「詰将棋入門」タグアーカイブ

詰将棋入門(17) 「待宵」特集

前回、初心者の頃に必ず講師の先生に出題される3手詰を取り上げた。
初心者によく出題される詰将棋の出典は渡瀬莊治郎の「待宵」であることが多い。

今回は「待宵」から一挙8題紹介する。
いずれも初心者向きの短手数作品なので、紹介ではなく出題形式でだそう。ヒントとして手数を添える。

解答は最後に。

渡瀬莊治郎 待宵 第1番 1866

7手詰

渡瀬莊治郎 待宵 第2番 1866

5手詰

渡瀬莊治郎 待宵 第4番 1866

7手詰

渡瀬莊治郎 待宵 第5番 1866

7手詰

渡瀬莊治郎 待宵 第8番 1866

5手詰

渡瀬莊治郎 待宵 第19番 1866

7手詰

渡瀬莊治郎 待宵 第29番 1866

13手詰

渡瀬莊治郎 待宵 第31番 1866

9手詰
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詰将棋入門(16) 例の3手詰

作者不詳 懐中象戯早伝授 第26番 17??

最も有名な3手詰の原型は福田稔「名作詰将棋」によるとこの図であるそうだ。

筆者が初めて見せられた図は下図だったように記憶している。

16角を34馬にした図も見たことがある。

この図に関して野口益雄は「詰将棋ざつだん」の中で次のように述べている。

この作品について,詰パラ誌(?)にのっていたあるかたの文で“16角のかわりに34馬を置いてある図をよく見かけるが,なるほどその方が紛れも多くて解き難いようにみえる。しかし現実は,16角の図の方が,ずっと難しいのだ”というのを読み(捜してもその文が見当たらない。どなたが書かれたのでしょう?),ハッと目が開かれた気がしました。

なるほどそうだなぁと筆者も感心した。遠くから角が飛んでくるところがイイのだ。さらに言えば,成るところが良いのだ。

福田稔「名作詰将棋」には

この作品は、江戸中期、柳川屋庄兵衛刊、『懐中象戯早伝授』第二十六番に収められている、作者不明の古作物です。

とあるので17??と書いたが、どうも刊行年は記載されていないらしい。
磯田さんによると

『懐中象戯 早傳授』・・・編者も刊行年もはっきりしない折り本である。
孤本あれこれ(via.詰将棋一番星)

編者も不明と書いてある。では柳川屋庄兵衛といううなぎ屋さんのような方のお名前はどこから?

これについても詳しい方ご教授ください。


2020.4.15追記
岡本正貴さんより詰パラ2006.2 に森美憲『「名作3手詰」に関する多角的考察』という論考があることをご教授いただきました。ありがとうございます。
本文を書きなおしました。

詰将棋入門(15) 最古の詰将棋

初代大橋宗桂 象戯図式 第1番 1602

前回,かなり古い作品を紹介した。
それでは,最古の詰将棋はどういうものなのだろうか。

一世名人である初代大橋宗桂(異論あり)が天皇に献上した50番本が最古の詰将棋であるというのが通説になっている。

本作はその第1番なので,日本最古の詰将棋といえる。

実戦形でもあり易しい15手詰なので,初見の方は是非挑戦をされたし。
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詰将棋入門(14) 小駒図式

萩野真甫 象戯綱目 第5巻第21番 1708

門脇芳雄「続詰むや詰まざるや」によると、作者の萩野真甫は初代宗看に争将棋を挑んだことで知られるというから、かなり古い時代の詰将棋だ。

しかし現代でも新作として通じるだけの内容と品格を持っている。

盤面も持駒も大駒の見当たらない小駒図式である。

銀桂香も指し始めの位置に並んでいる実戦形でもある。

さざ波のように美しい駒さばきを味わってもらいたい。
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詰将棋入門(13) 死刑の宣告

赤池嘉吉 「死刑の宣告」 将棋解頤 第44番 1838

有名な「死刑の宣告」という作品である。
作者は福田稔「名作詰将棋」によって赤池嘉吉としたが,「作者不詳」とする方も多い。(門脇芳雄「続詰むや詰まざるや」など)

35手詰。

本作は決して難しい作品ではないが,このあたりの手数の作品が一番解きがたいというのは事実である。

そこで,本日は詳しく手順を解説する。

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詰将棋入門(12) 金知恵の輪

久留島喜内 「金知恵の輪」 将棋妙案 第69番 1757

久留島喜内の「易しいけれど楽しい」作品群の中でもっとも有名な作品がこの「金知恵の輪」と前回紹介した「銀知恵の輪」だろう。

73手詰。「銀知恵の輪」よりは少し難しい。
しかしこれも筆者がすぐ解けたのも本当だ。

是非,盤に駒を並べてパズルとしての詰将棋の面白さを味わっていただきたい。

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詰将棋入門(11) 銀知恵の輪

久留島喜内 「銀知恵の輪」 将棋妙案 第68番 1757

久留島喜内の「易しいけれど楽しい」作品群の中でもっとも有名な作品がこの「銀知恵の輪」と次回紹介予定の「金知恵の輪」だろう。

59手詰。盤面に広がる多数の駒。

そのような長手数の詰将棋に接したことのない方には,途方もなく難しい詰将棋ではないかと思われることだろう。近代将棋という将棋雑誌には長手数の詰将棋も掲載されていたが,近代将棋誌が休刊になって残った将棋世界には17手までの詰将棋しか掲載されていない。(若島さんの巻頭詰将棋はもう少し長い手数の作品も掲載されるが)

また,詰手数で難易度を区分する制度もよくとられているが,「手数が長い詰将棋ほど難しい」という意識を醸し出す原因だろう。
それはまったくの間違いというわけではないが,手数と難易度は本質的には異なるものだ。

本作は是非,盤に並べて駒を動かしながら考えてほしい。

そんなことしたら,将棋の勉強に役立たないではないかとおっしゃるむきもあるだろう。

でも,そもそも将棋が強くなったら,社会生活で何か役に立つのだろうか?

将棋は楽しいから指すのではないでしょうか。そして負けると悔しいから,なおさら勝てばうれしい。

詰将棋も役に立つから解くのではない。
でも解けたらうれしい。そして作者の考えに触れることができたらもっとうれしい。(そして……)

御託はともかく,本作は本当に簡単だ。非力な筆者でもすぐに解けた。

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詰将棋入門(10) 持駒「歩18枚」

久留島喜内 将棋妙案 第48番 1757

前回、角不成+銀歩送り趣向の作品を紹介したが、今回は純粋な銀歩送り趣向である。

難しくはないが、見たとおりに持駒歩18枚という仕上げと、いくつかの妙手を織り込んだ造りになっている。
よって簡単に手順の解説も加える。

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詰将棋入門(9) 角不成

久留島喜内 橘仙貼璧 第120番 1757

本日紹介するのは久留島喜内。
看寿に並んでファンが多いと思われるので4局予定している。

解きやすい作品が多いことも嬉しい。
本作も簡単なので初見の方は挑戦してみることをお薦めする。

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