将棋玉圖 桑原君仲 1863.4 (書影は復刻版で将棋名著古典文庫第3巻 東西文献 1977.8.15)
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玉図第2番
パラは中学校の途中で頓挫しているが、玉図第2番はなんとか解けた。
持駒が多い。思わず腰が引ける。
でも、盤面の攻方駒は95角と56歩(!?)だけ。
気を取り直して、考えてみよう。
初手は第一感73飛だ。
62玉は83飛成まで。
でも、46歩は何のためにあるのだと思いつつ、手が進むままに行ってみよう。
91角、同玉、83桂、82玉
71飛成、同金、73銀、83玉、
84銀成、72玉…これはお手上げだ。
初手から考え直そう。
56歩があるということは、初手が違うのか。
といっても他に考えつくのは64桂ぐらいだ。
63玉と逃げられて…やはりだめだ。
やはり初手は73飛と決めよう。
73飛がいなければ64角で簡単だ。
73飛は打った瞬間に邪魔駒になっているわけだ。
打った駒が邪魔になり、それを原型消去というテーマか。
それならば、見える手がある。
94桂、同歩に93飛成。
これは気持ち良い。
きっと作意だ。
同玉は84角打で簡単なので、同香。
64角、92玉で次図。
84桂は83玉で金銀がないのでだめそうだ。
91角成、同玉、73角成でどうだろう。
82合駒に桂馬2枚を連打すれば詰みそうだ。
82歩があった。
83桂、81玉、71桂成で次図。
はじめて変化らしい変化に当たった。
同金も同玉もありそうだ。
同玉は83桂、同歩、82銀で簡単か。
同金としよう。
92銀、同玉、84桂、81玉、63馬!
すごいぞ、馬が消えた。
同銀、73桂、91玉、92香まで。
でも、56歩の意味は謎のままだったな。
念のため、16手目同玉の変化も確認しておこう。
どこまで戻すか。
91角成のところで、だめと即断した84桂をもう一度検討しよう。
73角成、同玉、72桂成では初形に戻ってしまう。何をやっているのか判らない。
しかし、まてよ。
75桂と打つと?
同歩、73角成
おおお、そうか。
見えてきた。
これは初形から16手かけて74歩を75に動かしたいという狙いだ。
同玉、72桂成、
同玉、74香、
63玉、73角成、54玉、46桂、同金、55馬、63玉、73香成まで25手詰
まとめると本作の狙いは16手かけて74香と打つためのスペースを作ること。
そのための手順の中に、打った駒の原形消去を目指して、取れる93歩をわざわざどかせてから93飛成と捨てるムニャムニャ手筋を配している。飛車角の大駒2枚を打って、それを捌くという実現手段が鮮やかだ。
玉図第1番
正月なので、久しぶりに古典でも紐解いてみようと、玉図の第1番を考えてみた。
序盤はほぼ必然手。
12金、同玉、13角成、同玉、
ここで気持ちの良い手が登場。
しかし他に手がないので易しい。
24金、同玉、34金、25玉、
ここで唯一の紛れ。素直に追うと…
26歩、15玉、16歩、同玉、27銀左、15玉、
これで手が途絶える。
69龍を活用する方法が全く見えない。
これは失敗だ。
手を変えるとしたら、先ほどの局面しかない。
26銀、36玉、35金、46玉、49龍、同圭、45金、36玉、37銀引、25玉、
39圭を49に動かして置く伏線。
1歩入手もしてしまうところがちと惜しい。
26歩、24玉、34金、15玉、16歩、同玉、27銀左、15玉、
16銀、同玉、49馬、15玉、
打歩詰。しかしあと5手!
16馬、同玉、17歩、15玉、27桂まで35手詰
中編に「自分とは無縁の世界」観を持っている方には、このような作品から入っていくのがよいかもしれない。
桑原君仲、易しくていいな。第2番も考えてみるか。
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