三手詰で実現しました。\(\displaystyle\frac{9}{12}=\frac{3}{4}\) は恐るべき達成度と思います。
第10回三手詰祭第89番をさらに発展させた傑作です。
ところがその第89番は星2つでしたが本作はさらに星を減らして1つだけ。筆者の鑑賞力のなさを如実に表す結果になりました。

占魚亭 5種移動合。
上谷直希 2手目はどれが代表だろう?
あああああ 自作。二箇所ある非限定がちょっと気まずい。
堀口一雄 玉方の対応で角打ちを決める「後出しじゃんけん」ですね
洲崎童波 玉に近い方の変化から調べて4パターン目くらいでまさかと思いましたが、そのまさかでした。

作者 角の王手9種です。第100番の創作時に利用した仕組みを試してみたところ、9種になりました。そのため第100番とは機構がかなり被ることになりましたが、こちらも捨てがたいので両方とも投稿します。成香配置と銀の成不成非限定が少し残念。

第70問 あああああ 

正解 89角、\(\cases{
34飛、24飛\\
56角(成)、29飛\\
45金、53飛\\
45銀、27飛\\
34桂、21飛\\
34香、33飛\\
56歩、93飛}\)  まで3手詰

全駒使用で持駒が飛と角。
「2種遠打か。場所と順番を考えれば楽勝だろう」と思うとさにあらず。
玉は身動き取れず、間駒がないんだから93飛の1手詰でしょうか? いえいえ73金の逆王手があってこれは詰んでいません。
初手は角から……となると打つ場所は89しかありません。さて2手目の応手は?
考えられるのは56地点で角・歩の移動合、45地点で金・銀の移動合、34地点で飛・桂・香の移動合です。(下図の赤い場所)七種移動合!
それぞれに対し、異なる場所への飛打による一手詰。
本作も大傑作です。
★★

あああああ 自作。なぜか全駒使用になってしまいました。
占魚亭 7種移動合。お見事。
川蝉 金の毒まんじゅうにご用心。
上谷直希 初手候補のNはかなり多そう。
松崎一郎 面白い! 飛を打つ所はヒヒヒヒ、ヒヒヒ。
negitarou 二手目では色々な駒(香・桂・銀・金・飛)が動く。
ミーナ 7種移動合に7種飛打。この条件で3手目同角は詰まない。ちょっとありえない。どうかしている。
洲崎童波 前問よりさらに複雑な感じ。3手目が限定される理由を1つずつ調べていくんですけど、途中でどのパターンまで検証したかわからなくなって、夜中に狂いそうになりました。(現在、深夜1:00)

変化7つで七種移動合を実現しただけでなく、最終手余詰もありません。

作者 変化を利用した七種移動合です。元ネタは、TTT on Twitterという企画のtttt28「変化七種合」に寄せられた、math26氏作です(『この詰将棋がすごい!2012年版』p.285)。歩移動合の処理を思いついて、どうにか形にすることができました。
2筋に受方の歩を置くことができず全駒配置が必要になった点と、56角が成不成非限定である点が心残りですが、今のところ最大限頑張ったと思います。

総評

あああああ 好作が多く★の数が足りなくなり、泣く泣く削りました…
堀口一雄  「2週間」の締切だと間に合わなかったです。(汗)後半の問題は特に悩みました(双玉問題を中心に)
松崎一郎 今回も楽しく鑑賞させて頂きました。三手詰と言えども奥の深さや表に出ず裏に潜む作意?に感動しました。作者の皆様ありがとうございました。
洲崎童波 このような場を定期的に設けてくださりありがとうございます。いつもながら力作揃いで楽しめました。特に、あああああさんの作品は他とは違う独特の魅力を放っていると思いました。今回わたくし短評がちょっと辛口寄りかもしれません。作意をなぞるだけでなく、配置やテーマの意図をなるべく掘り下げようと努めたがゆえです。どうか悪しからず……。暑い夏を乗り越えて、また半年後に皆様とお会いできるのを楽しみにしています。

当選者発表

厳正な抽選の結果粗品は有吉弘敏さん、豪華賞品(『スパイラル』)は洲崎童波さんに決定しました。
(有吉さんは賞品は辞退とありましたが、粗品は解答でしか入手不可能な小冊子です。どうかご遠慮なく)

余談

詰将棋全国大会で何人かの方に「70題は多すぎる」「この形では初心者もマニアも避けてしまう」という話をいただき悩んでいます。
創作チョー入門の企画として始まった三手詰祭が当初の目的とは遠い場所に来ていることは自覚していますが、森田正司さんが「詰棋めいと」で実践していたアンデパンダンの精神はなくしたくありません。
いい案があったら教えてください。
それでは次はお正月に(^^)。

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